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SFC OB会長が、わざわざSFCの横で、畑作業をやっているのか。

いつのまにか、1年以上続けている状況が生まれました。

2020年、慶應SFCは1990年創立から30周年を迎えました。僕が入学した年は1999年。すでに21年前、、さらに卒業をする年は2003年3月なので、18年前のことです。

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2019年よりSFC三田会として、「ミネルバの森委員会(2020年に解散、現在別委員会として継続)」と連携し、【SFC30周年特設科目】ミネルバの森――卒業生との連携による「理論と実践」の融合モデルづくり――ミネルバの森という授業を在学生に向けて実施いたしました。「SFC卒の社会人ならではの専門性+発想力+先端性」と「SFC生ならではの斬新さ+実行力」を持って「何か面白いもの」をかたちにするための「青写真づくり」を本講義の最終目的です。

もちろん私たちOBOGが数人、TAとして授業に参加し、それぞれテーマを提供しながら、議論する場を、滞在型教育研究施設SBC(スチューデントビルドキャンパス)で実践するということなりました。

その中で、2020年目の第2回目は、実践を強くするために、SFC横の畑を借りて「農の営み」を計画。担当教員である長谷部葉子准教授とともに、近隣の畑を探していました。

「さて畑ってどのように探すのか?」

確かに自分が学生のころ、周辺の地域情報は、案外皆無だったことを思い出し、それに詳しいはずと言われているサークル八百藤(やおふじ)に問い合わせ、紹介されたのが永田農園さんでした。

永田農園さんは、藤沢市打戻地区の農家さん。「打戻」は遠藤地区の真横の地区で、僕ら慶應SFC生は「藤沢市遠藤」でまかり通っていたが、地域として身近なのは「打戻」という事実。(遠藤はもっというと地区でも端のほう)キャンパスの、生協の裏の門から徒歩1分。栽培用ハウス9棟(約 2,800坪) 出荷用ハウス、露地畑を持っており、40人ほどの従業員が働いており、2012年から藤沢市の支援を受け、体験農園を開設するほどだった。

その体験農園の指導者として、武笠氏に出会う。

彼がこの体験農園で実施することは、場所貸しだけではなく、その農園で栽培される野菜たちの情報、それにまつわる管理について指導くださってくれた。農の取り組み自体初めての学生にとっては貴重で、「わざわざSFCにきて農業するとは・・!」と思った学生も多かったのだと思う。しかし「あれ?こんな近くに地域と繋がる場所がある!」と思ったに違いない。

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当初は、授業の一環としての農作業ではあったが、実際授業は半期のみ。4−7月が終了すると、8月から来年まで、畑はほったらかしになる。例えば5月に田植えをしたが、稲刈りはできない。そんななか8月以降も、私そして長谷部先生や長谷部ゼミ生がコロナ禍の中、規律を守って、農作業に参加してくれたことに感謝すると共に、「持続可能な域学連携を生み出すこと」を率先してくれた。(うちの娘、惟吹もよく参加した)

その地域の窓口が農であるとしたら、その扉の向こうの、時間の流れは、大いに異なる。

「ここで田んぼをやってる農家は、別に経済的に必要だからやっているってよりも、社会的に必要だと思っているからやっている。でも、10年後は今続けてる農家の中でどれだけの人がやってるか分からないし、たくさん続けられない人が出てくる」

実際に、農家としてその土地に携わる人の、気持ちだ。

僕自身、毎週畑作業をするのは、実は十数年ぶりで、当時は「屋上菜園」として、世田谷ものづくり学校の屋上で、場所を借り、作業をやった以来だ。そこで何が起きたか。もちろん野菜を栽培したが、農という側面において、「継続的に通い続ける(顔を合わせ続ける)」「体を動かす中で人間関係が構築される」環境がうまれたことで、そこに携わった人同士の人間関係を紡ぐのにも非常に良い環境が生まれたことだ。

また僕自身、農家出身でもなく、そうした方向性を持ったビジネスをしているわけではない。そんな中、現在SFCで大学院に通っている、長谷部研究会のゼミ生との対話で見えたことがあった。

より、ソフトな面に関して言えば、「域学連携」という時の、大学/大学生と地域の双方の意識や関係性に関して、今後より多くの地域で持続可能な域学連携が生まれていくための、その丁寧なプロセスを紡ぎ出し、普及させていくことにも研究の成果としてのビジョンは持っています。(中略)ただ「より持続可能な域学連携を生み出すための、双方の役割や関係性のプロセスに関して示唆を与える状態」を目指しているということはできます。

そうか。「大学生/大学院生」だから、出来ることがあると感じた。

私もSFC三田会として、正直なところ、OBOG生にとっては、まだまだ遠い場所(これまでのSFCと同様に)と感じていた。

一方で、そうした活動や教育の現場の中で学ぶ学生たち、そして、その活動から生まれるコミュニティやイベント、開発された商品、サービスを受けたい、というOBOG生は少なからず存在すると感じているのも確かだ。

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また学生の視点からすると「今だから『こそ』できること」は重要で、3〜5年後、どういう状況になるかはさておき、今だから出来る活動に注力するのはありだと思う。

そして、その断続的な学生の活動と、継続的に農を営む人たちとの取り組みについては、議論の余地は、10年前も、20年前も変わらず残っていて、内省的なコミュニケーションの取り方、取り組みのしかたについては、ツールとして残すべきだし、断続的にも、深く関わろうとしている学生は、卒業後も、継続的に地域に携わっていくこと、もしくはゼミ活動をサポートすることができるかもしれない。

つまり問題発見、問題解決のプロセスに従っており、その先の回答の方法として、具体的なものを注力する学問であったり、フィールドをSFCに今後作り上げるのも、OBOGとしてチャレンジできると思う。



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