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カルガ キゾンバ フェスティバス【レッスン編】

※「カルガキゾンバフェスティバル」は、スペイン・バルセロナ近郊で行われる、国際的なキゾンバフェスティバル。キゾンバとはアンゴラ発祥のペアダンスで、ヨーロッパを中心に様々な世代に人気を博している。これは、完全な趣味でこのダンスを細々と楽しんでいる、フォロワー女性視点で書かれている。

※2 リーダー=踊りをリードする人。主に男性が多い。
※3 フォロワー=リーダーの踊りについて行く(フォローする)人。主に女性が多い。

9月中旬に参加した、カルガキゾンバフェスティバル。
「死ぬまでにしたいことリスト」を1つずつやり切るために、全くスペイン語も分からないまま、英語で主催者のNuno(恩人!)とコンタクトを取り、ホテルの予約、郊外までのアクセス、フルパスの購入……全てが手探りのような状態の中、完了することが出来た。
そしてついに、実際のフェスティバルの日がやって来たのだ。
もう、ワクワクを止めることは出来なかった。

プログラムの主になるレッスンから、もう一つの主になる2つのタイプのパーティー、それ以外のライフ編など、残して行きたいと思う。
まずは、日本とはまた一味違ったレッスンのことから書いてみたい。

スーパースター達の登場に、いきなり感動

世界で活躍しているインストラクターが次々に登場するため、アジアの端の島国からはるばるやって来た私は、生のインストラクター達を目にする度に感動してテンションが上がった。

その様子に、月に1回以上はスーパースターを当たり前のように目の当たりにしているヨーロッパ人達からは笑われた。

私だけでなく、アメリカ人、コロンビア人、同じヨーロッパでも少し東に位置するモルドバ、マケドニア、ブルガリアの人々なども、テンションが上がっていたように思う。

レッスン後の写真撮影も、なかなかこれらのスーパーインストラクターにお目にかかれない遠方組が、多かった気がする。私ももちろん、撮影の列の常連者になっていた。
どのインストラクターも、どれだけレッスンを受けたかったか、レッスンに感動したかを伝えたりすると、とても喜んで受け入れて来れる。
撮影が好きな人は、行くのが吉だろう。

さあ、レッスンそのものの内容に行こう。

それぞれの先生のカラーはもちろんあったものの、ヨーロッパのフェスならではの共通点も発見出来た。

音楽に合わせての練習

海外のフェスティバルでのレッスンは、日本のフェスティバルや普段のレッスンよりも、音楽に合わせて練習する時間が長い気がした。
もちろん、音楽に合わせての練習に至るまでの持って行き方はインストラクターによって違う。

Nuno&Saraiは、まずリーダーとフォロワーに別れてウォーミングアップから、ペアでのそのレッスンでやるステップの途中までを行う。

Jojoは、一つ一つの動きごとに、リズミカルに一時停止をして、参加者達がポーズを脳に入れられるように考えている。この一時停止の声のかけ方がラップのようで、これまた楽しい。

Fred&Nelsonや、Guiu & BorboletaやDario&Christinaは、丁寧に説明をして組み立てて行く。

そして全員ワンフレーズが仕上がった辺りで、すでに音楽を入れて、少し長く踊らせてくれる。
この間で、教えられたステップを最初にした後、リーダー達は色々なアドリブ技をレッスンでも入れて来てくれて、これがとても楽しく感じる。

リーダー達からしてみたら、
「この技はもちろんマスターしたけれど、それ以外にもこんなことが僕(私)は出来るよ」
「このステップを音楽が流れたら、こうやって操るよ」
という、ソーシャルに向けてのアピールなのかもしれない。

フォロワー達は、そんな彼らへの絶好のフォローチャンスだ。
「面白く操るのね。着いて行くよ。そのステップも楽しい!」
といった感じで気軽にフォローをする。
そしたらソーシャルではそのリーダー達が、楽しくフォローしてくれたフォロワー達を、探してでも踊ろうと誘いに来る。

こういう踊りを通じてのコミュニケーションが既にレッスンから存在しているのが、とても面白い。
私自身、嬉しいエピソードが色々あった。

自由度の高い練習からのエピソード

例えば、同世代位のフランスの男の子は、レッスンでいつも一緒だった。
北イタリアにもいそうな青い瞳をしていて、笑ったら素敵なのだが、大体はポーカーフェイスで一匹狼。
「もったいないことしてるよね、あの子。もっと笑ったらいいのに」
いらないお世話だが……。
いつもご飯を共にすることになったフランスの仲間達と、話題になったこともあった。

このポーカーフェイス君は比較的、レッスンのステップも淡々とクールこなしているイメージだった。
さて、Fred&Nelsonのレッスンは自由度が高く、特にミュージカリティーを学ぶレッスンの時は、ステップをもっと自由自在に操ってと、自分達の感動的な見本を見せながら私達に語りかけてくれた。
その時、ポーカーフェイス君とペアになった。

