一目惚れ
先日、友人と沖縄に遊びにいった。
最終日前日の夕方、時間があって那覇の壺屋やむちん通りという、那覇の焼き物街にフラッと足を運ぶ。
昔ながらの伝統を守っていて何となく中に入りにくいお店が多い中、ポツンと明るい雰囲気のお店を見つける。
友人と顔を見合わせて、「よしっ」と頷く。
中に入ると、現代風の焼き物やガラスの食器がズラッと並ぶ落ち着いた雰囲気。
素敵な物がいっぱいあるなぁと店内をゆったり回っていたら、赤紫色に輝く箇所にパッと目を奪われた。
それがブーゲンビリアの葉の箸置きだった。
何か正体はわからないけど、ぎゅっと掴まれた気持ちになる。
ただここで、
「箸置き使わないなぁ」
「無くしそうだし」
買わない言い訳がぽんぽん立ち並ぶ。
そして、後ろ髪を引かれる思いのまま店を出た。
そのまま国際通りに戻ってぶらぶら散策を続ける。
「あの箸置き買わなくてもよかったん?」
「いや〜でも無くしそうだし(笑)」
友人と話しながらも、惜しいことをした気持ちは拭えない。
もう焼き物屋さんはどこも閉店くらいの時間になって、諦めつつ何となく店の閉店時間を調べる。
もう閉店している店も多い中、そのお店は閉店まで後30分。
ここから店まで15分かからない。
「ごめん、やっぱもう一回あのお店行っていい?」
「もちろん」という友人の快諾を得て、スタスタと早足で店に戻る。
店に戻り、一直線であの箸置きの場所に向かい、手に取った。
旅行先で、小さな小さな箸置きに一目惚れをした話。
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