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ジェレミー・ブレットのファンになれる

 一ヶ月に一度くらいはホームジアンらしく、シャーロック・ホームズの話でもしよう。というのも先日、出版された書籍『シャーロック・ホームズとジェレミー・ブレット』という分厚い本を買ったから。
 3000円ほどするので、少し迷ったが、やはり買ってしまった。遅かれ早かれ理論。いずれ買うのは分かっていたので、買える時に買っておくというやつ。

 グラナダTV制作ドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」シリーズにおける主演俳優ジェレミー・ブレットの人となりと、制作陣の様子を中心に紹介している書籍。
 彼の演技は今はもちろん、当時からホームズそのものとして絶賛だったことが分かる。というのも、この本の特徴は著者が論述するというよりも、参考文献的に、ジェレミーやプロデューサー、更にはマスメディアの当時の発言を紹介することで、実態に迫ろうというのが趣旨だから。

 これまで僕は、ホームジアン、すなわちホームズ好きとしての側面から、彼の演技が素晴らしいなと感じていた。その観点で彼のことが好きでもあった。しかし、彼のファンを名乗る訳にはいかない。
 なぜなら、彼がどういった俳優だったのかをWikipediaでしか知っていないから。

 彼はホームズを演じる以前から有名な俳優だった。しかし、それらの作品については今なお観ていないし、この書籍でも冒頭にて触れられているが、少しずつホームズシリーズの話題に専心してゆく。

 しかし、彼のホームズを演じるにあたっての努力は、並大抵のホームズ好きをも凌駕するレベルだと感じた。
 常に小説を持ち歩き、原作と脚本との差異に気を配っていたという。プロデューサーたちの発言には、何度も彼が「完璧主義」であったことが述べられていた。
 作品を通して、ジェレミー・ブレットなりに解釈された仕草や、映像化されない・原作に無い、深みとしてのバックボーン。それらをまとめて読めるのは、おそらくこの本くらいなのではなかろうか。
 
 この本を読み終わることには、ようやく僕は、ホームズマニアとして彼を好むだけでなく、一個人としてジェレミー・ブレットのファンでいられると確信している。
 この書籍の原題を噛みしめながら、多数のドラマのワンシーンカラー図版を見て喜んで、この冬を越します。

原題『JEREMY BRETT IS SHERLOCK HOLMES』


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