「Hi! Let’s do that…(やあ、早速やってみよう…)」
そんな感じで、音楽が流れたらステップを踏む。
スローでとても心地よい曲が流れ、Fred&Nelsonが流したステップがとても活かせるものだった。

ポーカーフェイス君はフレーズを最大限使って、リードを始めた。
ポーカーフェイスの裏に、素晴らしい芸術性が隠されていたことを知った。
私はますます心地よくなり、オーチョ(回るタイプのステップ)をゆったりと自由にして、その彼と音楽と溶け込んだ。

「既に、パーティーで踊っているようなペアもちらほらいたね。Good Job!(その調子)」

Fred&Nelsonが褒め言葉を送ってくれた時に、そのペアに自分達も含まれてるのでは、と思えたほど、楽しかった。
ポーカーフェイス君はとても良い笑顔を見せ、こう言ってくれた。

「Now,I know you are very good dancer;-) (今、僕は君がとても良いダンサーであることを知ったよ😉)」

順番を無視?!

他にも自由度の高いヨーロッパのフェスティバルならではの出来事も、あった。
Fred&Nelsonのレッスンは、Nelsonが美しく歌を歌うこともあってか、ミュージカリティーに重点を置いたレッスンが多かった。
翌日は、効果音やボーカル、ピアノをどのように踊りに活かして行くかを皆で踊りながら練習した。

ピアノだけを聴きながら、メロディーのリズムに合わせて皆でステップを踏むのは、不思議な一体感が空間に生まれた。

「次は歌だけにフォーカスして、ペアで動いてみて!」

たまたまリーダーが空いている時があり、そういう時は一人で身体を自由自在に動かすのだが、同じようにフォロワーが空いていたドイツ人の男の子が、どこからか私を見つけてやって来た。

お互い2日間踊り顔見知りだったから、違和感もなく
「Hi^^」
と笑顔になり、踊り出した。

鍛えられた筋肉隆々の身体とは対照的な、とても滑らかで床と一体となったようなリードに、私は感動した。
こちらが感動してフォローしていることがそのドイツ君に伝わったのか、滑らかさは曲が進むにつれて増して来る。

曲が終わった後、私達は
「How nice!最高じゃない!」
と笑い合った。
「カンビオ(交代)!」
という先生達の声が聞こえても、ドイツ君は腕をほどかない。

「あれ、先生達交代って言ったよ?(私)」
「もうちょっと続きを踊ろう、彼らはスキップしてるよ(ドイツ君)」

そんなこと、出来るの?と思ったが、ヨーロッパでは起きうることのようで、次に回って来るはずのリーダー達は瞬時に理解して、私の番をスキップしていった。
続きを踊りたかったら、しばらく交代もしないで踊り続ける。
こういうことがしばしば起こったのも、とても新鮮で面白かった。

レッスン中でも曲と相手に解け込む

その歌に合わせる練習も、練習を越えたものだった。

レッスン中に踊っていて、音と目の前のリーダーに解け込んで行く感覚はこれまで普通はなかっただけに、これらの経験にはびっくりした。
この前に参加したズークフェスティバルでも同じように音楽をかけた自由度の高い練習が多く、とても心地よいダンスを味わえた。

踊り、それもペアダンスが暮らしに浸透している、ヨーロッパやアメリカ大陸ならではの傾向かもしれない。

使われる言語ーピンチはチャンス

さて、国際的なフェスティバルの言語は、もちろん英語とその国の言語だと思うだろう。
日本のフェスティバルでは、英語がまず話され、その後日本語の通訳が入っていた。

スペインももちろんそうなのだと思って行った私。
しかし!!

なんと、いきなりNuno&Saraiのワークショップから、スペイン語の後に英語が話されない。
「え……、英語は?!」

時々
「そうだ。外国人もいっぱいいるんだった!」
と思い出したかのように、彼らは英語も話してくれたが……。
スペイン人のインストラクターで私が受けられたインストラクターは、みんなスペイン語がほぼ中心だった。

という訳で、スペインのキゾンバフェスでは、スペイン語が聞き取れた方が理解度はますます高まると思う。

ただ、それが原因で私はたくさんのリーダーとお話出来たのも、確かだ。
説明に少し間が出来た時、私はその時々で相手になったリーダーに聞いた。
「すみません、彼らは何を言っているのでしょうか?私はスペイン語が全然分からなくて……」
年代が上の方は、その英語が分からずスペイン語で一生懸命解説しようとしてくれて、それは面白いジェスチャーになることもあった。

でも、英語が出来る年配や中年の方もいたし、同世代は大抵英語が話せたから、彼らは一生懸命、重点的に通訳をしてくれた。
「それ、辛いね!オッケー。フォロワーはとにかく軽くって思いがちだと思うけれど、テンションを下向きにすることでリーダーときちんとコネクションが取れるって言ってるよ」
という風に……。

