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狭心症の原因、所見、症状、現代医学の治療、東洋医学の治療(漢方など)をまとめてみました。


狭心症とは?

狭心症(きょうしんしょう)は、心臓の冠動脈が狭窄または閉塞して、心筋に血液が十分に供給されなくなる状態を指します。冠動脈は心臓の筋肉である心筋に酸素や栄養を運ぶ重要な血管です。冠動脈が狭まることにより、心筋に必要な酸素や栄養が不足し、狭心症の症状が現れます。

冠動脈は、左前下行枝と左回旋枝の2本と右冠動脈の3本の主要血管で構成されている。

狭心症が起こる原因は?

狭心症の原因としては、血管の断面積が75%以上狭窄すると労作時に狭心痛が出現する。これは労作時狭心症と呼ばれています。さらに進行し95%狭窄すると安静時でも狭心痛が起こるようになる。これを安静時狭心症と呼んでいます。

狭窄には線維性プラーク、脂質性プラークの2つが付着することで起こる。脂質性プラークの方は狭窄を起こす前に破裂して、血管内に血栓が作られ、突然閉塞する場合があり、不安定狭心症、急性心筋梗塞の原因となる。

内腔の狭窄には動脈硬化、冠血管の痙縮による異型狭心症もある。危険因子としては、加齢、高脂血症、高血圧、糖尿病、肥満、高尿酸血症、喫煙、ストレスなどがある。

狭心症の所見、症状は?

心筋に酸素が十分に供給できなくなると狭心痛が出る。その他、労作時や興奮時に前胸部を中心に強い圧迫感を感じることがある。痛みはハッキリしない痛みである。安静にすると約15分ほどで治まる。

狭心症の診断方法は?

診断はエコーを使う。狭心症では心臓の動きは正常であり、運動低下や無動がある場合は心筋梗塞を疑います。心電図では心内膜虚血ではST低下、冠痙縮性の発作痔ではST上昇を認める。

その他、負荷心電図では負荷をかけてST低下や不整脈の確認をする。血管の狭窄を最も確実に調べるには冠動脈造影やCTを使う。

狭心症の一般的な治療法は?

発作時にはニトログリセリンの舌下投与を行う。予防には心筋の酸素需要抑制のためβ遮断薬、冠動脈血流改善に血管拡張薬、冠痙縮の予防薬、抗血小板薬などを使うことがある。

また糖尿病、高脂血症、肥満、喫煙の生活スタイルを改善することを心がけ、ストレスを溜めないようにする。狭心痛が出ない程度の軽い運動は大丈夫とされているので行うと良い。

外科的治療は減少傾向にあり、カテーテルでの狭窄部へのアプローチが主流化しており、進歩している。

狭心症の予後は?

最初の狭心症状が出現後、1ヶ月以内、発作の頻度や強度、持続時間が増えている狭心症は心筋梗塞へ移行する危険性が高く要注意とされている。

狭心症の東洋医学的な考えは?

狭心症に対する東洋医学の視点では、心臓の健康や疾患はエネルギー(気)や血液の流れ、臓腑のバランスなどが影響を与えるとされます。東洋医学での心臓疾患に対する東洋医学的な考えになります。

気の循環: 中医学では、「気」は体内を巡るエネルギーとして位置づけられます。心臓は「心」と呼ばれ、気の循環を調整し、血液を全身に送り出す中心的な役割を果たしています。狭心症は、気の滞りや不足、不調和が関与していると考えられることがあります。

血液の流れ: 「気」の滞りや不足が続くと、血液の流れが滞り、血液の循環が悪くなる可能性があります。これが続くと、狭心症のような心臓疾患が発生する可能性があるとされています。

心経の視点: 中医学では、「心経」と呼ばれる経絡(気の通り道)が心臓と関連していると言われており、この経絡に流れる気や血の滞りが、心臓疾患の原因となるとされることがあります。

五臓六腑のバランス: 東洋医学では、五臓(心臓、肺、脾、肝、腎)と六腑(胃、小腸、大腸、膀胱、三焦、膽の六つの臓器)が体内のエネルギーや機能を担当しています。これらの臓腑が調和を失ったり、不調和が生じることが狭心症の発症に影響を与える可能性があります。

東洋医学を取り入れるメリットは?

