日本で貧乏なのは労働者、では、儲けているのは誰なのか?マクロ経済学を使って解き明かす
よく左派や労働組合、その他関連団体が日本は不景気だと言う。
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不景気のイデオロギー(思想って意味)を持つ人は、不景気であるというエビデンス・データを探し出す。
自分に有利になるデータだけを探し求めるインセンティブ(動機)が生じるためだ。
よって、彼らは、自分に有利なエビデンス(証拠となるデータ)だけを見つける。
たとえばもっとも不景気であると断言できるデータは、実質賃金の年次推移である。
これ↓
■世界各国の実質賃金推移
このグラフも少し恣意的(悪意がある)ものだ。
なぜなら、日本の賃金の下落が始まった1997年を始点として、グラフが作成されているためだ。
私たちの国で1997年に何が起きたのか。
1997年に起きたのは消費税5%への増税である。デフレーションのスタートだ。
ここからモノが売れなくなった。消費税増税により物の価格が5%上昇したため(厳密には消費税3%から5%への増税なので2%しか上昇していない、が、行動経済学において、税金計算は複雑であれば複雑であるほど人は考えを止めるという理論がある。
よって、たとえば、19,800円の3%など複雑な計算をする輩はいない。暗算が困難だから購入前に途中で諦める。
しかし5%になると話は別だ、20,000円の5%は1,000円だから、19,800円の商品だと、20,000円の消費税である1,000円引く10円(20,000-19,800=200,200*0.05=10)だから、990円も税金を取られるのか、ほぼ1,000円だし高額だなと、購入前に暗算できてしまうため、購入には至らず当時の人たちの一部は消費を止めてしまった、消費税10%の場合もそうだ。売価から0を1個取れば良い。それが支払う消費税額である。
よってこれも簡単に計算可能であり、京都大学など一部のまともな経済学者が消費税10%への増税に猛反対していた理由はこれである、行動経済学の論理性のためだ。実際、いま国内消費が伸び悩み不景気が続いている)。
当時、消費税が5%になり圧倒的に消費が減った。企業はいままでの価格では売れないため価格を下げざるを得なかった。そして、その分、個数は変わらないものの売価を下げたため売上高が減ってしまい、それに伴い、賃金を下げざるを得なかった。
いま尚25年続く賃金の下落メカニズムの発端はこれである。
給与が減った消費者は減った給与のなかで消費をせざるを得なかった。よって、益々消費量が減っていった。
消費が減るからさらに賃金が目減りし、少ないお給料のなかで消費をするから、また消費が減り、賃金が減りと、不景気時に消費税増税をしてしまったことによって平成30年不況が始まった。
経済学用語でこれをデフレ・スパイラルと呼ぶ。
他国も消費税は増税している。しかし増税するのはあくまで好景気時であり、バブル生成直前に消費税を増税させ、景気の加熱を抑える役割を果たしている。
日本はバブル崩壊の傷跡が残る1997年に消費税を増税させてしまったため、いまも尚30年不況が続いている。
グラフを良く見ると、日本は1997年の消費税増税までの2年間、消費税3%の時点では不景気ながらも賃金水準は回復していたのに、この増税で、景気回復のチャンスを自らが破壊してしまったのである。
この30年不況の原因は政治家の失態であり、具体的には財務省の税制改革の失敗なのだが、メディアは報道していない。
高度経済成長期は消費税が0%であった。しかし、税収は増え続けた。
なぜか?
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