見出し画像

五月のように / 竹内浩三

最近、竹内浩三という詩人を知った。


以下、青空文庫より転載。
(著作権が消滅しているため転載可)

五月のように / 竹内浩三

なんのために
ともかく 生きている
ともかく

どう生きるべきか
それは どえらい問題だ
それを一生考え 考えぬいてもはじまらん
考えれば 考えるほど理屈が多くなりこまる

こまる前に 次のことばを知ると得だ
歓喜して生きよ ヴィヴェ・ジョアイユウ

理屈を言う前に ヴィヴェ・ジョアイユウ
信ずることは めでたい
真を知りたければ信ぜよ
そこに真はいつでもある

弱い人よ
ボクも人一倍弱い
信を忘れ
そしてかなしくなる

信を忘れると
自分が空中にうき上がって
きわめてかなしい
信じよう
わけなしに信じよう
わるいことをすると
自分が一番かなしくなる
だから
誰でもいいことをしたがっている
でも 弱いので
ああ 弱いので
ついつい わるいことをしてしまう
すると たまらない
まったくたまらない

自分がかわいそうになって
えんえんと泣いてみるが
それもうそのような気がして
あゝ 神さん
ひとを信じよう
ひとを愛しよう
そしていいことをうんとしよう

青空のように
五月のように
みんなが
みんなで
愉快に生きよう

青空文庫「竹内浩三 五月のように」より

※ヴィヴェ・ジョアイユウ・・・Vivez Joyeux(仏語)
「歓喜して生きよ」の意。

何だろうなぁ……何かこう……いいんだ。
日本語って、美しいんだなぁって。

まぁ、竹内浩三の生きた時代からすると、この言葉の美しさとは裏腹に、とんでもない壮絶さがあると思うんだが……それも含めて、何か…いいんだ。(←しつこい)

こういう言葉の使い方をしたいなぁなんて、思うのです。


こちらもどうぞ。


テーマ「わたしの本棚」で「CONGRATULATIONS」を頂きました!

この記事が参加している募集

#わたしの本棚

18,647件

ありがとうございます!(・∀・) 大切に使わせて頂きます!