欧州リストラの極意/日経ビジネス2019年5月27日号
ちょっと前の記事ですが、読んだので備忘録。
ここ10年、日本は雇用を減らすなどしてリストラを断行してきました。その結果、会社のパワーは落ち、利益が確保できなくなって、結局海外の企業に買収されるなど、悲しい現状になっていますよね。
方や欧州はというと、上手にリストラなどをして、今では営業利益率10%超え、時価総額では日本企業に大差をつけるという結果になっているようです。なぜ欧州企業はこんなにも商売上手なのか?
簡単に言えば、トップがリーダーシップを取って、いろいろ断行してきたことが、成果につながっているようです。
「日本では経営者が保身のために事業を手放さず、集約すれば世界で勝てる可能性があるものが放置されている。競争力が低下しているのは、経営者の資質によるところが大きい」
こんな指摘がなされているほど、周りの目を気にしすぎるのは昔も今も変わらず。それが良い方向にまったく働いていないということ。
日欧の違いは以下の3点。
まず第1に、欧州企業はトップ直属で全体を統括する強力なチームがある点だ。
欧州では米国ほど短期ではなく、5年程度の中期で経営者の実績をチェックし、事業の入れ替えを促している。
グローバル展開が加速する中で、世界の多様な知見や価値観を積極的に経営に取り入れていることだ。
それが全てではないとは思いますけど、確かに日本は柔軟性に欠けるところがある気がしますね。フレキシブルに、かつシビアにいかなければいけないところがありそうです。
さて、欧州が断行してきたリストラの具体例で印象に残った文節をピックアップします。
ホーテンCEO(フィリップス)の事業構造改革の特徴は、勝ち続けられる事業を見極め、経営資源をそこに絞り込む点だ。まずその対象を世界的に成長が続くヘルスケア事業に定めた。一方で収益力があっても、中長期で持続しないと判断すれば売却する。
勝てる事業に集中するのは当たり前のことなんだけど、そのためには何かを捨てなければならない。この企業はその捨て方が異常。
世界シェアNo.1の照明事業を持っていたフィリップス。その照明事業をやめたんです。まだ世界No.1なのに! もちろん、将来的な予測があってこその決断だったんだと思いますが、それにしてもすごいこと。
僕が学んでいるランチェスター戦略は、業界シェアNo.1をつくるのを目的とします。No.1になると収益性がもっと良くなり、事業をするのにすごく有利になるんです。その状況を作り出すのが目的なのに、それを手放すのは並大抵のことではない。もちろん同社も撤退には大変だったようです。そのために何をしたかというと、経営陣を刷新して、改革に前向きなメンバーで揃えた。その選考はキャンプだったそうです。
役員候補となるマネージャークラスの人材を米ユタ州の大自然に集合させ、自ら参加するキャンプで1週間ほどの共同生活を送るのだ。
それが山奥でキャンプするといった「非日常」に置かれると、水面下の沈んでいた潜在意識が浮かび上がり、その人の本質が見えるという。
キャンプで人の本質を見極める!素晴らしいですね!
