隠れた良作、について

「ケロケロキング」というタイトルをご存じでしょうか。

私がプレイしたものはゲームキューブで発売された「ケロケロキングDX(デラックス)」で、シリーズ2作目となります。
初代はメディアファクトリーから、2作目からはバンダイから発売されました。
PlayStation2でシリーズ2作目の移植版「ケロケロキングスーパーDX」も出ています。アクションが苦手な人間でも楽しめる面白いゲームだったのを覚えています。

ざっくりとゲームの内容を説明すると、これはゴルフではなくカエルを飛ばしてカエルインを目指す”ケロフ“というゲームです。

「みんなのゴルフ」と同じように、ショットを打つ時はパワーゲージに合わせてタイミング良くボタンを押し、カエルの発射台を叩きます。そしてカエルを飛ばします。

しかしボールではなくカエルなのが、このゲームの面白いところです。
ゴルフのように狙ったところに届かなくもアクションが沢山発生し、そこで生まれる加点がかなり美味しいゲームなのです。

まず、カエルなので池や川に落ちるとやり直し……ではなく、岸まで泳いでくれます。しかも水に落ちると、カエルが泳ぐたびポイントが加算されるのです。(ゲーム内のカエルは水に落ちると気力が一定まで回復するので、カエルの喜びによるポイント加算なのかな~と思っています)

そして岸に上がると、丁度よくハエが飛んでおり、ハエを食べに飛びつき、着地地点にはクモの巣がありどこかに飛ばされ、落ちた先の藪から蛇が出てきてカエルが食べられ、蛇から命からがら逃げだすと、また水に落ちてあらぬ方向に泳ぎます。

そうしてポイントをどんどん稼いで、気づいたら飛ばしたはずのカエルが飛ばした位置からほとんど変わらない場所にいたり……(笑)
狙って行動させても、運に任せて飛ばしても何が起きるかわからないゲームでした。
頭で思い描いたとおりに動かせなくても勝つことができるので、楽しくて小学生のころ妹とよく遊んでいました。

しかし、アクションが苦手な私でも楽しめる、アクション要素のあるゲームが、ヒット作にならなかったのはなぜでしょうか。

マリオの1-1でクリボーが踏めず、避けようとジャンプしたのに着地と同時に激突する私がです。穴を飛び越えられず何度も落ち、死にそうな思いでクリアした後に見た1面のマップ数の多さに絶望する程度にアクションが下手な私が、です。

そこで、分析をする中で「パックマン」の生みの親岩谷徹さんが書いた「パックマンのゲーム学入門」を読んでいて、なるほどなぁと思う項目がいくつかあったので紹介します。

この本のCHAPTER2ではゲームデザインに関する話がいくつか出てきます。

 その中で、ゲームの動機づけというものがありました。
プレイヤーが多くのゲームの中からひとつのゲームを選択し、プレイしたいとする動機を与えるためには、何が必要なのかを考察していました。
以下は書かれていた必要な条件です。

第一条件:ゲームに注目してもらう
第二条件:ゲーム目的がはっきりしている
第三条件:「私にもできる」と皆がそれぞれに自信が持てるゲームである
第四条件:注目を受け、パフォーマンス可
・補足的な動機付けとして、「既存ルールに沿ったゲーム」「ジャンルの進化系ゲーム」

この中でやはり第一条件と第四条件が弱かったことが原因ではないかなと思いました。
第一条件の要素は以下の通りです。

要素:①新奇性(しばらくあるいは今までに一度も経験していない)②不確定性(わからない事柄や、試行錯誤ののち、疑問を解いていくもの)、③複雑性(構成要素の種類や数が多いほど複雑)
どれだけ面白みにたけているものなのか、そこにはどんな驚きが隠されていたりするのか、どのくらい楽しめるものなかかなど、何かプレイヤーを誘発させるセールスポイントを掲げることで、お客さんの関心をこちらに向かせるようにしましょう。

正直要素としては①~③はクリアしているように思います。
ですが「プレイヤーを誘発させるセールスポイント」がきちんと掲げられてなかったことが原因だと思いました。
グラフィックも、キャラクターもとてもユーモアがあり愛らしく惹かれる見た目はしています。しかし、ゲームをプレイしなければわからないことが多すぎたように思います。パッケージでは内容がよくわからず、実際プレイしてみてやっと「こんなゲームなんだ!」と気づきました。(そういえば小学生の私にとって、初めてのジャケ買い作品でした)

また、第四条件の注目を受けパフォーマンス可という点も難しい部分が多いと感じました。このゲームの面白いところはカエルによって起きる予想外の”展開”です。人とは違う面白い出来事がおこったとしても、画像では魅力を伝えずらいのです。

現代では日常的に行われている、プレイ画面のシェア機能があればまた違ったのかもしれません。

ケロケロキングDXは、ストーリーよりも対戦ゲームとしての面白さが強いゲームでした。
今後ないかもしれませんが、オンライン対戦ができるようになって再販した場合、今ならかなり盛り上がるゲームになるのではと思います。のんびり話しながらプレイもできますし、誰かにシェアしたくなる場面が沢山あると思います。
ではひそかにまたプレイできることを願いながら、見事復活を遂げた「どこでもいっしょ」の「トロとパズル」β版をプレイしに戻ろうと思います。

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