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酒井順子連載「あっち、こっち、どっち?」

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築地本願寺新報に掲載中のエッセイストの酒井順子さんの連載です。気になるふたつの言葉を取り上げて、紹介していきます。
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#エッセイ

お店に「さん」はつける? つけない? 関東と関西の文化の違いを考える

大人になってから京都に行った時、京都の人がお店の名前に「さん」をつけて呼んでいるのを聞…

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「満」や「密」な状況がもたらす、濃厚な時間もある

 このゴールデンウィークに、浅草に行く機会がありました。久しぶりに行動制限の無い大型連休…

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「あげる」行為は楽しいが、時に暴力的でもある。

 近所のおばあさんの家に行くと、いつも必ず、持っていった物以上の何かを持たせてくれようと…

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年下と年上、どっちと話すのが好き?

子どもの頃、私はいわゆる「おばあちゃんっ子」でした。父方の祖母と同居していたのですが、…

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「自分は中身が薄い人間だ」と感じても、落ち込まなくていい

 かつて、会社員の友人と悩みを話し合ったことがあります。 「何だか自分が、ペラッペラな人…

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年をとるのは悪いこと? 「年を重ねる」という言葉に抱く違和感

「年をとる」という言い方を、あまり耳にしなくなりました。今、「年をとる」の代わりに便利に…

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能登半島地震で考える「孤立」の意味

 元日に石川県能登地方を震源とした、大きな地震が発生しました。能登半島好きの私は、珠洲に住む友人と、年末に電話で話していたばかりだったのであり、心配が募ります。  友人一家の安否は、しばらくわかりませんでした。LINEが既読にならないのは、スマホの電源がなくなっているのもしれない。いやもしかすると……などと、様々な想像が頭を駆け巡ります。  しかし様々な検索をしているうちに、とあるニュースサイトに掲載されている写真の撮影者として、友人の名前が出ているのを発見。彼女が住んで

世の中には「軽薄な人」がいてもいい

 若い頃の話。毎朝、彼に手作り弁当を届け、誕生日には手編みのセーターをプレゼントするよう…

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「太った?」 という発言が与える、強烈さ

  久しぶりに会った老紳士に、開口一番、 「おお、太ったね!」  と言われました。その瞬間…

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縦書き派、横書き派。あなたはどっち?

 この原稿を書いている時、パソコンのディスプレイ上に、文章は横書きで表示されています。こ…

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「自分がどう見えるか」を考えない人は、損をする?

暑いのはつらいけれど、着る物を考えるのは楽な夏。冬のように、寒くないようにしつつ着ぶく…

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セルフレジは嫌いじゃない。なぜなら、気を遣わなくていいから

セルフレジというシステムが、私は嫌いではありません。ピッ、ピッ、と自分でスキャンするの…

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トンカツを食べるとき、端っこと真ん中はどっちが好き?

 向田邦子さんの名エッセイ集『父の詫び状』の中に、「海苔巻きの端っこ」という一編がありま…

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どこかへ行き、帰ること。それは決して当たり前ではないと私たちは知った。

 コロナ以来となる海外旅行へ、行ってきました。久しぶりの海外、それも行き先はロンドンと遠出だったので、行く前は密かに緊張していた私。出発前夜は、「あれは持ったんだっけ」などと様々な思いが巡って、よく寝付けなかったものです。    とはいえ無事に現地に到着し、旅がスタート。自国の外に出るという刺激が細胞に沁み入るかのようで、 「思い切って出かけてよかった!」  と思うことができたのです。    そうこうしているうちに、帰国の日がやってきました。「お土産類が全てスーツケースに入る