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まずは野内や。

「ねー、柊ちゃん、彼氏ほしい」

うん。え、どんな感じの?

「目が細くてぇ、背が高くてぇ」

ほぉほぉ。え、目細いのいいの?

「目デカイ人って、なんかムリ。すごい見てくるやん。スッとした細い目の人がいい」

ほーぉ、綾野剛(さん)的な?

「あそう、なんか“塩顔”とか」

塩顔かぁ。そなんやー、あとなんかあんの?

「タバコ吸う人はダメ、絶対ムリ」

え、そんなに?そなんや。   年上とか?

「年上がいい、ってか年下とかないわ」

ないんや。おらんの?いい感じの人。

「出会いないもん、あ、でもDMきてさ」

うんうん。

「私のストーリーにちょいちょい反応して     くる人おって(高校の同級生やけど)。その       アニメ見たよとか、○○展オレも行ったよ       とか」

へぇー。  え。そんだけ?

「んーなんかひと通りターンして終わる」

終わんのや。ご飯行こ、とかないの?

「ねー、ないんだわ。あ、その子もさ『野          内』のカツ丼すきらしくって。柊ちゃんと     食べにいったやん?あのストーリーに“野内     うまいよね!”ってDM来たんやて」

おー、じゃ、野内一緒に行けばいいやん。

「それなー」

今度、一緒に野内行かん?て誘ったら?

「マジー?野内かー、一緒いくかー」

野内行くくらいよくない?
ってか、一緒に野内1回行ったからって、付き合うとかでも、結婚するわけでもないんやしさ。

「そらねー、え、じゃ軽い感じで誘うかー」

うんうん、軽い感じ。まずは野内からやん。

「野内からやんね」
 
そそ、野内からや。

「あ、けどその子さ、バイク乗るんだわ」

うん。ん?けど?

「全然さ、バイク乗るような感じじゃなかっ     たんだけど(高校んとき)、バイク乗るんや     て。バイク乗るイメージないわ〜」

ま〜けど、工業高校やったわけから機械いじりとかは好きやろうし。
バイク乗るのあかんの?

「えーなんかさ、マフラーとかいじってさ、     迷惑くらいブォンブォンいわしてきたらど       ーしよ、だいぶひく」

ブォブォブォンブォンブォーン
あー来た来た、みたいなやつか。

「そー、マジ無理。人の迷惑とかムリ」

ほんで、ヘルメットからふぁさーってロン毛やったりしてね。

「いややー、マジほんと、ロン毛とかない」

いやいや、
あなたのパパ、ロン毛でハーレー乗りやったからね。

「ホンット、マジ無理。パパの昔の写真とか     ロン毛でバイクとか、マジなんでママあれ        がよかったんやろ」

ビックリやったけどね。

「あの子今、ロン毛とかやったらどーしよ」

え?しらんの?

「インスタだけやから最近のビジュとかわか     らんもん」

けど、高校ん時知っとるし、野内くらいよくない?

「そやね、まぁ野内くらいいいよね」

そや、カツ丼めちゃ美味しいし。

「そや、野内食べれるし、マジうま」

うんうん。

「よっしゃ次、野内行こっ、言うわ」

うん、まずは野内や。 

「まずは野内やね」


                                          野内のカツ丼     
                                                   


カツ丼ってのは往々にして、
物語を生むはずやから。


─20歳の姪っ子との今日の会話。

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