音楽ランキングは「結果」か「過程」か

オリコンとかビルボードとか、こうした音楽のランキングは「結果」になるのか「過程」になるのかというのが少し気になっている。
本当に言語化するのが難しいモヤモヤなので、多分支離滅裂になっているのをご了承いただきたい。
かつそんなに知識があるわけではないので、いちオタクの感想くらいに思ってほしい。

私は純粋に応援したり楽しんだりしたいのに、最近のオタク活動はこうした数字や順位を気にしないということを許してくれない。
まあ自分も会社勤めでサラリーをもらっている身なので、売上を立てないと今後の活動にも響く可能性もあるし、何かをするためには数値での目標を立てたほうがわかりやすいというのもわかる。
(とはいえ正直売上が微妙なグループも楽曲をコンスタントにリリースできるのをみるとそこまで深刻でもないのかなと思う、別のところで利益を得ているような)

とはいえ、いわゆるビルボードチャートを考察するようなアカウントが「ビルボードチャートで上位に行くためには」みたいな話をしているとそれはそれでちょっとモヤりを感じる自分もいる。
はたして「チャートで上位に行く」ことは目的ととらえるべきなのか。

例えば、
CD・配信を出します、こういうプロモーションをします、【その結果】、ランキングで1位になりました。
なのか、
CD・配信を出します、【ランキング1位を取るために】、こういうプロモーションをしました。
の違い。
もちろん前者が100%、後者が100%ということではなく、結局のところ、
CD・配信を出します、【ランキング1位を取るために】、こういうプロモーションをしました。【その結果】、ランキングで1位になりました。
をレコード会社は目指すはずだと思うんです。これは両立できると思う。
両立できると思うんだけど、それでも何を重視するかによって変わると思うんです。

例えば、サブスク解禁をしていないグループが「ランキングで上位に行くために」サブスク解禁をしたとする。
そうなると今まで「音楽を聴く」という優位性を持っていたCDに優位性がなくなってしまう。
じゃあCDを買うメリットを新しく生み出す必要がある、ということになる。
この「メリット」が今は握手券だったり、イベントへの抽選だったり、アクセサリーだったりする。
うーんこう書いていくとなかなかに気持ち悪いというかなんというか。

結局その「メリット」があるからファンはCDを買う、だから売上は大きく下がらないのだ、さあサブスク解禁しろ!とよく言われる。
わかる、確かに買う。買うんだけど、そう言われるのめちゃくちゃ腹立ちません?お前らどうせ買うんだろ???ん???みたいな。

握手券目当てに大量にCDを買うこと、買わせることをAKB商法と言って、やれオリコンのランキングが世論に合ってない、やれビルボードは合っていると言われているが、正直握手券やイベント券はこうした「歌だけを聴くための」サブスク解禁に伴うCDの優位性確保の一つに過ぎないと思っている。

話が色々寄り道してしまい申し訳ないのだけど、もし「ランキングで上位に行く」が「過程」で「目的」という意味合いが強いとしたら、そのためにファンが一生懸命空回ししたり、アカウント大量に作って再生させたりして再生回数を稼ぐことや、「こういう指標をファンは頑張るべき」みたいな考えの押し付けは結果あの頃嫌悪していた人が多いような「上位の曲知らんがな」現象を生み出してない?と思ってしまうのです。

https://anond.hatelabo.jp/20221018015150

リンク先の匿名ダイアリーがまさにそれで(私は書いてない)、ファンが喜ぶ=チャートアクションに結びつかない、ということももちろんあると思う。
例えばシングルを発売した当週はランキング2位で、その翌週に新しい動画を出したとする。
チャートを考えると発売週に出したほうがそのランキングで1位になれたかも、ということらしいし、ファンとしては1位を取りたかった、というのはわかる。
だけど、「翌週にも新しい動画が出るんだ」という「発売が盛り上がりのピークで後はガクッと活動が落ち着く」のではなく、新しい楽しみを少しずつ出しながら次の発売にワクワクをキープさせる、ということも、ファンを維持させるのには大事になると思っている。

私が好きなHey!Say!JUMPでも、「チャートに結びつきにくいけどファンを楽しませる」施策が過去にあって、その一つが2021年の群青ランナウェイの施策。
PVにはストーリーがあることをティザーで匂わせ、そのストーリーを追うライターのTwitterアカウントを通して、そのストーリーにいる「犯人」をファンに推理させ、その犯人の答えはジャケットにあるからCDを手に取って初めて知る(ため、当日まで犯人がわかるジャケットは非公開)という流れ。
これはメンバーの伊野尾ちゃんが、「CDを出すまでのルーティンじみた流れを変えたい」「分業制になっているプロモーションをシームレスにしてみたい」「CDを手に取る価値をモノではなく体験にする」という考えのもと(日経エンタのインタビューから)、ゴリッゴリに意見を出しまくった企画。
実際その楽曲の良さ(NEE提供)もあり、売り上げは前作より少し伸びたそうだ。

もちろん、ランキングで1位を取ってほしいのだけど、ファンとしては「楽しい」プロモーションをしてほしいし、1位を取るんだ!!というチャートハックのための空再生はできる限りというかしたくない。
個人的にはその「楽しい」は他のファンに伝わっていくとも思っている。楽しいからちょっと覗いてみる、楽しませてくれるのならと継続して一緒に楽しもうとするという流れになっていってほしい。
売上ももちろん大事だし、それは売り込みのアピールポイントになると思うのだけれど、そこを頑張るのはプロモーション側であることは忘れてはいけないような気もする。

ちなみに一般論として、売上の8割は2割のファンから生み出されているとも言われ、音楽業界に限らずファンマーケティングが重要視されている。つまり新規も大事だけど既存客をおろそかにしてはいけない、という話でもある。もちろん新規を大事にしない界隈は滅びるので、大事なのは「新規を狙って既存客をおろそかにする」というよりは、「既存客を大事にしつつ、新規もウェルカムにする」になる。

1位を取ることは大事だと思うけれど、ジャンルも媒体も多様性の時代、ただ一つの山でトップを目指すというのも少し違う気がするんです。
もう正直何を言いたかったのか割と忘れてしまったけど、とにかくもう令和で多様性の時代なので、途中で張ったリンクの内容のようにチャートで上位に行く=良い曲みたいな、クソみたいな風潮と押し付けはやめてほしいなーと思うわけです・・・
(というかビルボードも調整調製してたらそれは過去との比較材料として成り立たないよねという理系的な感想もある)

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