これはよく恋人が結婚するときに富士山に登れというのと同じですね!辛い状況の中ではその人の本心が見えるものです。
なんかこの部分だけ見るとアナログ感があって微笑ましいですよね。僕もいつか導入してみようかな。
さて、フィリップスがなぜNo.1事業を捨てるに至ったか。それは未来予測から来ているそうです。
この見えない未来を予測することこそ、事業に勝ち続けられる状況を作る鍵があるのです。
僕もそれは理解しているつもりで、自社では毎月「未来会議」ということで、3年先の会社の未来について社員全員と議論しています。この未来会議は今後社員が増えたり、事業が増えたりしたらもっとパワーアップさせたいと思っていますが、そのヒントが今回の記事にはありました。
例えば、仏食品大手のダノン。この企業もまた未来を予測し、先んじて1手を打っています。
世界の食品業界では今、地殻変動が起きている。特に欧米では20〜30代のミレニアム世代を中心に、食に対する考え方が変わりつつある。
「植物由来食品は成長率が高い」
このような予測のもと、ダノンは動物から植物への転換を測っているようです。
独シーメンスの取り組みはまさに参考になるもの。
「ピクチャー・オブ・ザ・フューチャー(PoF、未来の絵)」と呼ぶ今後10年より先の長期予測。
このPoFを同社は作ることにかなりの力を入れているようです。
会社の将来を決定づけるPoFの作成には、膨大な労力をかける。
策定には最低でも半年、長ければ9ヶ月をかける。
作成は大きく5段階に分かれる。1つ目はPoFチームが分野ごとに関連情報を収集し、数百に及ぶ世界のトレンドを整理することだ。
こうして整理したトレンドをもとに、事業対象市場の未来に関して仮説を作成するのが第二段階。3つ目は、この仮説について大学教授や政府、投資家、消費者、NGO(非政府組織)など、国内外の専門家の検証する。
第4段階は、こうしたまとめた仮説をPoFチームが1枚の絵にまとめる。
シーメンスはおおよそ5年に1回の頻度でPoFを描いており、現在、次なるPoFの作成に取り掛かっている。
関連情報の整理→世界のトレンドを整理→未来への仮設を立てる→大学などの第3者機関に相談→まとめて1枚の絵に
この図式がわかりやすいですね。本気で未来について考える姿勢が、たぶん現在の成長を支えているのだと思います。
これ、僕は本当に重要なことだと思います。
だって、未来が見えたらどんなゲームでも勝利することができるから。野球でもサッカーでも将棋でも麻雀でも、未来がわかれば100%勝つことができます。
未来には100%はないけれど、世界の向かう方向性は示されているし、これから何が起こるかって実は僕よりも数倍も頭のいい人が予測してくれているので、それを取捨選択して自分の事業に置き換えて考えるだけでいいんですよね。それをなんとなしにやらないで、未来会議という1ヶ月に1回強制的にやる場を設けることがとても重要だと思っています。
将来の未来会議の形はこのPoFのようにしていけばいいのだな。
リストラのステップとして記事では3つのステップを上げています。
1.長期シナリオ作成
2.撤退・売却
3.育成・買収
長期シナリオは先に上げたとおり。
撤退・売却については、まぁ要するに何かをやるには何かを捨てなければならないってことですね。
で、3の育成について気になる項目を見つけたのでシェアします。
ネスレの事例です。
将来予測に基づき有望と考える事業どう成長させるか。シュナイダーCEOは、外部の知見を積極的に取り入れ始めている。
外部取締役で招聘したのはZARAのCEO、アディダスのCEO。
この二人の共通点は何か。流行の移り変わりが早いファッション関連産業の経営者ということだ。
ここで思ったのは、ファッションってだから商売が難しいのか〜ってことですねw
それはともかく、考えてみればソフトバンクもユニクロの社長の柳井さんが外部取締役にいますよね。
なるほど、ファッションで成功している人っていうのは聞いて見る価値アリなんですね。メモメモ。
というような内容でした。
個人的にヒットは、未来予想の部分です。ここは今後も自社に取り入れていきたいと思っています。
まぁあとは勇気ある断行ですかね。経営者がエイヤとリーダーシップを発揮してグイグイ引っ張っていくくらいじゃないといけないっていうことです。そういう意味では日本だと富士フイルムとかソフトバンクなんかは未来を見てガシガシ突き進んでいるイメージがありますね。
どんどん突き進んでいかないと企業は腐っていきますからね。現状維持は衰退の始まり。上昇志向でやっと現状維持。だから上げるためにはもっと頑張らないと。そんなことを思いました。
【備忘録メモ】
▶人を見極めるにはキャンプだ!
▶関連情報の整理→世界のトレンドを整理→未来への仮設を立てる→大学などの第3者機関に相談→まとめて1枚の絵に
▶ファッション会社はトレンドに敏感
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?