情報処理技術者試験は積極的に受験すべき
「情報処理の資格なんて意味ないよ、実務経験が全て!」と声高に叫ぶ人がIT業界には多いが、そんな中で私は資格取得を積極的に奨励している。その理由を言語化していきたい。
僕の経歴
業界経験6年のシステムエンジニアで、保有資格は以下の通りである。
基本情報技術者
応用情報技術者
データベーススペシャリスト
スキルセットだけみると、ドラマ『逃げ恥』に出てくる津崎平匡さん(星野源)である。
実はこれの他に、令和4年度分のネットワークスペシャリスト試験を受験済であり、自己採点結果から合格の感触を得ている。そんな今はプロジェクトマネージャー試験の受験勉強中である。
資格取得を奨励する3つの理由
基礎理論を学ぶことで、エンジニアとしての能力向上は加速する
何か知識を得ることで、見える世界が変わった経験はないだろうか。「人は見たいものしか見ない」とはよく言ったもので、これは、情報処理の勉強で得た知識にも当てはまる。基礎理論を学んでおくことで、実際の業務から得られる情報量が劇的に上がるのである。業務の見え方が変わるのである。
専門的な話になって恐縮だが、例を挙げる。
「ネットワークが繋がらない」というトラブルが発生したとする。色々と試行錯誤した結果、tracerouteコマンドを使うことで、宛先ホストまでのルーティング設定の誤りが原因だとわかり、無事解決できた、とする。
これはこれで素晴らしいのだが、もしあなたがネットワークの理論を学んでいて、「OSI参照モデル」というキーワードを知っていたらどうなるだろう?
今回の事象が、OSI参照モデルのどのレイヤーの問題であり、もしレイヤーが違うときはどのようにトラブルシュートすればいい?などと、基礎理論として学習したキーワードを起点に、類似するケースを発想することができ、それだけで学びの量が段違いに多くなるはずである。
実務で色々と経験すると、それぞれの状況に応じて、断片的にノウハウや知識がインプットされていく。この断片的な「点」を、基礎理論を学ぶことで繋げていこう。そうすることで、関連した知識をスムーズに出せるようになるし、誰かにレクチャーするシーンでも説得力が出てくる。
エンジニアとして能力を高めたいのであれば、実務で貴重な経験を積むのと同じくらい、体系化された理論を机上で学んでいくことが重要なのだ。
コミュニケーション能力を証明できる
「客観的に技術力を証明できる」ことが情報処理技術者試験の受験のメリットである、という意見をよく見かける(というか、IPAもその意見だと思う)が、それは情報処理技術者試験で証明できる能力の全てを言及できているわけではないと思う。問われていると私が思う能力は、基礎的な技術知識と、コミュニケーション能力である。
基礎的な技術知識については意外性はないと思うので特に言及しない。私が言いたいのは、後者の「コミュニケーション能力」である。
情報処理技術者試験は、限られた時間の中で問題を読み解き、相手の求めている答えを返す。そして実は、解答にはそこまで専門的な知識が必要なわけではない(試験区分によっても左右されるが)。与えられた問題文から必要な情報を読み解き、基礎理論を運用することで回答を導き出せる問題がほとんどである。そしてこの試験設計には、IPA側の「与えられた状況に対する正確な状況把握、問題点の理解、その解決力を問う」という明確な意思を私は感じるのである。
そして、ここで問われる力というのは、SEとして求められているコミュニケーション能力そのものなのではないだろうか。つまり、顧客との業務上のコミュニケーションを、試験問題という媒体で仮想的に行っているのである。
努力ができる人間だと思われる
これは情報処理技術者試験に限ったことではないが、資格を持っているということは「努力ができる」ことの証明になる。基本・応用情報はまだしも、高度情報試験になると、試験の難易度も上がり、受験者のレベルも上がる。必要な勉強時間ももちろん上がるため、必然的に必要勉強時間も増える。
努力をコツコツを積み上げ、合格という結果を勝ち取れるというのは、例えば転職・昇格の面談の際に、自身をアピールできるポイントになるのではないかと考える。
何が言いたいかというと、資格だけでは仕事ができる証明にはならないが、結果を出すための努力ができる人間である証明にはなるということである。少なくとも私は資格保持者をそういう目で見ると思う。
終わりに
この記事をきっかけに、情報処理技術者試験の目的を見つめなおしてみてはどうだろうか。一人でも多くの方の受験意欲が湧くことを願っている。
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