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主人公が弱くなっていく異色の漫画「魔人探偵脳噛ネウロ」の魅力


早いものでクリスマスまであと176日を切った

どこよりも早いアドベント企画、189日目は、noteで開催されてる「#マンガ感想文」 という企画に寄せて。



今まで読んできた漫画の中で一番好きな「魔人探偵脳噛ネウロ」の魅力をお伝えする。



魔人探偵脳噛ネウロは、週刊少年ジャンプで2005年から2009年にかけて連載された作品で、作者は松井優征先生。大ヒット作「暗殺教室」の前に発表されたシリーズである。



物語の主人公は、魔界からやってきた魔人・脳噛ネウロと、女子高生・桂木弥子。


ネウロは、「謎」を主食とする魔界生物で、魔界の謎を解き尽くしたあとに、新たな餌場を求めて人間界にやってきた。


「謎が主食」についてもう少し詳しく説明しよう。人間界では「謎」を含んだ犯罪がたくさん起きる。自殺に見せかけた他殺や、トリックが分からない事件などなど。


ネウロは、謎を仕掛けた犯人を、持ち前の知力や魔界の道具を駆使して追い詰めていく。犯人が敗北を認めた瞬間に、犯人を守っていた「謎」が解け、エネルギーが外に放出される。ネウロは、そのエネルギーを食うのだ。


大まかなストーリーラインは、ネウロが人間界での食事を円滑に進めるため、桂木弥子を「探偵役」に仕立てあげ、弥子を振り回しながら様々な怪事件・難事件に挑んでいくという流れになっている。



この作品の魅力は星の数ほどあるが、中でも他のジャンプ作品とは一線を画す、強烈な柱がある。




主人公のネウロが、1巻からどんどん弱体化していくのだ。



ネウロのエネルギー源は「魔力」である。ネウロは、魔界で絶大な力を誇る生き物。しかし、人間界の環境は魔界生物にとって毒で、ネウロは、ただ生活してるだけで多大な魔力を消費しなくてはならない。さらに地上で魔界のアイテムや力を使うと、追加で魔力が削られていく。


ネウロの食料となる謎は、難しければ難しいほど、食った時のエネルギーが大きくなるが、難しくなるほど、解決に必要な魔力が増える。


当然、常に複雑な謎を滞りなく解き続けられる訳もなく、さまざまなアクシデントや試練が発生する。


つまり、魔界から出てきた直後の1巻がネウロにとっての全盛期で、そこから先は、減りゆく魔力と弱体化する肉体とのせめぎあいが繰り広げられるのだ。



ジャンプの漫画は、「ドラゴンボール現象」という言葉にあるように、ストーリーが進むにつれて主人公自身がどんどん強くなっていく展開が王道である。


魔人探偵脳噛ネウロは、そんなメジャーな流れに逆行する 点で、異色の作品なのだ。


では、主人公が弱っていく様をハラハラしながら楽しむのがメインなのか、と言われると、決してそうでは無い。


人間界で色んな壁にぶちあたるたびに、ネウロは、生物としての弱体化を補うための、”別の強さ”を身につけていく。この過程が惚れ惚れするほど面白いのだ。もう大好き。



ネウロが獲得する”別の強さ”がなんなのかは、ぜひ本編を読んで確かめてほしい。

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