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アイスマン《ショートショート》

 暑い。とても暑い。

 日差しはとても強くて、皮膚を焼くように射してくる。
 もうカラダが溶けそうだ。

 前いた建物を出て、もうそろそろ3日が経つ。

 いくら歩いても、目の前は真っ白にしか見えない。

 あぁ、暑い。

 そういえば、昨日何飲んだっけ。
 熱いお湯みたいになった水を飲んだっけ。

 硬くて熱いバナナも食べたか。
 今日は、何を食べよう。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

 暑いなぁ。今日も暑い。

 小言を言いながら歩く。
 先に何があるか、それもよくわかっていないけど、とりあえず真っ直ぐ歩くしかない。

 そんな時も、足元はシャリシャリと音を立てている。

 私は以前いた建物に入ってからというもの、前まであんなに寒かったのに、だんだん暖かく感じるようになった。

 その建物は、唯一無二の国家からの指示でそこに行けと指示をされて行った場所。
 何日かそこに居たら自由に出ていいと言われていた。

 何かの仕掛けをしていたのかもしれない。

 それにしても、この世界は緑や茶色や青ではなく、真っ白に変わってしまった。

 あ、見えてきた。

 ずっと向こうに真っ白い雪化粧をまとった東京スカイツリーが見えてくる。

 いや、どこもかしこも真っ白か。

著:T-Akagi

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