「読解する筋力」という概念について
いつも私の記事を読んでくださり、ありがとうございます。相変わらずゲームの流通の歴史を調べ続けています。今日は番外編として、ゲームとはちょっと違う話をします。
私がゲームの流通に興味を持ったのはさほど古い話ではありません。5年ほど前、以下の論文に接し、初めて初心会関連の流通システムを知って漠然とした知識を手に入れたことがきっかけです。
その頃から初心会の悪名は知ってはいましたが、具体的な話がわからずそのままになっていました。
そこからじわじわと資料を集めるようになり、一通り把握できた範囲内でまとめ上げた形にしたのが、はてな匿名ダイアリーで公開した「初心会興亡記」となります。
これをまとめたことで大きな反響を頂きました。その反響からより詳細な歴史の流れを捕捉し、さらに詳しく踏み込むことができるようになったのですが、そこで1度、例の論文を再度読み直すことにしました。そしてとあることに気がつきました。
同じことが書いてあるはずなのに、そこから読み取れる情報量が倍になっている、ということにです。
恐ろしく新鮮な感覚でした。以前読んだ記述が、知識を仕入れたあとだとより理解が踏み込める内容に変貌していたのです。「なるほど、この記述はこういう意味を表していたのか!」と頷くこと頻りでした。ここで面白かったのは、前回読んだときにその記述を意味不明のものとは思ってなかったのです。
つまり私はこの対象に対する読解力が伸びたため、その記述の裏に書かれた内容まで読み取ることが出来たのです。貴重な体験ができました。
このとき、読解力を支えたのは他の書籍から得た知識だけではないな、と漠然とながら実感していました。あの「初心会興亡記」を書いたことが、私の読解力を鍛えてくれたのです。
どういうことか解説します。初心会興亡記を書くにあたって、私は必死に「何も知らない人に説明するにはどうすればいいのか?」を考えました。伝えなきゃいけないことはたくさんありますが、それをどういう順番で、どれほど詳細に書いて、どれを省いて書くべきか。これを読んでくれる人がどういう理解をしてくれるのかを想定してアウトプットしていきました。これを行った結果、私の脳内で初心会関連の流通事情が見事に整理されていったわけです。
これはおそらく普遍的事象かと思います。アウトプットするためには、インプットしたデータを整理しなければいけません。整理していないままなされたアウトプットは、当人が読んでもよくわからない文章になるはずです。
そうしてアウトプットを済ませた私は読解するための筋力を鍛えることができました。だからこそ例の論文をより深く読み込めたのです。そうして再度インプットを行い、別の資料を使ってのインプットを重ね、さらなるアウトプットを行った結果が「真・初心会興亡記」です。読み比べて貰えれば完成度が格段に違うのがわかるかとおもいます。
アウトプットとインプットの繰り返し。これが読解力を鍛える一番の筋トレ方法だと痛感しました。そうです。この反復で私の読解筋力は鍛えられたのです。
さて、ここまで来たら私の結論はわかりますね? そうです。「読解筋力を鍛えるために、みんなで文章を書きましょう」ということです。これは何でもいいでしょう。自分の頭の中に浮かんだ感想を言語化し、文章として(これは動画でもいいはずです)アウトプットする。それであなたの中の読解筋力は鍛えられます。そして、その次にはもっと作品を奥深く楽しむことができるはずです。アウトプットとインプットは表裏一体なのです。
さあ、書きましょう。noteでもTwitterでもFacebookでもはてな匿名ダイアリーでもかまいません。書き連ねたアウトプットは、貴方の読解筋力を鍛え上げ、貴方の人生をきっと豊かにしてくれます。
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