狭心症に対する東洋医学的なアプローチは、個々の患者によって異なる結果をもたらす可能性があります。以下は、東洋医学のアプローチがもたらす可能性のあるメリットやアドバンテージです。

全体的な健康へのアプローチ: 東洋医学は、心疾患だけでなく、全体的な身体と精神の健康を重視します。バランスの取れた食事、適切な運動、鍼灸療法、気功などが含まれ、これにより患者が総合的なアプローチで健康をサポートできる可能性があります。

個々の体質に合わせた治療: 東洋医学では、患者の体質やエネルギーのバランスに基づいて治療を行うことが一般的です。これにより、個々の症状や体験に合わせた個別化されたアプローチが可能となります。

予防と健康維持の強調: 東洋医学では、病気の治療だけでなく、予防や健康の維持も重要視されています。バランスのとれた生活習慣や食事、適切なエクササイズなどが、狭心症の予防や進行の遅延に寄与する可能性があります。

ただし、これらのアプローチは現代の医療においては補完的なものとして考えられることが一般的であり、特に急性および重篤な状態では西洋医学のアプローチが主流です。

東洋医学のアプローチを検討する場合は、医師との協議が不可欠です。統合医療のコンセプトを取り入れることもあり、西洋医学と東洋医学が共存し、患者により適した治療法が見つかる場合もあります。


以上のような点から、東洋医学を取りれるメリットがあります。

東洋医学で考える狭心症にアプローチできるポイント


狭心症に対する東洋医学のアプローチ方法は、患者の症状や体質に合わせて個別に調整されることが一般的です。以下は、一般的な東洋医学のアプローチポイントになります。

体質診断: 東洋医学では、体質が個人の健康に大きな影響を与えると考えられています。まず、東洋医学の専門家は患者の体質を評価し、病状を理解するために個別の診断を行います。これは脈診、舌診、症状の詳細な質問などを含むことがあります。

食事療法: 狭心症患者に対する食事療法は、個別の体質と症状に合わせてカスタマイズされます。特定の食材や調理法、漢方などが推奨され、栄養摂取とエネルギーのバランスを最適化するために使用されることがあります。

ストレス管理と精神的なサポート: 東洋医学は、精神的な健康を重視し、ストレス管理技術、瞑想、呼吸法、および運動などの方法を提供することがあります。これにより、患者の心身のバランスをサポートし、治療へのモチベーションのアップや忍耐力を高めます。

予防と健康の維持: 東洋医学は健康の維持と疾患の予防に焦点を当てます。患者には健康な生活習慣の促進、バランスのとれた食事、適切な運動、ストレス管理などがアドバイスされることがあります。

その他の狭心症の治療法

鍼灸

気や血液の流れを調整: 鍼灸治療では、体内のエネルギーである「気」や血液の流れを調整することが目的とされます。狭心症の場合、気や血液の滞りが問題となり、これを改善することで心臓機能や全身の調和を取り戻す助けになると考えられます。

陰陽のバランスを整える: 中医学では、陰陽のバランスが重要視されます。狭心症が陰や陽の不均衡によるものと考えられる場合、鍼灸を通じて陰陽のバランスを調整し、体内の調和を促進することが試みられます。

ストレス軽減と心身のリラックス: 鍼灸治療は、患者に心地よい感覚をもたらすことがあり、これがストレス軽減や心身のリラックスに寄与すると考えられています。狭心症患者が抱える精神的なストレスや不安に対処するためにも、鍼灸が一定の効果を発揮する可能性があります。

漢方

漢方医学は、中国の伝統的な医学であり、植物、動物、ミネラルなどの自然界の物質を組み合わせて製剤したものを用いてバランスを取る治療法です。狭心症に対する漢方治療も、患者の体質や症状に基づいて行われます。

心機能の補強: 心臓の機能を補強することを目的とする漢方薬が使用されることがあります。これには、心臓の収縮機能や拡張機能を調整し、心臓のエネルギーをサポートする薬物が含まれます。

体液バランスの調整: 狭心症に伴って生じる浮腫や体液の滞留を緩和し、体内の水分バランスを調整するための漢方薬が用いられることがあります。

気や血液の循環の促進: 気や血液の滞りが問題とされる場合、それらの流れを促進するための漢方薬が処方されることがあります。

抗炎症作用: 心臓の炎症が関与する場合、抗炎症作用を持つ漢方薬が使われることがあります。

漢方が使われた文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/65/4/65_287/_pdf

東洋医学的に狭心症の治療を始める場合は?

東洋医学的治療は、体質の調査から始まり、陰陽のバランスを整える食事療法や漢方などを用いて体全体の機能を改善します。健康管理と生活指導も重要であり、個々の症状や体質に合わせたアプローチが必要です。そのため専門家への相談が重要になってきます。

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