見出し画像

3年間で4000億円、「人への投資」で見落としたくないこと

(写真は米国オレゴン州ポートランドで見かけた紫陽花:2014年7月)

日本政府の「骨太方針」が発表されました。

その中に3年間で4,000億円にのぼる「人への投資」を行うというものがあります。

政治的なことを書くためにnoteをしていませんので、政策の善し悪しを論ずるつもりは全くありません。(歯科検診についてはちょっと言いたくなっていますが...笑)

政府の方針があってもなくても、「自己投資」を含めて「人への投資」は民間でも官公庁でも行われています。

規模もプライベートで個人的に行われるものから、組織内で行われるものや、国をあげて取り組むものもあるでしょう。

近年、「人的資本」が話題に上っているのは、世界的な流れとして「企業価値」を測るために、「人的資本への投資」がどのように行われているかを開示することが求められているということもあるでしょう。

規模や形態は異なったとしても、「人への投資」が行われる際に、どうも見落とされているように思うことがあります。

今回は「人への投資」を有効にするために、見落としてはいけない視点をお伝えします。

「人への投資」とはどういうこと?

とても当たり前の事を確認しましょう。

「人へ投資する」

「投資する」って四時熟語の一言で簡単に言ってしまえば「資本形成」のことです。資金を投じて利益を得るために「資本形成」するわけですよね。

「人への投資」は、経済活動する「人」を「資本」として捉えるということが大前提なのです。

それでは「人」を「資本」として捉えるって、当り前なんじゃないのとおっしゃるかも知れません。

ほとんどの場合、組織論でも経営論でも「人」は「資本」として見られてきたのではなく、「資源」として見られてきているのです。

「ヒト・モノ・カネ・コト」などを「資源」として「管理する」わけです。

「資源」に直接投資するとは言いません。

(ちなみに「在庫投資」という言葉がありますが、これは循環が悪くなり「在庫」が増えていくことを指して使う言葉で、在庫である「モノ」に資金を投じて利益を上げることではありません。)

「資源」を利用することはあっても「資源」そのものには資金を投じるわけではないのです。

「ヒト」を「資源」として見るならば、利用する、管理するわけです。

ですから、人件費=コストとして見ることになります。

それを「資本」として「人」を見るならば、コストとしてではなく、キャピタルとして扱うのです。

ですから「人への投資」を行う場合、まず「人」を「資源」として扱うか、それとも「資本」として扱うかを問うべきです。

この大前提を見落としていては、何をやってもどれだけの資金をつぎ込んでも、それほどの効果は見込めないでしょう。

資金投入している間だけは一定の結果が出るのかも知れませんが、永続的な成長はもたらされないことは、説明する必要もないでしょう。

「人=資本」であるということ

「資本」を簡単に言ってしまえば、「事業の元手となるもの」です。

資本金は、「事業の元手となるお金」です。

「人」を「資本」とするならば、こんな言葉はないのですが、「資本人」とでも表現してみましょう。(本来は「人的資本」という言葉がありますが)

「資本人」つまり「事業の元手となる人」と解釈します。

元手なのですから、「人」が事業を興し、利益を上げ、事業を存続させていく根本なのです。資本家、経営者を「人」として見るだけではなく、従業員に対しても同じように期待することになるわけです。

ですから、「指示待ち」とか、「コピー取り」「お茶汲み」などは「資本」である「人」のすることではありません。

このことを最初に就職した時の上司がたたき込んでくれました。

まだデスクの上にパソコンがない時代のことです。

年輩の先輩社員がついでだからといって、私にお茶をいれてくれたことがありました。

するとお茶を入れてもらった私を見つけて専務に呼びつけられました。

専務のところに行くと「何やってるんだ!お茶を入れるために○○さんを雇ってんじゃない」と怒鳴られました。

30年以上前のことです。

この専務は全社員に「成長」することを通して、事業の「成長」はもたらされることを説いていました。

「ひとづくり」こそが投資

上司の指示通りにだけ動く人や、選択肢の中から最適解を選ぶだけの人は、必要なくなっているのです。

成長分野への人材移動するためのキャリアカウンセリングやデジタルリタラシーをあげるための再教育が必要ないとは言いません。

組織が「人」を「資本」として捉え、そこに「資金」を投入するということは、単に技術を身に付けさせる、知識を持たせることではないのです。

「人」の持つ潜在能を引き出すための投資とは、「人」が主体的に自らの強みを活かして、成果をあげるようにすることなのです。

持続的な成長をもたらすために「ひとづくり」を事業を営みの中で行うことを「ひとづくり経営」と呼ばせて頂いています。

「人」が如何にして成果をあげることができるか。どのように仕事の中で成果をあげながら「人」は成長できるのか。

それが人的資本への投資による「人的資本形成」なのです。

目先のスキルや技能、資格のための「再教育」を通して「労働移動」を促すことだけを「人への投資」として考えているとするならば、投資からは何も得ることはできないでしょう。


最後までお付き合いくださりありがとうございます。



「ひとづくり経営コンサルタント」髙澤健公式LINEはこちら↑



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?