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100年の孤独/放哉に想う〈Vol.40〉

いつからか笑つたことの無い顔をもつて居る

尾崎放哉全句集より

Vol.31「須磨寺逍遥」でも書きましたが、放哉は須磨寺の大師堂で一時期、堂守として暮らしていました。
写真は、その大師堂の前にある大きな香炉を両側で支えている稚児像の顔のアップで、香炉を正面にして向かって左側の像です。
これは阿吽形の「吽」にあたり、右側にある小さく口を開けた「阿」の稚児像と対になっています。

稚児像の表情は、日本画家の横山大観が描いた「無我」にも似た、なんともとらえどころのない虚ろな瞳です。そこに漂うのは法悦のしるしか、それとも諦観か……放哉の幼少の頃の写真にも似たその表情に、晩年の放哉の境地が、そこはかとなく感じられるのでした。



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