見出し画像

vol.162「上司は最大のリスク。せめて判断し、弱い部分を手当てせよ。」

管理職は、いるだけでメンバーに対するストレスの要因になるもの。かつ、一人では何もできない生き物である。
そのことにせめて なるべく自覚的であったほうがいい。できる努力はする、できてはいない前提で考えて行動したほうがいい、という主旨の話を、何度かしてきました。

思い出機能で、たまたま各数年前の今日、管理職/マネジメント層に関する読後感想をメモしていたので、再整理して書きとめておきます。


◆上司は部下にとって「最大のリスク」である。

藤原和博さん『戦略的「モードチェンジ」のすすめ』より。

・規模の大小に関係なく、組織にいることの大きなリスクは「上司」の存在です。サラリーマンである以上、上司が間違いなく幸せの半分のカギを握っていると私は考えています

・信用がある人の10ヶ条
(1)挨拶ができる(2)約束を守る(3)古いものを大事に使う(4)人の話が聴ける(5)筋を通す(6)他人の身になって考える(7)先を読んで行動する(8)気持ちや考えを表現できる(9)潔さがある(10)感謝と畏れの感覚がある

・会社は自分の人生を記憶してくれるものではない。「自分以外にこの仕事はできない」「出世して名前を残すんだ」などと思っていても、いつの間にか忘れられてしまうもの

・上司の果たすべき役割は ①やりがいのある仕事を与えてくれる ②仕事を正当に評価してくれる の2つ

・本音の部分で、「先輩がモデルなわけがないだろう」と言ってしまってもいいのではないでしょうか

・ナナメの関係が大切なのは、大人も同様です。たとえ同じ指摘を受けたとしても、ほかの部署にいるナナメの関係にある先輩から言われた方が、はるかに聞く耳を持ったという経験が、あなたにもあるのではないでしょうか

藤原和博著『戦略的「モードチェンジ」のすすめ』より抜粋

上司は最大のリスク。良いほうにも悪いほうにも振れる因子である、というのは非常に納得です。
私自身は訓練して、上司(上層部)を「変えられない環境」と思っておらず、意見反論をいうことも平気なほうだけど、多くの組織人にとって、ときに重く覆いかぶさる天井だと思います。

会社は記憶してくれない・忘れられてしまうもの、もそうです。会社にロイヤリティのすべてを差し出したり、「自分が居なかったら仕事が回らなくなる」と考えるのは、ナンセンスだと考えています。

「ナナメの関係」も同じく。聴く耳を持つ効果もあるだろうけど、セーフティーネットになりうる点でも貴重です。直属の上司と摩擦が起きたとき、周囲に中立以上の人がいてくれると、戦うことも自分の身を守ることもできます。

藤原和博さんの著書、また講演で説かれていることはわかりやすく、論理思考にもとづいていて、説得力があります。

◆リーダーは優先順位を決める。一番弱い者を守る。

続いて糸井重里さん『すいません、ほぼ日の経営』より。


うちには、伝家の宝刀のような言葉が二つあって、「誠実」と「貢献」です。「誠実」と「貢献」では、「誠実」のほうが重要です。
「誠実」というのは、じぶんで判断できることです。「誠実」であればおのずと「信頼」が生まれます。なにかの仕事を頼んで、一緒に手をつないでいるときに、その人が手を離さないこと。逃げないと思える人とは仕事ができると思うんです。

糸井重里氏『すいません、ほぼ日の経営』より抜粋

社の理念、トップからの指針として、「品質と信頼」「安全第一」といったメッセージを発することは誰でもする。
だけど、
「AとBが相反して選ばなければならないときはB」
「AはB~Zすべてに優先する、オールマイティだ」
「Zに関しては迷わずやること。事後報告でもいい」
のように、『順番』(判断基準)を明示できるリーダーは意外に多くない。
「誠実と貢献とでは、誠実のほうが重要」と言いきるのは格好いいと思った。

「普通の会社では育休の人が増えることで仕事が増えたと愚痴を言う人もいるが」という問いに対して、糸井さんが答えるくだりがある。
「ハンディを負っている人に対して、そうじゃない人が意地悪になるのがとてもいやなんです。いつ、じぶんが支えてもらう側になるかわかりませんから、自分が支えられるときは支える。それが社会というものです」

納得のいく話です。
「出産・子育てをする者を、ほかの構成員が守る」という基本行動がなかったら、人類をはじめ多くの動物が(哺乳類だけでなく鳥類も魚類も昆虫も)種として生き残れずとうに絶滅しています。

「育休の人の仕事をなんで残った人間がやるんですか」と言っている人は、生物の基本的な仕組みがわかっていないということになりそうだ。


自分より賢い人の本を読む意味は、「視点を得ること」だと思っている。
藤原さんも糸井さんも、平易な言葉で、実行可能な対策、事例を話していて、参考になった読書タイムでした。

最後までお読みくださりありがとうございます。


◇お仕事のお手伝いメニューを試行提供中。※テスト段階のため無料です。
・形態:Zoom等を用いての遠隔ミーティングを主に想定。
・対象:個人事業主の方で心理的安全性の確保された壁打ち相手が欲しい方等。

「ご案内:個人事業で提供するメニューと、提供できる価値(2024.1版)」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?