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人を好きになると女子力が上がり過ぎる男《書き出しだけノベル》

 太古の時代。男は毎日のように狩りに出ていた。食料を獲ったり、危険な動物を狩る。家族や種族を守る為に尽力し、野生の本能を持ち続ける事が生命線とも言えた。

 女性は男性の雄々しさに胸を高鳴らせ、この男性に守ってもらいたいと感じ、一緒に居たいと思うようになる。

 それは、現代日本人にとって、何ら変わらない…はずだった。

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『あの、すいませんが、そちらは男子トイレなのですが...』

 店員らしき女性の声に、その者は低い声で応えた。

「いや、ぼく男なんですけど…」
『え?!あ、あの、申し訳ございません。』
「は、はは...よ、よくあるんで大丈夫ですよ...」

 店員が慌てて頭を下げて謝っている。だが仕方ない。それもそのはず。その者は正真正銘男性なのだが、見た目は女性にしか見えないのだ。
 またか、という表情をする。女装の男性というには、女性らし過ぎる。

 この男。女装趣味があるわけではない。心が女性というわけでもない。ましてや、なぜこうなっているのか。それが何とも不思議だというような顔を鏡に映しだした。

 何故、こうなったのか。事の発端を話しておこう。

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 10日前、その男は買い物をしようとデパートにいた。

 所謂、ウインドウショッピングを楽しんでいたその男は、スーツを見たり、革靴を見たり。気ままに見て回っていた。
 しかし、買いたい品があるわけではない、というような他人事のような、受け答えで店員のやる気を削いでいく。

 あまり用事のない店でも、入ると新たな発見があるものだ。その季節ごとに陳列が変わったりもする。不必要に何軒もお店に入っては出てを繰り返していた。

 用事はなんだったのか。エスカレータで地下の食品売り場に降りて行く。

 その時。その時だった。
 その男は、驚いたような顔で一人の女性を見つめ、その場にとどまっている。怪しい。よくよく見るとすこぶる怪しいのだが、夕暮れ時のデパートの食品売り場で立ち止まる男を、誰も気に留めはしない。

 凝視すること5~6分といった言った所か。見つめられている女性が男の視線に気づき、男は我に返った。その女性は、ずっと野菜などの売り場でレジを担当していたので、その場で客を捌くのに手いっぱいだったのであろう。ほんの一瞬、レジの客がいなくなったところで男に気づいたのだ。
 不思議そうに見つめ返す女性の視線に耐え切れなくなった男は、踵(きびす)を返し、反対側のエスカレーターで地上階へと消えていった。

 この日、その女性は男に見つめられていたことを、特に気に留めることはなかった。しかし、ここから数日のうちに不思議な体験をすることになる。

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あとがき

 ここまで、読んでくださって、本当にありがとう。
 文章力にあまり自信がないのですが、想像しているだけではなく、書き出して作品として残してみたいという試み。頑張ってみようと思います。
 この書き出しだけの小説。元々最後の方まで話を設定してから書いていたし、書いてると楽しくなって来たので、完成まで書き続けたいと思います。
 一通り完成したら、発表してみたいと思いますね。

T-AKagi

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