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daily and diary

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にちじょうの、にっきです。
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#読書

「教団X」を読んだよ

中村文則氏の「教団X」を読んだ。文庫版で600頁近くある大作だった。 寝る前に少しずつ読み進め、2週間かかった。 なんていうか、とてつもないものに溢れている小説だった。 哲学、宇宙、宗教、テロリズム、セックス。そんな重々しいテーマの数々が怒涛のように押し寄せてきて、ひとつの物語に繋がっていく。 視点があっちこっちとするし、ひとつ分からなくなるとずっと意味が分からなくなるので、読むのにたいそうエネルギーが必要だった。 なにもない宇宙に、ある日生じたビッグバン。そこに原子とい

Nikki0923.

大崎善生さんの「アジアンタムブルー」という小説を読んだ。 ずーっと前に装丁とタイトルが好みで買っていた本だけど買ったまんまアホみたいに寝かせてて、やっと読めた。 それだけ寝かせて熟成させてたからか、ものすごくいい作品だった。どんな話か全然知らずに読みはじめて、どんどん世界に入り込んで行った。途中まで読んでたのを、昨夜一気に読んでしまった。気付いたら深夜の3時を過ぎていた。 そんな風に読書に夢中になって迎える深夜の時間が、なんだか好きだったりする。暗すぎるくらい暗くて、静かす

読書感想文:「コンビニ人間」/村田沙耶香

今日も読書感想文を。 この次に読み始めた本がハイパー長編なので、しばらくはないから安心してください。読書感想文アカウントになったわけではないですから。笑 ぼくは『流行っているもの』や『話題のもの』にすぐに飛びつきたくない、めんどくさい性格だと思う。メディアから与えられた情報にすぐ飛びつくようなものではなく、自分で探し当てた情報のほうを大事にしてるような。 それでも実は興味を持っていて、話題になったずっと後になってやっと自分のタイミングで作品に触れる、というズルさもある。我な

読書感想文:「シルエット」/島本理生

島本理生の「シルエット」を読んだ。 読むまで島本理生という作家の事を知らなくて、なんだかひどく申し訳ない気分になった。 年齢も4つくらい上なだけでほぼ同年代だし、多作でたくさんの賞を獲られている作家なのに、今の今まで知らずに来たことが恥ずかしい。 そう思うくらい、好きな作風だったのだ。 「シルエット」は女子高生が過去の恋愛と現在の恋愛の中で揺らぎ、次に進ままでを描いた青春小説である。 女性ならではの観点で描かれた恋の衝動やセックスの価値観が青臭さを覚えるくらい瑞々しくて、3

読書感想文:「私は存在が空気」/中田永一

藤子・F・不二雄先生が提唱した「すこしふしぎ」というジャンルがある。 略すとSFになるが「サイエンスフィクション」ではなく、「ありふれた日常の中に紛れ込む非日常的な事象」をテーマにした作品のことを指すそうだ。 この「ありふれた日常の中に紛れ込む」というところが、良い。 「私は存在が空気」という中田永一氏の短編集を読んだ。 表題作である、自分の存在感が父親のDVによって空気のように薄くなってしまえる能力を身につけた女子高生の話をはじめとして、全6編の短編が収録されている。 他