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玄米、人参、ベジィな午後 「ソラノイロ ニッポン」東京駅

東京駅には八重洲地下街の方面に、ラーメンストリートなる一角があって、人気のラーメン店が並んでいる。オープン当時には、各人気店に巨大な行列が生まれていた。

そのうちの一店がソラノイロ ニッポンだ。もともとヘルシーなラーメンが売りではあるが、なんと、野菜(と玄米など)のみ、動物性たんぱく質を極力(?)使用しない「ベジソバ」を愉しめる、稀有な一店である。

いざ入店、わくわくしながら特製ベジソバを注文。

ラーメン、らしき褐色の麺がオレンジ色のスープに浸かっている。中太のストレート麺。オレンジ色のスープの正体は、人参のピューレだそう。
トッピングは、かぼちゃ、パプリカ、ブロッコリー、じゃがいも、ミニトマト、千切りキャベツなどなど。おお、ほんとうに野菜中心。しかもラーメンストリートの印刷文字が入った海苔もつけてくれた。私が注文したベジソバは、本当にヴィーガンの方も頼めるというベジ100%、いつもメニューに並んでいるわけではないらしく、ネット情報でもあまり公開していないものだ。

では、このベジソバ、おいしいのか?

当然気になりますよね。もしも、このベジソバが、六厘舎だとか、斑鳩だとかの、今世紀の東京ラーメン界を代表するラーメンと同じ土俵に立たされたら?

はっきり言いましょう、はい、ベジソバの負け。秒殺ですね。

ラーメンの麺はわずかにコシが不足しており、スープはやや単調。ベジソバとは、爆発的に美味いというものではありません。

しかし、この店の価値は一口めのラーメンの美味さだけでは語れない。そう、「ベジ」ソバだから、話は変わってくる。これだけボリューミーで、爽やかな野菜のうま味にあふれ、ワクワクするヴィーガンメニューを、「おなか一杯」食べられる。しかも東京駅至近の場所で。

はっきり言いましょう、はい、奇跡です。

なんの罪悪感もなく一杯丸まる食べきることができる。手のひらを反すような言い方になるが大満足だ。これだけの商品をこのお値段で提供するなんて、店舗の悲壮な覚悟すら伝わってくる。そもそも、野菜料理は「手間もの」だ。手間は人件費に直結している。…大丈夫か?多くの(素敵な)ヴィーガンカフェがこの「手間」に戦いを挑み、そして敗れ去っていくのである。

また、なんでも、女性の一人客でも気軽に入店できるようにインテリア等にも工夫をしているらしい。

しかし、しかしですよ、私がこの店を訪れるとき(昼の一時過ぎ、ランチ終了直後)には、こちらのお店は、おおむねおじさんや、若い男性客でいっぱいなのです。みな、体を気遣って、ベジソバを頼んでいる。

かつて、男性客であふれるラーメン店に女性が進出してきたように、今度は女性用に配慮されたヴィーガン麺を男性客がこぞってすすりだしたのです。アップルウォッチ、ヴィーガン料理、細身のスーツ、水筒持参の若者たち。

時代は変わりますね。

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