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2022年の予定など

(トップ画像は昨年刊行された著訳書です)

 まだまだ新型コロナウイルスで油断できない世の中ですが、今年もどうぞよろしくお願いします。

 まずは著訳書の刊行予定から。
 今年も5、6作程度の訳書が出ることになりそうです。

 マイケル・ロボサム『天使と嘘』の続編 "When She Was Good" が今年前半に早川書房から出ます。本作では、嘘を見抜くことができる少女イーヴィの過去がいよいよ明かされます。CWAゴールドダガー(英国推理作家協会最優秀長篇賞)受賞作『天使と嘘』と併せて楽しんでください。 マイケル・ロボサムの訳書は、ほかに『容疑者』(上下、集英社文庫)と『生か、死か』(上下、ハヤカワ・ミステリ文庫、こちらもCWAゴールドダガー受賞作)が、どちらもわたしの訳で刊行されています。

 『怪物はささやく』の原案などで知られるシヴォーン・ダウドの "The London Eye Mystery" が、夏ごろまでに東京創元社から出ます。「ほかの人とはちがう仕組みで動く」頭脳の持ち主である12歳の少年テッドが、独特の推理によって甥の失踪事件をみごとに解決する痛快なYAミステリです。これはわたしの持ち込み企画で、訳出前に ENGLISH JOURNAL ONLINE の連載で紹介しました。くわしい内容を知りたい人はこの記事を見てください。
独特な思考回路の少年が主人公の英国ミステリー“The London Eye Mystery”
今年になるかどうかわかりませんが、続編の "The Guggenheim Mystery" (シヴォーン・ダウドの死後に、遺志を引き継いだロビン・スティーヴンスが執筆)の翻訳刊行も決まっています。 

 以前にもお知らせしたとおり、エラリイ・クイーンの中期作品2作の新訳刊行も決まっています(2作ともハヤカワミステリ文庫から)。今回出るのはライツヴィル・シリーズ第4作『ダブル・ダブル』と、ライツヴィル・シリーズと同時期に書かれた『靴に棲む老婆』です。順調にいけば、2作とも今年の後半に出る予定です。この機会に、わたしが「挫折と再生四部作」と呼んでいる中期作品群(『災厄の町』『フォックス家の殺人』『十日間の不思議』『九尾の猫』)を未読のかたは、ぜひ上記2作とともにどうぞ。

 以上については、早川書房と東京創元社の今年のラインナップ案内記事でも紹介されているので、そちらもご覧ください。わたしの訳書以外にも注目作がたくさん並んでいます。
二〇二二年の早川書房の翻訳ミステリ&NVラインナップから大注目作をご紹介!
2022年 東京創元社 翻訳ミステリ&ノンフィクション ラインナップのご案内

 そのほか、フィルムアート社から、ロバート・マッキーの『ストーリー』『ダイアローグ』につぐ第3弾 "Character" の翻訳刊行も今年予定されています。
 ダン・ブラウンの新作は近々完成するようですが、今年じゅうに翻訳刊行できるかどうかは微妙なところです。

 著書では、英文を精読しながら文法を学ぶ本が共著の形で出る予定ですが、刊行時期は決まっていません。また、うまくいけば、海外の作品を初心者に紹介するガイドブックのようなものを共著の形で出せるかもしれません。

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 朝日カルチャーセンターの文芸翻訳クラスは、1月期についてはハイブリッド形式(教室とオンラインの両方で受講可)の形で開催されます。1月期のくわしい内容はここにまとまっています(「英米小説の翻訳」クラスは途中からの受講も可能)。
 近い日におこなわれる予習不要の講座としては、このふたつがあります。

・文芸翻訳教室・英語と日本語のはざまで(中之島教室、翻訳演習の実例紹介など) 1月22日(土)16時30分から18時 教室オンライン
・だから翻訳は面白い(新宿教室、イタリア文学研究者・村松真理子さんとの対談) 2月5日(土)15時30分から17時 教室・オンライン共通

 1月と2月には、以下のトークイベントと読書会の開催が決まっています(ただし、新型コロナウィルスの状況によっては、中止・延期などもありえます)。

1月23日(日)13:00~14:30 蔦屋書店梅田
 1月29日(土)18:00~19:30 青山ブックセンター本店
 このふたつは『越前敏弥の英文解釈講義 『クリスマス・キャロル』を精読して上級をめざす』(NHK出版)の刊行記念トークイベントです。『「英語が読める」の9割は誤読』や『クリスマス・キャロル』にも少し言及します。NHK出版の公式サイトにある内容紹介ページはこちらです。両日ともサイン会を予定しています。

・2月11日(金・祝)南東京読書会
 2月19日(土)  金沢読書会
 2月26日(土)  福島読書会
 3か所とも課題書は「エラリイ・クイーン 挫折と再生四部作」(『災厄の町』『フォックス家の殺人』『十日間の不思議』『九尾の猫』)です(厳密には、金沢は『九尾の猫』だけですが、残り3作を読んでいることが参加の前提となります)。南東京は告知済みで、残席わずかです。金沢と福島は1月中旬までに翻訳ミステリー大賞シンジケート翻訳ミステリー読書会のサイトで告知します。わたしは3か所とも参加します。

 そのほか、読書探偵作文コンクールは今年も引きつづき開催します。小学生部門はつい最近、昨年度の受賞作品が発表されたところで、中高生の発表はこのあとです。今年も受賞作についての選考委員トークなどを検討しています。
「はじめての海外文学」については、今後の活動は未定です。
 全国翻訳ミステリー読書会メンバーによるオンラインのトークライブは、対面型の読書会ができるようになっても、ときどき開催したいと思っています。
 NHK《基礎英語2》の翻訳者リレー連載は、2022年度も継続されます(4年目)。つぎにわたしが登場するのは4月号(3月中旬発売)です。

 現在、翻訳百景主催の形で、初中級者向けのオンライン文芸翻訳講座の開講準備を進めています。以前おこなった「二十年後」オンライン講座録画受講でも開催)と似た形式のもので、今回は録画受講のみで全5回(コメントつき指導は4回)となる予定です。早ければ4月ごろにスタートします。詳細が決まりましたら、またお知らせします。

 あらためて、今年もどうぞよろしくお願いします。


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