アドベントエッセイ(23/365) コオロギのQOLを上げる
早いものでクリスマスまであと342日を切った。
どこよりも早いアドベント企画、23日目はルームシェアしているコオロギさんたちの話。
「#我が家のペット自慢」という企画に乗って、ヒョウモントカゲモドキの二コ助とアオジタトカゲの華彩さんについて2本の記事を公開した。
3本目は、二コ助や華彩さんの主食「コオロギ」について書く。
ー第1章ーコオロギと和解せよー
私は虫が大の苦手だ。そんなことお構い無しに、二コ助と華彩さんはしかと虫を食べる。爬虫類を飼う以上、虫との遭遇は避けられない。
彼らが食べる虫には主に、「生きたもの」、「冷凍されたもの」、「加工されたもの」、の3形態がある。
虫が苦手な人は、第1にフード状に加工されたもの、第2に動きのない冷凍、で乗り切りたいと切に願うことになるが、これらを食べてくれるかどうかはまったく個体差による。
華彩さんはフードと冷凍コオロギの両方を食べてくれる。食い意地が張っているから、選り好みもしない。
一方、二コ助は冷凍・フード共に食べる時は食べるが、それが続くとそっぽを向くようになる。グルメなやつめ。
そんなニコ助のため、我が家には生きたコオロギさんたちが常駐している。私の爬虫類ライフは、コオロギさんたちと和解することから始まったわけだ。
ー第2章ーコオロギ、日本の食うか、異国の食うかー
コオロギには、外国産のヨーロッパイエコオロギと日本産のフタホシコオロギの2種類がある。
フタホシコオロギは真っ黒で巨大で、ビジュアルがかぎりなく蜚蠊に近い。
さすがに心的ハードルが高すぎるので、フタホシより一回り小型で、ビジュアルもまぁ何とか耐えられそうなヨーロッパイエコをお迎えすることにした。
ー第3章、コオロギのQOLを上げよー
さて。生きているから、当然世話をしなければならない。冷凍コオロギは栄養たっぷりな状態で凍結されているから問題ないが、生きているコオロギさんたちは飼育環境によって栄養値も変わる。
つまり、二コ助の健やかな毎日のためには、コオロギさんたちのQOL向上がめっちゃ重要なのだ。
コオロギさんたちは
・湿度に弱く
・寒さに弱く
・乾きに弱く
・過密に弱い
という4種のウィークポイントがある。多いわ。
つまり、多湿で寒暖差があり、敷地の狭い日本は、彼らにとって修羅の国。
・季節
・室内環境
・飲食
のバランスを見て、ベストな環境を整えてあげる必要があるのだ。この時点で既にニコ助、華彩さんよりも手間がかかっている。
【コオロギ界のマナ】
コオロギの主食と聞いて浮かぶのは、野菜や果物だろう。しかし、日持ちが悪く、その上やたら価格が高いそれらを使っていたら、我が家の財布が終わる。
そんな悩みを1発で解決してくれるのが、専用のコオロギフードだ。穀物や魚粉をいい感じにブレンドした代物で、これ一つできゃっらの栄養を補うことができる。ひと袋500円程で50匹×3世代分くらい持つので大変コスパが良い。
聖書の出エジプト記に、よく分からんけど空から降ってきてそれだけ食べてれば生きていける「マナ」という食べ物が出てくるが、コオロギさんたちにとってこのフードがまさにそれと言えよう。
【鳴く子はいねぇか。てかいつ鳴くか教えてくんねぇか】
コオロギを飼育する上で避けて通れない悩みが、鳴き声だ。
秋に田んぼ道を歩きながら聴くコオロギの鳴き声は涼やかで心地よいが、都内の1Kアパートで鳴かれると主張が激しすぎてめちゃくちゃ気になる。
お店で売られてるコオロギは、生育段階によってサイズを選べるのだが、大きのを買うといずれ泣き始める。
だから、なるべく泣き始める前に、皆さんが卒業するよう調整せねばならない。
ここで厄介なのが、暖かい季節と寒い季節でコオロギさんたちの成長速度が全然違うということだ。
温かい季節は爆速で成熟が進むので、大きめのサイズを飼うとすぐに鳴き始める。
幾度のリサイタル決行を乗り越え、
・春〜夏は小さめのサイズを買って大きくしていく
・秋〜冬は大きめのサイズを買う
が良いことに気づいた。
【水を制する】
コオロギさんたちは乾きに弱いので、水をたっぷり供給する必要がある。
我が家ではキッチンペーパーに水を含ませてあげているが、キッチンペーパーはすぐ乾くのでこまめに替えなければならない。
「キッチンペーパー多く置けばいいじゃん」
と言われるかもしれないが、水が多すぎると今度は湿度の高さで脱落者が出る。トラップカードかよ。
エサの近くに水を置くのも禁物だ。
【そしてたどり着いたドリームハウス】
こんな感じでコオロギさんたちの快適さを試行錯誤しまくった結果、
虫かごの両端に水・エサを分けて盛り、真ん中に卵のパックを置く
という形が、彼らにとってのドリームハウスだという答えが出た。
左右に振り分けることで水とエサが干渉しないようにし、卵パックの立体感を以て過密を阻止するのだ。
ー第4章ーコオロギとの奇妙な距離感ー
「おっぱいのんでねんねして」
と、げんこつやまのタヌキさんを地で行く気楽な暮らしを送るニコ助・華彩さんに対し、コオロギさんたちの繊細さたるやない。
こんなに手塩にかけて育てるうちに情が移らないのか、と言われそうだが、もちろんそんなことは無い。
私はコオロギさん達の命に感謝と敬意を持ちつつ、干渉しすぎないビジネスパートナーのような距離感を保っている。
そんな奇妙な関係もまた、なんだか妙におかしいのだ。
いつもありがとうコオロギさんたち。
でも鳴かんといて。たのむから鳴かんといて。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?