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【高校生座談会③〜厳罰化に対して積極派?慎重派?】―インターネット・SNSの誹謗中傷対策

「インターネット・SNSの誹謗中傷対策」をテーマにした第3回オンライン投票に向けて、ch FILES高校生スタッフが座談会を行いました。前回の座談会では、被害対策の現状〜厳罰化した際のメリット・デメリットについて勉強しました。

最終回の座談会では、「インターネット・SNSの誹謗中傷の罰則強化」に対して積極派(=罰則強化の法律を積極的に導入していきたい)か慎重派(=罰則強化の法律導入を慎重に考えたい)か、二手に分かれて話し合います。皆さんも一緒にお考えください。


1.厳罰化に対する世間の声は?

…今後SNS等の誹謗中傷を厳しく取り締まること(=厳罰化)について、世間からはどんな声が上がっているのでしょうか? まずは「学校総選挙プロジェクト」の吉田さんから説明をいただきます。

吉田 まず、罪を重くすることで、誹謗中傷の投稿に対する抑止力になることが期待されています。一方で、今の日本では、どんな発言が誹謗中傷に当たるかが明確に定義されていないため、正当な批判や意見であっても罪を恐れて投稿を萎縮してしまう可能性もある、という心配もされています。

<積極的に導入していこうという人たちの意見>

●場合によっては命にかかわる問題でもあるので、厳しく規制をして対策する必要がある。
●誹謗中傷を思いとどまる効果
が期待される。
違法な投稿だけが罰せられるので罪は重くても心配ないんじゃないか。
<慎重に考えたいという人たちの意見>

●パワハラや性被害など匿名だから告発できていた発言もできなくなるかもしれない。
●大企業や権力者など、お金のある人たちが裁判を予告して正当な批判を封じ込める危険性がある。
●日本の憲法には「表現の自由」が認められているので、この権利を侵害されるように感じる。


2.積極派の人!どう考える?

…自分は厳罰化に積極派だな、という人、手を挙げてみて。積極派のメンバーは、どんな意見を持ってる?

みゆ やっぱり実際に命を落とした人もいるし、言葉の暴力って、実際の暴力と同じくらい心の傷を負わせてしまうのに、こんなに罪が軽いのは良くないと思うから、私は積極派です。

みわ 言葉のナイフって言うもんね。

とうま 僕は“どちらかと言うと積極派”という感じなんですが、SNSってこの数年で大きく発展したものだと思うから、厳罰化してどんな問題が起こるのかって正直わからない部分もあると思うんです。でも、何もしないよりは一度厳罰化してみて、何か問題が現れたら考え直すのでもいいんじゃないかなと思っています。

ときわ 慎重派の懸念点であるパワハラなどの告発ができなくなるという問題は、SNSを使う以外にも他の方法で解決できると思うので、両方の問題を比べたら、命の重さを優先させた方がいいかなと思います。


3.慎重派の人!どう考える?

…では自分は厳罰化に慎重だな、という人手を挙げてみて。慎重派のメンバーは、どんな意見を持ってる?

まな たしかに命の重さにはかえられないなとは思うんですが、こういう誹謗中傷をしたからいくらの罰金、ということで被害者の方は報われるのかな? と思うところがあります。あと、「罰を重くする」ってすぐ決めてもいいのかな。もっと考えたいなと思います。

まお 私は法改正をする前にまだやれることがあるんじゃないかなと思うんです。ツイッターであれば、ツイートする前にプレビュー機能が出て、一度確認し直せるようにするとか。企業からのアプローチの方が早く変えられるかもしれないし。

みのり 私は最初積極派だったんですが、いろんな話を聞いて、“積極派寄りの慎重派”に変わりました。SNSって、当然モラルは守られるべきだと思うんですが、気軽に自由に発言できる良さってあると思うので、それを抑え込まれるのは良くないし、それを国が行うというのは、昔の検閲の繰り返しになってしまうのではないかなという気がしています。

まお 法ってことは“国”だもんね。SNSの事業者側が変えるのであれば企業だけどね。国が(規制を)するってなると重みが違う気がする。

みゆ だからこそ抑制になる、ってところもあるけどね。


4.積極派/慎重派に分かれて、議論

ここで、「積極派」「慎重派」に分かれて、さらに意見を掘り下げていきます。

<積極派から出た意見>

●実際にSNSで誹謗中傷にあった親友の追い込まれた精神状態を見ていたら、生ぬるいことは言っていられない。一刻も早く厳罰化するべき。
●「自分のしていることが誹謗中傷に当たる」と気付くきっかけになる。罪の意識を持ってもらうには、法律や罰則は、一番いい方法だと思う。
●厳罰化した上で、小学生の頃から学校の授業で取り入れることが大切ではないか。

あゆ国が法律として制度を作ることで、自分の発言に対して責任を持つことを考えるきっかけになると思います。そうすることで、一気に減らすことはできなくても抑制につながると思うし、対面であったとしても人に対して言ってはいけないことは言わないということにつながると思う。

みゆ SNSは気軽なところがいいけど、気軽すぎるが故に考えないで発信しがちだから、法律ができると一旦立ち止まって考えるきっかけになるよね。

…誹謗中傷は悪いことなんだということをみんなに浸透させるには、「罪を重くする」方法が一番いいと思う?

