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2020年の振り返り1.1.2

昨日の続き。2020年に読んだ本の後半10種12冊を紹介する。
2020年に読んだ本は以下。

入浴検定公式テキスト
森博嗣 すべてがFになる
西尾維新 新本格魔法少女りすか1~3巻
村田沙耶香 殺人出産・しろいろの街の、その骨の体温の
西尾維新/暁月あきら 症年症女1~3巻
浅野いにお おやすみプンプン4~8巻
舞城王太郎 私はあなたの瞳の林檎・されど私の可愛い檸檬
東浩紀 弱いつながり
中村文則 何もかも憂鬱な夜に
奥平智之 ココロの不調回復 食べてうつぬけ
TCC 広告コピー年鑑 2018
千葉雅也 デッドライン
上遠野浩平 恥知らずのパープルヘイズ
西尾維新 クビキリサイクル・クビシメロマンチスト・クビツリハイスクール
津川友介 世界一シンプルで科学的に証明された最高の食事
中村佑介 みんなのイラスト教室
レベッカ・ブラウン 体の贈り物
山本直樹 明日また電話するよ

中村文則 何もかも憂鬱な夜に
小説。
未決死刑囚と刑務官の話。作中の人物の関係性の見立てはかなり明快なようで、そのどれもが半分不正解な感じもする。主人公のフラストレーションと不安定さに物凄く覚えがある。同じ死刑囚モノの「モリのアサガオ」と比べると、描かれる死刑囚が本当にしょうもない人間で、死刑に臨む心持ちも全く違う。どちらが優れていると論じるつもりはないが、リアリティがあるのはこっちかと思う。
「ともすれば自分も"やらかす"側に行くし、自分も本当はさっさとそっち側に行った方が楽なんじゃないか」と思っている主人公と、早々にそちら側に立った死刑囚。どちらの気持ちも覚えがある気がする。


奥平智之 ココロの不調回復 食べてうつぬけ
How To本。(そんな括りがあるのか?)
大学の友達の薦めで読んだ本。運動量の少ない現代人で、かつホルモンバランスによって体調に変動がある女性を対象にした食事のアップデート方法が記されている。当たり前だが書いてあることが環境や50年後の健康や今の自分の健康の全てに良い超絶怒涛に正しい情報であることは絶対にないので、真似しやすく複数回目にしたものから取り入れようと思った。鉄分のサプリを摂ることと、牛乳を豆乳に変えて飲んだり料理に使ったりすることを始め、継続しているので、今年も何か習慣づけたい。


TCC 広告コピー年鑑 2018
図鑑?
2018年版でも「この広告正気か?」と思うようなコピーが見受けられた。私の目も時代の流れも常に変わっていっているんだなあと思った。CATS&DOGS動物福祉協会が広告主の「在庫と呼ばれる命がある。」というコピーがあまりに印象的だった。余談だが、リンクを貼ったTCCのサイトが受賞作非受賞作問わず色々なコピーが読めるので面白くておすすめ。

千葉雅也 デッドライン
小説。
特に近しい人にのみカミングアウトしている、ゲイの大学院生の話。傍目から見たら「転落」と思われるような変化。「だから努力しよう」みたいな教訓があるわけではないのだが、多分主人公は来年こそは修士論文を書きあげられるだろうなと思った。


上遠野浩平 恥知らずのパープルヘイズ
小説。
存在を知ってはいた、かつジョジョはアニメ版ではあるが全シーズン追っているほど好きなのだが、読むタイミングが無かった。ジョジョ5部を見返して改めて感動しきりだったので、今こそと思って読んだ。私は舞城王太郎の文体が本当に好きなので、もっと謎の語彙で占められている方が好きなのだが、アニメや漫画に引けを取らないスピード感があってこれはこれで正解というか、合っている文体だと思った。


西尾維新 クビキリサイクル・クビシメロマンチスト・クビツリハイスクール
小説。
これもパートナーの奨めで、パートナーから借りて読んだもの。
私は入間人間の「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」がとても好きで、特にその独特の文体とテンポが良いと思っていたのだが、かの人は西尾維新の初期作品に激烈に影響されていたのだと勘づかざるを得なかった。ジョジョ5部のアニメで、ジョルノが敵の攻撃網を鮮やかに一閃するとお馴染みの音楽と共に解説を始めるカタルシスてんこ盛りなシーンがあるが、戯言シリーズにもこのカタルシスが存分にあり読んでいて楽しかった。続きも借りているので早急に読んで返却したい。


津川友介 世界一シンプルで科学的に証明された最高の食事
How To本。
一価不飽和脂肪酸は体に悪いが、それを含むオリーブオイルは人間の健康には良い。オーガニックコスメブランドでアルバイトをしていた時にも常々感じていたことだが、良くも悪くも精製された化学物質とそれを含む原材料はリスクや効能が違う。人間の体に対して実際に何が起こりうるのかは統計学でしかわからないのかもしれないと思った。健康関連の話題では、例えば「農薬が体に悪いっていうデータ何かあるんですか?」のような反駁を多く見るが、これは質問の前提からして完全に間違っていて、「農薬を摂るのが体に良い」というデータが無ければ、農薬を除去することが疑問視される謂れは一切ない。この本は「効果があるかわからない」ものに対しては判断を保留し、「一応避けておく・ほどほどの量にしておく」ことを薦めており、そういった点でも非常に信頼できる本だった。タイトルだけはどうにかしてほしかった。


中村佑介 みんなのイラスト教室
How To本。
中村佑介展にいたく感動し、ミュージアムショップで買った本。「無名の絵描きの絵なんか誰も見ていない」「コンセプトやスキル以前に、異常な執念で目に留まることが何より大事」という言葉を心に額装して飾っておきたいと思った。


レベッカ・ブラウン 体の贈り物
小説。
確か高校入試か大学入試の問題文に出てきたことで知り、一度地元か高校の図書館で借りて読んだ記憶があるのでおそらく読むのは2度目。シンプルで淡々としているにも関わらず、淋しくて愛情深い描写があまりにリアルで、読むと共感や作品に対する感動の域を超えて辛くなる。内容が素晴らしいことは知っていたので古本屋で見かけても買わずに過ごしていたが、久しぶりに読んでやはり辛くなった。名著だと思う。


山本直樹 明日また電話するよ
漫画。
今年最後に読んだ書籍。大学の後輩の薦めで買った。タイトルにもなっている「明日また電話するよ」がとても良い。物語に出てきた男は、明日電話するよと口約束はして、しかしきっと明後日頃に特に謝ることもなく電話してくるんだろうなと思った。そういった細かい不一致や蔑ろが折り重なり、徐々に距離が離れていくんだろうと思う。ただ、今は明日また電話すると口約束ができる気分で、いくばくかのそれを実行しようという思いはあって、その「触れられない中で一番近い距離」が描かれていてとても切なかった。

2020年に読んだ本は以上。冊数が少ないことと、Twitterに読んだ本の感想を簡単に記していることもあり、かなり鮮明に読んだ本を思い出せた。
次回は観た映画と行った展示会・博物館について。

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