よるのばけもの

よるのばけもの

著:住野 よる
イラスト:loundraw

本当の君がここにいる。

ヒトリぼっちがひとりぼっちに出会い、ふたりぼっちになったとき、物語は動き出す。

あらすじ

主人公のあっちーこと、僕は夜になると、ばけものになる。
寝ていようが、座っていようが、立っていようが、それは唐突にやってくる。そんなことが日常と化していたようなある日、ばけものになった僕は、忘れ物を取りに夜の教室に飛び込んだ。誰もいないと思っていた。けどそこにはなぜか、クラスメイトの矢野さつきがいて―

クラスメイトの矢野と夜の密会をするうちに、しだいに矢野のことを知るようになる僕。クラスでみんなが見ている矢野は本当の矢野なのか?今のクラスに上手に溶け込んでいるつもりの自分は本当の自分なのか?

これは本当の自分をめぐる物語。

この物語について

ひとりぼっちと、ヒトリぼっちが出会って二人ぼっちになる、もしくは秘密を共有するというのは、ボーイミーツガールでよく見る展開で王道かなと思うのですが、この物語では、クラスという私たちが過ごしてきた日常を舞台に、それも中学生という、なんとも成長期で、そういった関係を描くのが難しいところを繊細に描いていると思います。さすがは住野さん。

物語は昼と夜の場面で描かれ、そこで僕は、人間とばけものになっています。地の文が僕視点で書かれているので、没入するととてもムズムズします。僕から見ている矢野さんは、どう変わっていくか、本当はどんな女の子で、何を考え、どう行動してきたのか、それを徐々に分かっていく僕の視点から読むのはまるで自分も一緒に、よるの出来事を共有しているかのように感じられると思います。

そして、だんだん矢野さんのことを分かっていくと、ほんと矢野さんが可愛いんじゃぁ。(読んでる人に伝われこの気持ち…)

誰だって周りの環境に少なからず影響されている。その中で、”本当の自分”というのを貫き通すのは難しい事です。
クラスという小さな社会の中で、自分を貫き通そうとしたら、相当上手にやらないと、”失敗します”。クラスの中でもいろいろな立ち位置があって、みんなその場に立っている。
少しでもその立っているところから足を踏み外そうものなら落ちてしまいます。そんな感じ。

矢野さんは、下手だったのだと思います。そう下手だった。

ん~なぁ、ネタばれしてもいいなら、めっさ書きたいこと出てくるけど、ちょっと我慢します。もう読んだよって方は、あとで語りましょう!

ただ、言っておきたいのは、
矢野さんは、とても優しい人。これを読んでいったら分かると思います。

住野よるさんについて

「君の膵臓をたべたい」で知ってから大ファンです。少年少女の気持ちだったり、行動だったり、会話だったり、ちょっとした仕草や、情景の表現が、とても、なんでしょう…綺麗です。好きです。
どうして、こういう表現ができるのか詳しく知りたいです。

住野さんの作品には、それぞれで、なんというか、彼ら彼女らが本当にそこに居たかのような感じがします。とても現実味があって、フィクションだけどノンフィクションみたいな気がします。今回の「よるのばけもの」は完全にフィクションなのですが、なんか本当にあったのかなと思えるような作品です。

つまりですね、とても心に響きます。感情が揺さぶられます。

住野さんの作品は読んで間違いなしです。

最後に

この本を読んで、本当の自分って何だろうとまた考えるきっかけになりました。今、僕はインターンで絶賛進路という現実に迷っているのですが、ほんと、これから、ちゃんと自分というものを見つけることができないと、この爆速で進んでいく時代にただただ翻弄されて終わりそうです。がんばろ。

これを書いているすぐ前に、勢いで読んでしまったので、文章が拙いですが(拙いのはいつものことかw)
ここまで読んでくださりありがとうございます。

そして、この本を創ってくださった住野さん、とてもきれいなイラストで繊細なイメージをくださったloundrawさん、僕のところまでこの本を届けてくださった多くの方々に、感謝を。ありがとうございます。

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