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沼色スープ礼賛「麺屋 ねむ瑠」

新しい店舗が生まれては消えていく東京。ラーメン店は特に熾烈な競争が繰り広げられている。

一時期、ハマグリスープを使ったラーメン店が乱立した。しじみスープを使用した店も。

貝のスープは確かに美味しい。しかし原価が高く採算割れになる場合もあるという。採算ラインに乗せるには、冷凍などの工夫が必要のようだ。

本郷三丁目駅から東大に向け歩いていくと大きな交差点に出会うが、その近くにねむ留はある。ここの名物はイカの煮干し(!)を使ったどんよりしたスープだ。なるほど、ハマグリに比べれば、安定していいスープを抽出できそうではある。‥大丈夫か?

この店、スープのにごり具合がすごい。沼か、ドブのようだ(例えが悪くすみません)。想像とほぼ違わぬイカの濃い出汁が感じられる。あっさりした麺と具、これをイカ風味のスープとマリアージュさせるのは‥玉ねぎの粗みじん切り。

クセがつよい!

あっさりした外観のお店からは想像しがたい癖の強さである。活きの良いイカの「ワタ」を出汁に溶かしているのではないか、思うぐらい。こんないかきもな癖の強い一杯で集客を図ろうとしているのだから、思い切ったものだ。

麺もスープも美味しい。お酢を足して味変もいける。だがしかし決してラーメン界のメインストリームにのし上がる予感のしない「いさぎよさ」。

ねむ留のラーメンはラーメン店の益々のニッチ化を予感させる。すでに飽和した東京ラーメン業界を生き抜く術を示すカナリア的存在ではないか。

客の私は気楽なもので、イカのスープにドボンと酢を足して、ズズズとすすってやるだけですが。

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