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ポップコーンは買わない派です。vol.41

ミッドサマー ver.2
【ネタバレ注意】

前回の続きです。

あんまり長引いてはいけないと思うところと、一本の記事の文字量の多さを気にしてしまうとなかなか全て紹介し切れるかどうかわからないので、特に印象に残ったいくつかのトピックスを取り上げていきたいと思うよ。

友人が村へ連れてきた真の目的とは

大学生の連中の中に紛れていた村出身の彼。彼が自分の村に招待した理由は研究のためではない。むしろそれは誘い水でその村に入った瞬間から論文なんて書けっこなかったのだ。

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村の存在を知らしめてしまうからだ。ん?なぜ?なぜ知られてはいけないのだろうか。それは彼らが村の存続のためには必要不可欠だからだ。まだわからないですよね。簡単に言うと多様な血縁を維持するために村の人間ととして無理やりにでも入れ込むのだ。しかし、長老が飛び降りたり色々と怪しい慣習に戸惑いを隠せない彼らは逃げようとしたり、研究材料としては持ってこいとして記録を取ろうとする。しかし村の人間はそれを絶対に許さない。劇中では判断力を鈍らせるためか「幸せになりますよ」といって薬物の入ったドリンクを飲ませてくる。それでも逃げようとしたり、写真などを取ろうとしたモノたちはことごとく殺されていく。なんとも酷いやり方で。

人間は依存できなくなったら別のものに依存する

メイクイーンというとジャガイモの品種のことを思い浮かべることができるだろう。その通り。この村ではメイクイーンという女王を決める踊りの大会がある。このシンボルの周りをひたすらに回って最後に残った人がクイーンとなる。

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そこでなんとヒロインのダニーが優勝してしまうのだ。

これは多分仕組まれてるんじゃないかなあって僕は思うわけ。だって村の人間はこの村に入れ込もうと必死なんだもん。

それとは対照にクリスチャンの方はというと。。。

村の女性と一緒になることを望まれ麻薬によって自分の判断ができない中で無理やりその女性とセックスしてしまう。多様な種として次世代を残していくために。

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その場面をタイミング悪くというか仕組まれていたのかわからないが、ダニーがみてしまうわけですよ。

依存していた彼氏のセックスを見て猛烈に嘔吐してしまう。まさに精神崩壊、悲しみの絶頂である。そこで村の女性たちが駆けつけて、ダニーの悲しみを共有するのだ。一緒に大声で泣き始める。彼氏という心の支えを失くしたが、新たな家族、依存先を見つけたといってもいいだろう。ダニーはある意味では自立したのかもしれなし、別の見方をすると依存先が変わっただけなのかもしれない。

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宗教にハマる芸能人

これって宗教にハマる芸能人に似ているところがあって、社会での悲しみというのは孤独に抱えることが多い。特に都会では。干渉がないが故に人間らしさというものが失われているのだ。しかし同じ意志、同志、家族がいることで自分が自分らしくいられることは少なからずあると思う。話をする中で共感する感情があることで心開いていき徐々にその人らしさ、アイデンティティを解放していけるのだと思う。わからないけど。

この作品を手掛けたアリ・アスター監督は次のように述べている。

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『ミッドサマー』は確かに共依存関係にまつわる話で、機能していない共依存関係に終止符を打ったとしても、新たな依存先を見つけただけだったりする。関係が機能していると健全に思えるかもしれないけれど、今まで以上に依存度が高い相手だった場合、内面化された共依存性を自覚することもできないかもしれない。となると、そこから離れなきゃいけないときにものすごく大変だろうし、いずれにしても健全とは言えないですよね……。

まさにダニーのことを言ってますよね。

最後に

都市化が進んでますね日本。どうでしょう、お互いに干渉しあわない社会というのはとても楽でいいかもしれません。しかし近所さんとのコミュニケーションが無くなったらどうでしょう。ありもしない噂がたったり、偏見の目でみられたりと信用できなくなっていきますよね。かつての田舎暮らしはみんなで助け合って生きていた。まさにこの映画でも出てくる村のことですよね。この共同体の営みは極めて不気味に見えるかもしれません。しかし僕自身は共感できるというか考え方によっては変ではないよねというのはいくつかありました。なので単純にホラー映画としておすすめするにはだいぶジャンルレスな作品であるといえます。人間が人間らしく生きていくにはどうしたらいいのか、答えはそこにないかもしれませんが、考えるきっかけ、ヒントはたくさん散りばめられてると思います。

何本か分けることになるそうでしたが、無理やり終わらせました。今回もありがとうございました。



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