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アジアカップで森保JAPANが直面したチーム作り〜サーバントリーダーシップ後編〜

熱い闘いが繰り広げられたAFCアジアカップ2023も全日程を終了し、カタールの大会2連覇という結果で幕を閉じました。中東の国が活躍した大会でした。

日本、イランに敗れベスト8で敗退

今大会グループリーグで苦戦した日本は、辛くも決勝トーナメントに進出、ラウンド16でバーレーンを破り準々決勝に駒を進めました。
準々決勝イラン戦は前半1-0でリードしていましたが、内容的にはほとんどチャンスも作れずイランの猛攻に耐える試合展開。後半は選手交代が裏目に出て、さらに苦しくなり同点に追いつかれてしまいます。勝ち越しが期待できる勢いも感じられず、延長をなんとか耐え忍んでPK戦で勝てるだろうか…と見守るしかない中、後半終了間際にPKを献上してしまい逆転を許しそのまま試合終了。

このアジアカップ中、大会初戦まで続いた10連勝でがストップするなど苦しい闘いを強いられた日本代表は、もちろんメディアやサポーターから厳しい批判が向けられました。
連勝している時はさすが森保監督と持ち上げられ、負ければ批判される。外野はなんとも無責任なものだなとつくづく思います。

アジアカップで浮き彫りになった森保JAPANのチーム運営の課題

決勝トーナメントの前日会見に臨んだ森保監督、冨安選手。pivot footballでもお馴染みのミムラユウスケさんの鋭い質問によって、森保JAPANのチーム作りの課題が浮き彫りになった形になりました。

ミムラさんは、今の日本代表のチーム作りをボトムアップ型と表現していますが、ボトムアップ型のチーム作りは選手の意見が活発に出て良い面がある一方、試合展開における急な方針転換には向かないのでは無いか?という内容で森保監督に対して質問をされました。この会見が話題になったのは質問に答えるトーンが少し変わったためでしたが、森保監督も冨安選手も思うところがあったのではないでしょうか。チーム内でも議論になっていることがうかがい知れるやりとりでした。詳しくはリンクの動画をご覧ください。

ボトムアップ型とトップダウン型どっちが重要?

森保監督は、選手の自主性を重んじ、活発に意見が出るボトムアップ型のチーム作りをしています。その反対がトップダウン型ですが、多少ニュアンスの違いはあるとしても、支配型のリーダーシップと奉仕型のリーダーシップとほぼ同義と考えて良いと思います。

支配型と奉仕型については以前に触れています。

どちらのリーダーシップの取り方、チーム作りがどのような結果や現象をもたらすのか、森保JAPANがまさにリアルタイムで取り組んでいる事例なのではないかと思います。

ボトムアップ型を採用するメリットは、意見が活発に生まれ、自主性が重んじられる点。一方デメリットは、意見がまとまらない、意見を言ったけど聞き入れられないといった問題が起こりやすい。

トップダウン型を採用するメリットは、トップの方針に従うため意見がまとまり、実行にうつしやすい。一方課題は、メンバーの自主性が育まれないことです。

ボトムアップ
メリット:意見が出る。自主性が生まれる 
デメリット:意見がまとまらない

トップダウン
メリット:意見がまとまり方向が統一される 
デメリット:自主性が育ちにくい

近年、サーバントリーダーシップ、心理的安全性などが注目され企業でも取り入れられている傾向にあることは、前回の記事でも触れましたが、

いずれの形にもメリット、デメリットがあり、どちらかを採用すればいいというものでもなさそうです。
当たり前ですが、新しい手法をただ取り入れるだけでチーム作りがすんなり上手くいくということはなさそうです。

場面によって使い分ける混合型が最適解

現代の若者は頭ごなしで言われることを嫌がる傾向にあるようで、それは例えサッカー日本代表の中においても同じようです。森保監督もプロとはいえ今の若者をまとめるために試行錯誤されていることと思います。

昨年の箱根駅伝で優勝した駒澤大学の大八木監督も、昔は頭ごなしに叱っていたけど、数年前から指導方法を変えて親しみを持って接するようにしたとおっしゃっていました。

各業界において指導者たちが変化を求められている中、サッカー日本代表もチーム作りの移行期にあると言えます。

ボトムアップ型からネクストステージに行くための産みの苦しみで、森保監督も選手一人一人も真剣に取り組んでいると思いますが、噛み合った時には歴代最強のチームになっているはずです。

私が描く理想のチームは、メンバー一人一人が自主性を発揮しながらも、同じ方向性に向かって一丸となって動き、目標達成をするチームです。

多様性を受け入れ、自主性を重んじながらも、明確な指針と言葉でチームを導くリーダーシップが求められています。
日本代表のようにボトムアップ型を取り入れようとしてバランスを崩すこともあると思いますが、旧来型のトップダウン型とのハイブリッドで、新時代のリーダーシップ像を見出していく必要がありそうです。


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