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早稲田9浪はすごくもなんともないからな

早稲田大学を卒業した身としては、「早稲田9浪」の肩書きで「苦労しました9浪だけに」というキャッチコピーの某男性がメディアで取たざされる意味がわからない。

そもそも経歴詐称ではないか

「早稲田9浪」という肩書きを聞くと、9年間駿台や河合に通ってガリガリ自習室で勉強してやっと合格したのかな、と頭に浮かぶ。
(やや遠回りな勉強をしていたのか、少し不安になるが……)
本当にプレッシャーがあるだろうし、あとに戻れない崖っぷちさを味わっている希少人物だから、話を聞いてみたいと思う。

しかし、彼の経歴はこうである。

大阪産業大学経済学部経済学科

龍谷大学経済学部現代経済学科に編入学・卒業

証券会社に就職

配置薬会社に再就職

早稲田大学に一般受験で合格し、教育学部国語国文学科に入学

それ、ただの社会人入学じゃない??

浪人とは名の通り、流浪の民である。
「学生」という肩書きも、「社会人」という肩書きもなく、何もないまま浪人という惨めな状況と向き合いながら、朝4時に起きて勉強して「このまま一生受からなかったらどうしよう」という不安が付き纏っている方々もいるわけだ。
実際に東京藝術大学を10浪とかしている人は、仙人のような絶望と悲壮感を背負いながら予備校でデッサンをしている。
医者家系で医学部受験三浪目……のプレッシャーと、彼の九浪は全然違う。

「学生」「社会人」という経歴に安住しながら、「再受験」をする人を、浪人と呼んでいいのか疑問である。

彼の活動は、日本の生涯学習の幅を狭める


彼が「20代後半になって大学受験のリベンジをしてやっと早稲田大学に合格しました!」「何歳になっても大学受験はできる!!」などいうのなら素敵に見える。
「苦労しました9浪だけに」というのはなんだか信用できないな、と思う。

そもそも、早稲田大学には社会人を経験してから、学び直しのために入学している人は多くいる。
彼らはおおよそが18~22歳の学生の中にいながら、やや肩身の狭い思いをしていると思うが、「なんとなく大学生になりました」という人よりも「知的好奇心」が優っていて授業内の態度も好感が持てる。

日本ではこのような状況であるが、海外では一回社会人を経験してからの大学入学はメジャーであるはずだ。
そして、私は、そういうのってすごくいいなと思う。
現状の大学が就職予備校となっている昨今において、より多くの年代が、就活のためではなく、学びたくなったタイミングで入学できるようにしたほうがいいことをずっと思っている。

ならば、社会人になったもののやはり再受験をして入学した人のことを9浪と呼ぶのは、ほかの社会人受験者にも迷惑がかかる
入学年齢マイナス18、をした数字だけを浪人と称しているのは、彼が独自で作ったルールに他ならない。
彼こそが「大学というのは18歳で入学するのが当然」という価値観を是正すべきである。

せっかく9年間に大学生活、社会人生活を積み上げ、あらゆる視座を持った上で大学生になったのに。社会人入学と生涯学習の素晴らしさを説くコメンテーターになればいいのに。可哀想でしょう推しに胸焼けがする。

彼は小さいコミュニティで【27 歳で早稲田大学に入った人】と見られるかもしれないが、大きい世界で見ればそんなひとごまんといる。

最後に

9浪のひと、本を出してるけど、現役で早稲田に合格した人の本のほうが参考になるのでは?
反面教師にしろということなのか……?


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