見出し画像

英文読解に必要な知識の一問一答化〜英語の授業=後出しジャンケン説〜

僕は私立高校で英語の教員をやっています。結構楽しく教師をやっています。

今日は最近自分がやっている授業実践について書きたいと思います。

---------------------------------
英語の授業ってそもそも後出しジャンケンじゃね?
---------------------------------

自分が生徒の頃から英語の授業を受けてて謎のことがあったんです。それは『英語の授業ってそもそも後出しジャンケンじゃね?」と言う疑問です。

よく考えてみてください。英語の授業って和訳問題を解かせた後に、「これこれこう言う熟語があるよ」とか「こう言う構文があってね」と教えるじゃ無いですか。

これ、よく考えたら後出しジャンケンみたいで、「ズルイな」って思ってました。まあ、教員になってからも同じような授業やってたんですけど。

---------------------------------
数学の授業で同じことやったら終わる
---------------------------------

これ数学の授業で考えるとスゴい変な話だと気づきます。

先生が何も説明せずに、生徒に問題を解かして、ある程度問題に取り組んだ後で「実はこう言う公式があるんだよ」って言ったら、みんな怒ると思うんですよね。

---------------------------------
構造をまとめてみましょう
---------------------------------

もう一度構造をまとめてみると

数学:公式解説→問題演習
英語:問題演習→公式解説

こうなってるわけですね。

しかも両者のもっと正確な構造を書くと以下のようになると思います。

数学:公式解説→問題演習→問題を解くことで公式を再確認
英語:問題演習→公式解説→解説を聞いて終了

数学は2度、公式に触れる機会があるのに対し、英語の今までの教え方って公式(構文・熟語)に1度しか触れない設計になっています。

この構造で定着率って上がるのでしょうか?

---------------------------------
自分なりの改善案を考えてみた
---------------------------------

このような疑問を持ち、自分なりに英語の授業を数学の授業スタイルに近づける工夫をしてみました。

公式解説→問題演習→問題を通して公式の再確認

これを英文解釈(和訳)の授業で試します。

---------------------------------
英文解釈(和訳)の授業において公式とは?
---------------------------------

まずは生徒に公式を伝えます。英語における公式は構文・熟語・和訳をする際のテクニックです。

和訳をする際のテクニックは、例えば、「動詞の直後のthatは接続詞のthatで名詞のカタマリを作ることが多い」などの知識のことです。

これらの知識をまずは一問一答の形に落とし込みます。

---------------------------------
ここでQuizletと言うアプリを使う
---------------------------------

Quizletと言うアプリがあります。有名なアプリだと思いますが、解説ページを貼っておきます。

簡単に言うと一問一答を生徒に提示して生徒の暗記を促進出来るアプリです。

ここに先ほど作った一問一答を入れて生徒に公開します。

---------------------------------
一問一答を解いてもらってから英文和訳を行う
---------------------------------

生徒はアプリを使って一問一答をまず解いてから、次に何も見ない状態で英文和訳の問題に取り組みます。

読解に必要な知識を事前に仕込んであるので、生徒にとっては何だか見たことのある英文が多いはずです。

「公式説明→問題演習での公式確認」と言う流れがいつもの授業よりは達成できそうです。

---------------------------------
自力で出来なかったらQuizletを見ながら英文和訳
---------------------------------

最初に公式を一問一答形式で覚えてもらったとは言え、英語が苦手な生徒にとって、英文和訳の問題は難しい場合が多いです。

その場合、生徒はQuizletを見ながら英文和訳をします。

---------------------------------
一問一答が生徒にとっての難易度調整になる
---------------------------------

思わぬ副産物がありました。この工夫をしてから、全ての学習レベルの生徒のモチベーションが上がった気がします。その中でも英語が苦手な生徒のモチベーションが特に上がりました。

何故ならば、Quizletを見ながら問題を解くことで英文和訳の難易度が下がったからです。難しすぎると生徒は諦めてしまう傾向があります。適度なヒントがあることで生徒のモチベーション維持がある程度達成できました。

逆に英語が得意な生徒はノーヒントで解いています。

授業内で生徒が自分の実力に合わせた形で問題演習が出来るようになり、簡単な形ではありますがアダプティブラーニングを達成することができました。

---------------------------------
授業形式のまとめ
---------------------------------

授業形式をまとめると

①生徒はまず構文などの英文和訳に必要な知識の一問一答をアプリで覚える
②その後、ノーヒントで英文和訳を行う
③得意な生徒はノーヒントで和訳をし、苦手な生徒はヒントを見ながら和訳を続ける。

---------------------------------
読解に必要な知識の一問一答化
---------------------------------

この授業のメリットは「読解に必要な知識」を一問一答の形にしてアーカイブに残せることです。

色々な生徒を見てきましたが、英語が苦手な生徒を得意にするプロセスの中で「読解に必要な知識」をある程度スムーズに運用できると言うことが重要な気がします。

例えば、「文中の中にthose who〜が出てきたら、この場合のthose=people」などの知識です。

これらの知識は授業内で教員から解説されることはありますが、他の単語や熟語と違って一問一答形式にはなっていないため、生徒はこれらをトレーニングする手段をほとんど持っていません

僕はこの部分こそが生徒の読解力を短期間に上げるポイントだと思い、一問一答化、リスト化を行ってきました。

今までこれらをリスト化してもあまり上手に使ってこれなかったのですが、ICTツールの普及とともにこれらのリストをフル活用して生徒の英語力向上に貢献出来る気がします。

この方法が上手くいくかどうかまた報告させていただきます。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?