みずき 誹謗中傷をしている人の中には、自分が加害者になっていると認識していない人が多いと思うんです。特に、誰かの発言に乗っかって一緒に叩いちゃう人とか。その一人ひとりに、それはいけないことなんだと伝えるには、厳罰化が一番わかりやすい方法だと思います。

まい厳罰化すると各自の意識も変わると思うので、抑止につながると思います。罪を重くするのと同時に、学校でも、SNSの誹謗中傷に関する授業を小学生の頃から取り入れたり、身近なところでの学校教育も充実させていけるといいと思います。

あゆ 法律も厳罰化されることで、「自分の学校だけの問題ではない」という意識になると思うし。

あやは そうだよね。学校の授業で「いじめ問題」なども取り上げているけど、自分には関係ないという感じで見てしまうところもあると思うので、法律もあわせて伝えていくことで効果が出るんじゃないかなと思います。


<慎重派から出た意見>

●企業が個人の表現を規制するのと、国が規制するのでは重みが違う。
●法改正する前にできることはまだありそう。法改正は、最後の手段にしたい。

みのり 私は国が個人の表現に規制をかけるのはよくないかなと思うので、他にできることを考えたいなと思っています。例えばYouTubeの低評価ボタンって要るのかな?と思っています。人を傷つけるような内容の動画に押すのはわかる気がするんですが、そうでない場合、押す理由がわからなくて。

まお 私も賛成。内容に問題がある場合は運営にスパム報告してしまえばいい話だから、本人に言う必要はないよね。

…逆に低評価ボタンがあることで批判コメントの抑制になっているところもある、という風には考えられない?

ねね なるほど! 低評価ボタンを押すことで気持ちが満足して、それ以上の批判コメントをしなくなるということもあり得るかもしれないですね!

つかさ 私は、コメントは投稿者本人と相手にしか見られないようにするのがいいのかなと思います。人のコメントを見て、気軽に負の同調をするのを抑制できるかなと思うし、もちろん傷つくとは思うんですが、傷つき方が変わってくる気がして。

まお それ、すごい良いと思う! やっぱり、同調することで広がるもんね。

みわ 同年代の子が開発したサービスで、悪い言葉を投稿したら、良い言葉に変換されて投稿されるというものがあるらしくて、傷つける言葉が本人に届かないのはすごくいいなと思いました。

すみれ SNSで誹謗中傷する人は自分の中でフラストレーションを抱えている人も多いと思うので、法律で罰を作るより、SNSの相談センターのような、負の気持ちを吐き出せる場所を作ってあげることも必要だと思います。


5.意見が変わったメンバーっている?

…意見を交換してみて、自分の考えが変わったというメンバーはいる?

みずき 私は積極派だったんですが、法改正する前にできることって意外とたくさんあるなと感じたので、そこを具体化して、早く実行していった方がいいのかな、と思いました。

ありさ 私も積極派だったんですが、法律として変えるよりも、企業で取り組めることはないのかな、と思いました。匿名だから相談ができるとも思うけど、フリーダイヤル相談とかを使ったり、同じ悩みの人たちで新しいコミュニティを作っていくこともひとつなのかなと思いました。


6.今日の座談会の感想

…今日の座談会を通して感じたことはありますか?

あゆ 私は積極派なんですが、慎重派の意見もよくわかるし、難しい問題だからこそ、こうやってみんなでもっと考えていくことが大切だと思いました。

とうま 良いところも悪いところもどっちもあるからね。16人で話しただけでも新しいなと思うことやなるほどなと思う意見がたくさん出たから、もっと大勢で考えたらどうなるんだろう? と思ったかな。僕らが考えることがもっと輪になって広がっていくといいなって。

まお 学校でももっと話し合いたいね! どうしてもビデオとか流して終わっちゃうもんね。

とうま そうそう。積極的に自分たちで考えるということはとても大切だと思うし、これこそ厳罰化する前に今できることだと思うし。

みわ 大人数で話したらもっといろんなアイデアも出るかもしれないしね!

みゆ 2日間くらいかけて話し合いたいね(笑)


…最後に吉田さんから一言、お願いします!

吉田 今日みんなから出たアイデアや意見は、大人たちからは出てこないものもたくさんあったので、ぜひ多くの人にその意見を聞いて欲しいなと思いました。国の法律って、どんな人にも平等に適用されるから簡単には決められないし、いろんな属性の人と話してみんなで考えていくことが大事なテーマだなと改めて思いました。

2/19から始まる投票では、「今」みんながどう考えるかを投票してもらうことになりますが、年を重ねて立場が変われば考えが変わることもあるので、これから人生の節々で考えていってほしいなと思います。

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3回にわたる高校生の座談会、いかがでしたか?深刻な社会問題となっている「インターネット・SNSでの誹謗中傷」。10代、20代にとっては特に身近なテーマです。
期待される効果と懸念点の両方を知った、今のあなたはどう考えますか?
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