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コーヒーをもう一杯「実身美」大手町

オーガニックという言葉に弱い。オーガニックって、あんまり意味ないみたいですよ、というネットニュースですら興味深く熟読して満足を得る方だ。もはや、枕詞に近い存在であり、飲食時の祝詞に近い存在だ。

東京駅から、地下を進んでいくと、丸ビルから三井住友銀行東館に抜けていくことができる。大好きな寿司や蕎麦屋、パン屋、ベトナム料理店の前を通り過ぎて、なんとなくオーガニックの定食を頂こうという気分になっていく。柔軟なわたしは、オーガニック「風」ならそれでいい。「風」ってなんだ?おそらく、お茶碗に入ったごはんと味噌汁と香の物におかずがあるといい。そしてそれは、もはや家では作ることはない、東京駅近隣に出現するオアシスの蜃気楼に近い存在だ。

実身美は、野菜をたくさん使い、調味料にもこだわった、今時のカフェ飯を提供してくれる。店全体が現代の和風テイスト。こちらの味噌汁を一口飲むと、うま味調味料を使用していない自然の味に心が洗われるようだ。

そして、普段の生活の腐敗具合を帳消しにしてくれるのではないか、と期待してしまうのが名物の玄米ご飯。この玄米ご飯、なかなかやっかいな存在だ。お店で頂く玄米ご飯は、専用の炊飯器や圧力鍋で炊いたものがベストだが、ときには普通の炊飯器の玄米コースで炊いている場合もある。どの店の玄米ご飯も大抵は一長一短があり、ある場合はぼそぼそ、ある場合は必要以上に硬く、また別の場合は玄米ご飯とは名ばかりで、白米に玄米を少しだけ混ぜたかのようなものまで様々だ。しかし、こちらの玄米ご飯は普段の白米をこれに変えても十分いいかな、と思わせる真に「プロフェッショナル」な味わい。もしもこれだけ上手に自宅で玄米を炊くことができたら、玄米ご飯定食にわざわざ大手町まで繰り出すこともないだろう。どうやったらこれほどの味が出るのか。やはりガス炊きなのだろうか。家庭ではまねすることのできない「プチプチ」感のあるフレッシュな味わいが貴重だ。

そして、玄米ご飯には黒ゴマを振ってくれている。おいしくて体にいい、を直で感じることができてありがたく噛み締める。

さらに、食後のコーヒー。あまり指摘されることはないが、オーガニックのカフェ飯を出す店のコーヒーは、味わい深くかつ優しい香りがしてお勧めできるものが多い。こちらのお店のコーヒーも、例外にもれない。

以前は丸の内の地下飲食街でもオーガニックカフェで定食を頂くことができた。しかし、その店舗よりもさらにおいしい店があるということを聞き、こちらにお邪魔するように。どんどん東京駅から離れていっているわけだが、これ以上遠くなると大手町駅で下車したほうがよさそうだ。そこまでしてカフェ飯が食いたいわけであり、カフェ飯経営者の皆様にはこの自粛ムードに負けずに頑張ってもらいたいものだが…野菜仕事の手間暇を考えると、カフェ飯屋の経営のなんと困難なことか。

私ができることと言えば、コーヒーを追加することぐらいで。



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