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le soleil 3

翌日、僕たちはいつもの海岸にいた。
シャチのフロートを奪い合って遊んだり、体だけを使って波に乗ったりと、僕たちは相変わらず自分たちなりのマリンレジャーを満喫していた。

ただ一つ違うのは、はるばるフランスから来た二人の女の子と一緒であることだった。

ジャンヌとエロディはあまり泳がないで太陽と潮風に身を委ねていた。それだけで千葉の海岸はさながら地中海きらめくプロヴァンス。怪しげな泡も、いつもより明るい太陽にしたたかに焼かれていた。

昼間になると急に恥ずかしくて喋れなくなる。
そんなことはこれまで何度も経験してきたのに、その日の僕は自分の不甲斐なさが特に身に沁みてしまい、それを覆い隠すようにしぼみかけのシャチを駆って海の向こうを目指すばかりだった。 

いつしか僕たちは、ダイをジャンヌとくっつけようという話になった。
地球規模の偶然によって生まれた出会いで、愛すべき友人が幸せになるのならこんなに良いことはない。当たり前のことだが、僕は少しだけ複雑な気持ちだった。気づけば、太陽の強い日差しを浴びすぎた僕のシャチは、空気を入れてもぱんぱんにはならなくなっていた。

ダイは、そんな僕たちの邪な気持ちを知っても意に介す素振りはなかった。僕はそんなダイを見て気持ちを立て直し、彼とジャンヌの幸せを祈るようになっていた。

彼らは連絡先を交換し、ひらがなの日本語を交えながら少しずつコミュニケーションを深めていった。僕はそれを、暖かい目で見守るばかりだった。

季節は巡り、下町の四角い空には秋の雲が漂っていた。
路面電車がイチョウの枯れ葉を巻き上げるある夜、おしゃれなダウンジャケットを着込んだダイは僕たちに告白した。

「ジャンヌがフランスに帰る」 
「プレゼントを一緒に買いに行ってほしい」

ダイはそれだけを告げた。
僕らは、ただちに新宿の丸井へと車を走らせた。


恥ずかしげもなく淡い恋は続く


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