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木曜日の朝に。 57朝

「おはようございます。」

チュンチュン…少し開けた窓から鳥の鳴き声がして、すでに起きている次女と三女の物音がして、グーンと伸びをして、起きていく。

トポトポ…白湯を入れ、塩とレモンを少し入れ、もっさんもっさんの寝ぐせ頭でフーフー啜る。

私は卵焼きを、次女は朝ごはん用の特製おにぎり(悪魔めし:天かす+めんつゆ+刻んだつぼ漬け+昆布のつくだ煮)を作る。

「これぜったいうまいやつぅ〜♪」
とご機嫌に。なにせ朝ごはんを一番の楽しみとして生きるダイエッターだからね。

「今日、体育館だからね」
と三女。今日は近隣の高校説明会があって、午後からまた学校へ行かないとならない。
今月は行事がホントに多い。

「いってきま〜(す)」

天気が良いからか、青い朝に、軽やかに出かけていった。

ここのところ土日とも、六連房の登り窯のある陶芸工房へ行っている。ロクロや下絵付けを習っているのだけれど、よく見学のお客様がいらっしゃる。

先日、
車で一時間半くらいかけてはるばる訪ねてみえたおじさんを、工房のお世話しているヒロさんがご案内して。その後、休憩していた下絵師匠の村井さんと、小物作家の足立さん(みんな70歳超え)と、私とでおしゃべりしていた。 あたたかいほうじ茶を淹れて。

「この辺りで、トンカツの美味しいお店って     ないですかね?」

「んー、ここから20分くらい町へ降りていかないとないねぇ」
「やっぱりかど屋か?かど屋のカツ丼か?」
「あー、あそこ私は食べきれんなぁ」
「ゆう庵は?ゆう庵、美味しいやない」
「あー、ゆう庵ね。あそこは?もっとずーっと行った方の今井屋は?」
「行き過ぎやろ〜、かまのう でもトンカツ食べれるやない?」
「かまのう あそこ蕎麦も始めたらしいに」
「うどん屋やのに…なんでもありやわ」
「今井屋うまかったぞ、ボリュームあるし」

おじさんを置いてきぼりにして、ヒロさんや村井さんたちのトンカツ屋めぐりは続く。
すると、おじさんもおじさんで、

「蕎麦といえば…蕎麦の美味さって、結局、        なんなんでしょうね?」

と、また難題を放り込むものだから、
「俺は、うまい蕎麦を食いたいがために、
こないだ信州まで行ってきたぞ」
と、ヒロさんの蕎麦談義がはじまり、蕎麦粉の分量だとか水だとかなんだと語り、

「そやけど、結局〝つゆ〟が美味けりゃなんでも美味いわ」

と、急に着地したりして。
結局おじさん、どこ食べに行ったんだろ…。

四月から通っているけれど、ここでの会話の大半はそんな感じで(実家のご近所もそんなようなものだけれど…)、のらりくらりふんわり聞いている。そんな中にも、「鮎かけのしくみ」(あれは釣るやなくて掛けるんや)だとか、お米によって酒の味がいかに違うのか(米にも流行りがあってな、「龍の瞳」は粒が大きくてな…)、ふきの煮方(秋田蕗アキタブキは太くて柔らかいのよ)だとか、先輩方から教わることも多岐にわたるジャンル問わずだから面白いのだ。

会話といえば、

家に来る(4週間に1度)ダスキンさんと話していたのはペットの話で、ダスキンさんの飼っていたインコの話がなんかよかった。

公園かどこかで知り合いの肩に、突然フワッととまったインコ。人懐っこくてどこかから逃げてきてしまったようだけれど、どこの子かわからず、そのまま保護したのだという。そのインコを縁あって譲り受けることになって、しばらく飼っていると、インコがしゃべるようになったのだとか。

「普通しゃべるって言っても〝オウム返し〟でしょ?おはよーって言うとオハヨーって言うみたいな。でもその子はね、受けこたえするのよ。おはよーっていうと、ウン オハヨーって。お腹空いた?っていうと、ウン ゴハン って、会話になるのよ。もう可愛くて。」

ウン、という時ダスキンさんはこっくりと頷いて。他にも何羽かインコを飼ったことがあるそうだけれど、そうやって会話できたのはその子だけだったのだという。
知り合いの肩にフワリと現れて、人に寄り添うように会話するインコ。小さいけれど、その存在はとても大きかったんだろうな。インコと優しく話す、目じりの下がったダスキンさんが目に浮かぶようで、なんだかほっこりした。

ちょっと面白くて、ちょっと不思議で、ささやかに美しいものが、日常の中に不意に届く。人との何気ない会話やなんかに不意に。スルーしてしまえばそれまでだけれど、そういう面白味って好きだな。


さてさて、そんな今朝はこの曲を♪
優しくて、聴いていると気が楽になる。

𝐇𝐚𝐯𝐞 𝐚 𝐧𝐢𝐜𝐞 𝐝𝐚𝐲🎧


昨日の夕方、光に透けたグラスが綺麗だった。容赦のない大風雨が過ぎて、青空と洗濯したみたいな白い雲も綺麗だった。
 
今日も、いい天気♪

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