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妊産婦の身体の変化

外来リハビリでは、妊婦や出産後の方が腰が痛くなったと言って来院されることがあります。

整形で勤務していて、あまり多い事例ではないですが、いざ介入する時にどういう状態なのか知識がないと対応に困ることになると思います。

そこで今回は妊娠、出産においての身体の状態の変化や、どういった症状が出やすいという点をいくつか書きたいと思います。

妊娠、出産に伴う身体の変化


1.体型の変化
妊娠中の母体の体型は、妊娠2ヶ月ごろより乳房が大きくなり、妊娠5ヶ月ごろからお腹が大きくなっていきます。
妊娠中に体重は約、8〜10kg増加します。
そして、分娩により胎児や胎盤などが体外に出るため4〜6kg減少し、産後半年ほどで妊娠前の体重に戻っていきます。

2.姿勢の変化
妊娠中の女性は人によっても異なりますが、お腹が大きくなるにつれて腰椎の前弯が増加、胸椎は、軽度後方へ変位するパターンや胸腰椎の平坦化、骨盤後傾など姿勢の変化が見られます。

また、妊娠中の姿勢アライメントが、産後にも継続することもあります。
さらに子供を抱っこする機会も増えるためより顕著な不良姿勢を取ることが多くなります。


妊産婦の身体的症状


1.腰痛・骨盤帯痛
妊産婦の症状として最も多くみられます。
主な原因として妊娠中に分泌されるリラキシンというホルモンの影響があります。

このホルモンは骨盤帯の関節弛緩に関与し、恥骨結合を広げます。

妊娠中の恥骨結合の広がりにより、骨盤輪を形成する関節に生じる過可動性や骨盤帯の不安定性が腰痛や骨盤帯痛の要因になると考えられます。

その他にもホルモン分泌の急激な変化による心因性の問題、体重増加に伴う身体への負荷、分娩時における骨盤底筋の筋損傷などが要因として挙げられます。

また、妊産婦に多く見られる姿勢の変化により、腹斜筋群と脊柱起立筋群の、協調不全が生じ腰背部つうを呈しやすいことが考えられます。

2.尿失禁や泌尿器トラブル
妊娠中、胎児の成長に伴い増大する子宮に膀胱は圧迫され、尿管は拡大・延長し尿の滞留が起こりやすく尿路感染や骨盤底筋群の弛緩により腹圧性尿失禁を生じやすくなります。

3.筋の損傷
腹筋群と骨盤底筋群は膨大する腹部の影響を強く受けます。
腹筋群は分娩まで伸張され収縮の効率が低下されやすく、骨盤底筋群は増大した子宮を支持するため伸張されます。

前述しましたが、腹筋や骨盤底筋の筋損傷が起こると、腰痛や泌尿器トラブルの原因となります。

4.その他
その他症状として、姿勢アライメントの変化による下肢関節痛や、抱っこで手関節掌屈を続けることによる手根管症候群などがあります。


さいごに


今回は妊産婦における身体の変化、症状についてまとめました。

リハビリにおいて患者さんの症状が何からきているのかを知ることで、より効率的にリハビリができるかと思うので、参考にしていただけたらと思います。



感謝・謙虚・敬意
意志堅固
西條 貴則


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