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森見登美彦を語りたい

先月より、カドブンにて森見登美彦著「四畳半タイムマシンブルース」の連載がスタートしました。当方の青春を決定づけたことで知られるあの名作「四畳半神話体系」の続編と言うことで、当方も即カドブンのアカウントを作り、amazonで本作の先行予約を行いました。手元に届くのが死ぬほど楽しみです。

さて、皆さんはこの本の作者、森見登美彦氏についてご存じでしょうか?前述したとおり、当方の青春はこの作者によって完全に分解・再構築されており、その際異常なまでに歪曲した精神性と、尋常ならざる(キモさの)言語センスを付与されたと言われています。天真爛漫だった中学時代の当方を性根が90度ひん曲がった反社会性の純粋結晶へと変えてしまった森見作品とは一体どのような作品なのか、語っていきたいと思います。

当方が初めて読んだ森見作品は、氏の処女作である『太陽の塔』です。主人公は「休学中の大学五回生、しかもストーカー」というかなり煮詰まった状況にある青年であり、彼は彼の元カノでありストーキングの対象である水野さんや、「絶望のダンスの最先端をひた走る」飾磨、「心優しい巨人」高薮、「法界悋気の権化」井戸という三人の個性豊かな友人たち、そして同じように水野さんをストーキングする遠藤などとの交流や騒動に巻き込まれていく。あまりにもありのままの「イケてない大学生像」が描かれているので、リア充は爆笑しながら読めるし、非リアは引きつった笑いを浮かべながら読める。ともかく読者を笑顔にすること必至の作品です。遠藤とのいたずら合戦や「ええじゃないか騒動」などは、なんでこんなバカバカしいことを真剣に書けるのだと半ば呆れてしまう程です。

しかし、この作品をただ馬鹿馬鹿しい作品として読むことは難しいでしょう。それこそがこの作品の醍醐味であり、森見作品の真骨頂と言えるでしょう。男汁たらたらのシーンの中には、学生特有の漠然とした焦燥感、倦怠感、孤独感が見て取れますし、彼らの常軌を逸した行為の裏側にも、どこか諦観的というか、自虐的な一面が垣間見えます。また、主人公と水野さん、遠藤との関係性にも、見ていて切なくなるものがあります。馬鹿馬鹿しいものから鬱屈としたものまで、青春(?)の全てを、氏特有の美しい文体で描き出していくため、読者はずるずると作品世界にのめり込んでいくのです。

そしてあのラストシーンですよ。当方がこの本を読んだのは中2の頃ですが、読後しばらくぼうっとして、何も考えられなかったことを覚えています。当方もそれまでいろんな作品を読んできましたが、あんな感情を抱いたことはそれまで一度もありませんでした。この作品から、あんなにも美しいラストシーンが生まれてくるとは…。ここでは書きませんので、気になる方は是非一度御賞味下さい。もう読んでる人は、当方と一緒にぼうっとして下さい。

これで今回は終わります。このまま「四畳半神話体系」について語っても良かったのですが、何せ当方の青春を屈折させた張本人であるので、続きを書けばおそらく10000字を優に突破してしまうでしょう。また今度暇なときにでも書きます。また、家に届き次第「四畳半タイムマシンブルース」のレビューも書いていけたらなあと思います。

ではでは、あでゅー


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