「スペイン語、話せないの?助けるよ。というか、君、どこから来たの?」
という展開になり、仲良くなったリーダーもたくさんいた。

英語が話されなくてピンチになったら、どんどん英語が話せるリーダーにヘルプを求め、レッスンからどんどん仲良くなれたら、ピンチはチャンスに変えられる。

対してフランスなどスペイン人ではないインストラクター、JojoだったりNelsonだったりは、英語を使ってくれるから本当に有り難かった。
英語になると表情が変わるのか、リーダー達に
「君、英語が来たね。おめでとう!」
と冗談混じりに讃えられた。

レッスンスケジュール

この前に参加していたズークフェスティバルで、風邪でインストラクターが欠席したり、インストラクターの時間が当日交代になっていたこともあったから、
「スペインだし、またこういうこと起きそうかな」
と思っていたが。

このカルガフェスティバルでは、そういうことは起きなかった。

全てのインストラクターのレッスンがほぼ時間通りに行われたし、反対に皆の熱気が相当なものだからか、休憩がほぼなく、インストラクター1が終わったら、即インストラクター2のレッスンが始まることもあり、水分補給の時間もあっという間な時もあった。

1ペアだけ、すごくレッスン時間が超過する所があった。
素晴らしいインストラクターが、教えたい、伝えたい気持ちで溢れ、30分もレッスンを超過してくれるなんて……!
それは、2日連続で起きた。
一日目は、パーティーの時間と重なっていただけだったからか、素晴らしい彼らのデモまでは全て見ようと、ほぼ全員がそのまま30分超過の最後まで熱気と共に残ったいた。

対して二日目は、昼ごはんの時間と重なり出した。
Evenia hotelはなんとall inclusive で、朝だけでなく昼も夜も、バイキング形式でのご飯を楽しめた。
ただ時間は決まっていて、お昼のバイキングは14:30までだった。

彼らのレッスンは14時で終わるはずだったが、この日も熱い気持ちで大幅にレッスン時間を超過してくれたのだが、バイキング終了時間の14:30が近づくにつれ、人々は時計を見て、1人、2人とバイキング会場に消えて行った。

「花より団子」は万国共通か……と笑えて来たエピソードだ。
私は彼らのタンゴ要素の強いキゾンバが大好きだったし(そろそろ、インストラクターが誰は分かった方もいるだろう)、何より次に生で彼らが見れるのがいつかも分からないから、最後のデモまで目に焼き付けておいた。

地球の裏側、とは行かなくても、遠方の国々のメンバーと「団子より花」のメンバーで、最後の感動的なデモは堪能させてもらった。

私はデモの後、数少ない「団子より花」メンバーになったフランスの仲間と、全速力でバイキング会場に向かった。
なんだか、食事が待ちきれない小学校低学年のようで、我ながら愉快だった。
息を切らして着いたバイキング会場に食事が残っていた時は、すごく嬉しかった。

「やっぱり実際の所は花=団子なのかもしれないね」
と、兄と笑い合った。

全てのレッスンを受けるのは可能?!

レッスンは一番多い土曜日の場合、11時から3コマ、16時から4コマ、そして全日パーティー前、23時から1コマ行われた。

23時からのレッスンは1回は受けられたが、その後はパーティー編やライフ編の通り、色々な事情で断念した。

今回の目標は「世界中の人々とゾーンに入って踊り明かす」だったから、深夜のパーティーは必須だった。
もちろん、「スーパースターを目の当たりにして、そのレッスンを受ける」も、楽しみにしてはいたが、これは日本の先生達も今後、して下さることを知っているから優先順位は後にした。

素晴らしいインストラクターが集結しているのに、全てのレッスンを受けられなくて悔しい気持ちもあるが、睡眠も大切だから、そこは体調と相談して80%は受けられたことに満足しよう。

レッスンの比率

キゾンバには、派生されたたくさんの種類のダンスがある。

カルガキゾンバフェスティバルは、大体下記の内容だった。

オリジナルキゾンバ 4
キゾンバフュージョン 6
アーバン 7
タラショ2

またもや、センバがない……!
私が住んでいる地域では結構センバも踊られるから、これは意外だった。
召集されているインストラクターの得意分野をレッスンで教えてくれるから、このフェスティバルはアーバンやフュージョン寄りのフェスなのかと思う。

こんな感じで日本のキゾンバとはまた違った所も多い、カルガキゾンバフェスティバルのレッスン内容。

ヨーロッパでは1ヶ月に何個も国際的なビックフェスティバルが行われているから、何がいい、悪いじゃなくて、自分がどんなスタイルをどんな先生に習いたいかで、選んで行けばいいだろう。

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