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酒井順子連載「あっち、こっち、どっち?」

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築地本願寺新報に掲載中のエッセイストの酒井順子さんの連載です。気になるふたつの言葉を取り上げて、紹介していきます。
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#エッセイ

「きっちり」な理系と「あいまい」な文系が混じりあうから、世界は豊かになっていく

昭和時代に、女子校に通っていた私。時代のせいもあってか、今で言う〝リケジョ〟は、今以上…

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お店に「さん」はつける? つけない? 関東と関西の文化の違いを考える

大人になってから京都に行った時、京都の人がお店の名前に「さん」をつけて呼んでいるのを聞…

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「満」や「密」な状況がもたらす、濃厚な時間もある

 このゴールデンウィークに、浅草に行く機会がありました。久しぶりに行動制限の無い大型連休…

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「あげる」行為は楽しいが、時に暴力的でもある。

 近所のおばあさんの家に行くと、いつも必ず、持っていった物以上の何かを持たせてくれようと…

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年下と年上、どっちと話すのが好き?

子どもの頃、私はいわゆる「おばあちゃんっ子」でした。父方の祖母と同居していたのですが、…

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「自分は中身が薄い人間だ」と感じても、落ち込まなくていい

 かつて、会社員の友人と悩みを話し合ったことがあります。 「何だか自分が、ペラッペラな人…

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年をとるのは悪いこと? 「年を重ねる」という言葉に抱く違和感

「年をとる」という言い方を、あまり耳にしなくなりました。今、「年をとる」の代わりに便利に使用されているのは、「年を重ねる」という言い方でしょう。  化粧品や健康食品のコマーシャルでは、 「年齢を重ねたあなたに」  という呼びかけによって、商品の宣伝がなされています。 「年をとったあなたに」  では聞こえが悪い、ということなのです。    しかし私は、 「年齢を重ねたあなたに」 と、自分の世代へ向けた「年齢化粧品」とやらが宣伝されているのを見るといつも、もやっとした気持

能登半島地震で考える「孤立」の意味

 元日に石川県能登地方を震源とした、大きな地震が発生しました。能登半島好きの私は、珠洲に…

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世の中には「軽薄な人」がいてもいい

 若い頃の話。毎朝、彼に手作り弁当を届け、誕生日には手編みのセーターをプレゼントするよう…

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「太った?」 という発言が与える、強烈さ

  久しぶりに会った老紳士に、開口一番、 「おお、太ったね!」  と言われました。その瞬間…

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縦書き派、横書き派。あなたはどっち?

 この原稿を書いている時、パソコンのディスプレイ上に、文章は横書きで表示されています。こ…

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「自分がどう見えるか」を考えない人は、損をする?

暑いのはつらいけれど、着る物を考えるのは楽な夏。冬のように、寒くないようにしつつ着ぶく…

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セルフレジは嫌いじゃない。なぜなら、気を遣わなくていいから

セルフレジというシステムが、私は嫌いではありません。ピッ、ピッ、と自分でスキャンするの…

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トンカツを食べるとき、端っこと真ん中はどっちが好き?

 向田邦子さんの名エッセイ集『父の詫び状』の中に、「海苔巻きの端っこ」という一編があります。子どもの頃から、海苔巻きの端っこが好き。海苔巻きだけでなく、伊達巻やソーセージなども端っこが好きだし、パンならば耳のところがいい。……という記述に、「わかるわかる」と思う方は多いことでしょう。  食べ物の端っこには、健気な味わいがあるものです。たくわんを切りつつ、その尻尾をポイと口に放り込んでしゃぶっていると、堂々と丸い、一番太い部分をパリッと噛む時とは異なる滋味が感じられるのです。