武蔵野市図書館巡り

東京の一人暮らしで金がないと困るのが休日である。金があれば車を借りて神奈川の海へ出かけたり、新宿のジャズバーで読書したり、パルコやらアトレやらで映画を観たりショッピングしたりと、まあ何かとすることがある。10万ちょっとの月給から家賃と生活費を抜けば残るのはほんのわずかで、僕に残された休日の過ごした方といえば図書館巡りしかなかった。


僕は西東京を中心にロードバイクを走らせてそこそこ大きな図書館を訪ねて回ることを週末のビッグイベントとすることに決めた。東京の図書館は細かいところまで整備されていて、地元兵庫の小便臭い市立図書館と比べるとまるでテーマパークである。色々行ったのだが拠点は武蔵野市であったため、武蔵野市三大図書館のお気に入り順に紹介する。


1. 武蔵野プレイス

中央線武蔵境駅からすぐのところにこの武蔵野プレイスは堂々と立っている。初めて見た時に何か観光地的なスポットなのかなと思ったのを覚えている。地下一階と一階が図書館で、それより上は会議室とか武蔵野市にまつわる資料のあれこれという構成だ。まず入るとオープンのカフェがあって、受付カウンターや予約した本がすぐ受け取れる本棚みたいなのがある。天井が高く広々とした作りになっている。メインは地下で、まあ色々な本が横長のフロアに置いてある。自習席では制服姿の学生がカリカリと宿題をやっている。本の数はかなり多いと思う。3大武蔵野図書館では二番目だと思う。

僕が一番気に入った点は落ち着いた雰囲気で、大学図書館を思わせる雰囲気があるというところだ。おそらく客層だろう。僕が図書館に来るのは夕方以降としていたのもあるが、ここにくる人はほとんどが高校生以上50歳以下だったイメージがある。同年代の利用者が多く、彼らは黙々と自分の作業に集中しているためモチベーションが上がる。照明も薄いオレンジで心地よい。


2. 武蔵野市立中央図書館

三鷹駅から北に10分も歩けばここに着く。武蔵野三大図書館で一番本の量が多いと思う。3階建てで、メインは2階。1階は児童向けで、3階は全集などの大きな本、つまりおじさん向けだ。

ここは本の数が多いためよく利用したのだが、武蔵野プレイスに比べるとボロくて埃っぽい。壁際のソファには昼寝をしにきたお年寄りが席を陣取っており、僕が座ると「若造はあっち行ってな」という目つきで見られる。3階の奥にはかなり隠れ家的な自習席があるのだが「武蔵野市民専用」かつ「事前申し込み制」なので僕は座れなかった。特に悪い図書館じゃないのだが、武蔵野プレイスのアットホーム感には程遠い。



3. 吉祥寺図書館

ヨドバシ吉祥寺店の裏。駐輪場にはどう考えても利用者以上の自転車が停めてある。一階には雑誌と新聞、地下にはメインの本がある。本の数は上記二つに比べてダントツで少ないと思う。

ずば抜けて立地が都会のため人が多い。席にはもちろん座れない。子供からお年寄りまでみんないる。ここは吉祥寺の人混みに疲れたときの避難場所として使っていた。上記同様、普通の図書館でこれといった欠点はないが、武蔵野プレイスのフレンドリーさには敵わない。



朝起きてすることがない、と思った日でも「夕方になれば武蔵野プレイスに行くんだ」と思うとワクワクする。武蔵野プレイスは実にそういう場所である。友達の少ない東京の一人暮らしにはこのような第二の帰る場所みたいなのが必要になってくる。


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