「読書感想文」グロースターの仕立て屋
ビアトリクス・ポター さく・え
いしいももこ やく
ピーターラビット シリーズの15巻です。
ひとびとがまだ、剣やかつらや、えりに花かざりのある長い上着を身につけたころ──グロースターの町に、ひとりの仕立て屋がすんでいた。
グロースターの市長どのは、クリスマスの朝にご婚礼、その上着とししゅうのついたチョッキをご注文いただいた。
大変まずしく、働き詰めで、あとはつぎの朝、縫いはじめる用意をばんじ整えて、仕立て屋はとうとう病気で寝込んでしまう。一緒に暮らしていた猫のシンプキンに、べにいろの「あな糸」を買ってきてもらうのだが。
家では、ねずみたちが伏せた茶碗や紅茶茶碗やの中に捕まえられていた。シンプキンのねずみたち。シンプキンがおつかいに行っている間に、仕立て屋さんが一匹残らず逃がしてしまう。
逃れたねずみたちが向かう先は。
シンプキンがくいあらためたのは。
ピーターラビットシリーズの好きなところは、動物たちが少し意地悪だったり、腹黒かったりするところです。
ねずみたちが嫌味な歌を歌って猫を逆撫でしたり、猫がねずみをボールのように弄んだり。ちょっと悪い動物たち。ビアトリクス・ポターさんの観察力は素晴らしいな、といつも思います。
そして、このおはなしで、1番私が気に入っているところ。べにいろのボタンホールにとめられた、小さな紙に書かれたとても とても小さな文字。
「あな糸が たりぬ」
気がつけばクリスマスです。
仕立て屋さんさながら、クリスマス明けまでに納めないといけない仕事におわれながら。朝起きたら仕上がってたりしないかな…。
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