サウナ備忘録第28回【福島・バイパスサウナ】
【序】
「バイパスサウナ?」
「そう、バイパスサウナ」
「バイパスというと私が思っているあのバイパス道路のことで相違はないかい?<車通りの多い幹線道路沿いにあるサウナ施設>ってこと?」
「だと思うんだけど…」
「歯切れが悪いね。某イキタイサイト見れば一発じゃないの?」
「情報の少なさと評価の割れっぷりで全体像が掴めてないんだよね。
レトロ感を好む人からはかなり高評価って印象」
「ふーん」
どうやら昔ながらのドライブインの上階がサウナになっており、地元民やドライバーの憩いの場所となっているらしい。
東京のオシャレサウナに食傷気味だった私はどうしようもなく惹かれた。
匂いが強烈?
施設が汚い?
上等。
サウナにハマり行った施設の数も増え、ある程度の自負があったのだろう。
その時の私に、今こう言ってやりたい。
『お前はまだ深淵を知らない』
【破】
「良い雰囲気じゃないか」
宿である郡山から車で一時間弱、まごうこと無きバイパスにソレはあった。
長距離ドライバーに配慮した広大な駐車場、事実ドライバーと思わしき方々が一階の食堂部分で思い思いに休憩を取っている。
一階にはそれ以外にも麻雀ゲーム、パチンコスロットと古き良きドライブインを思い出させるラインナップ。
幼い頃父の車で帰省する際、ゲームという文字に惹かれドライブイン寄り道をせがんで断られた記憶を思い出す。
「UFOキャッチャーの景品がパンティーとAVだけの場所に我が子は連れていきたくないよなぁ」
苦笑しながら店内を散策、堪能した後目的のサウナスペースへ。
「…アジア系の熟女に性的なサービスされた後、屈強なお兄さんに法外な金額を請求されるタイプのサウナ?」
重厚。
これほどドアを開ける覚悟を必要とする入り口にいまだかつて私は対峙したことがない。
閉店時間の19:45まではもう一時間ほど、意を決してドアを開ける。
ドアが重い、さすが重厚…
重厚にも程がある、っていうかこれ…
鍵閉まってる…
慌てて時間を確認、19時にはまだ余裕を残している。
その刹那駆け巡る悪寒。
疑念を払うためにも某イキタイサイトを確認。
客が来ないと早じまいしますので注意
客なら!ここにいる!
店主よ!!俺を見ろ!!
気分はまるで走れメロス。
そんな思いが王に通じたのか、開くドア…!
「あ、あの!30分だけでも利用させていただけませんか!」
「…短くても正規の料金になるけどいいの?」
「だい!じょうぶ!です!」
ありがとうございます店主…
申し訳なさとありがたさを感じながら脱衣場へ。
確かにレトロ、こいつはいいぞ。
あぁ。
あぁ、あぁ。
あぁ、あぁ、あぁ!!!
五感が叫んでいる、ここまでは満点だと。
行こうぜメインディッシュへ…
そして私は。
扉を開けた。
開けて、しまった。
【急】
正方形の浴室、洗い場・お風呂・水風呂がグルリと周りを囲っている形。
弱水圧シャワーで身を清めた後にまずはお風呂。
あ、いい温度、気持ちいいじゃない。
その刹那気付く。
…フィルター部分が〇〇。
熱帯魚すぐ死なせるタイプの水槽って感じ。
思わず吹き出すレベル。
汚いとはまた違うと思いたいけどなんかもう凄い。
「さっさとサウナに入ろう…」
サ室自体は非常にかなり良好。
120度でほぼ湿度無し、こういうサ室対自分って感じのセッティング、いいじゃない。
ターゲット層がよくわからないバラエティーを見ながらしっかり発汗、退室しようとして気付く。
…壁と床が〇〇〇〇。
キノコの栽培されてました?
苗木そのまま使ってます?
漂ってた甘い匂いは胞子的なやつ?
「さっさと水風呂に入ろう…」
水道水かけ流しの正方形の水風呂。
都会のソレよりもありがたみが増す。
フチに顔を乗せてフワフワしていると気付く。
…小さい無数の〇が〇〇。
外はアツいもんね、虫さんも涼める場所探すよね。
サウナじゃ誰もが無礼講、常識なんてbreak go。
試合終了、ありがとうございました。
良いサウナかっていうと正直わからん。
スペックが尖ってるわけじゃないし、普通に汚いし。
でも他の施設では間違いなく味わえない雰囲気。
写真からもわかる圧倒的エモさ。
都市部の小綺麗なサウナ施設に慣れてしまった若輩者が大先輩に喝を入れられた、そんなサウナ経験でした。
間違いなく心には残る施設&いつまで持つかわからない施設なので福島にお立ち寄りの際は是非思い出してください…
次回、激熱サウナのメッカ。
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