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介護職員の賃金が低いから、株価は史上最高値となる謎-「労働者の生活苦」の上に生まれたバブル

 この大西広(慶應義塾大学名誉教授)さんの緊急寄稿は、実にわかりやすく勉強になりました。

 2024年2月22日、日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新してたとマスコミでは大騒ぎしていたけれど、大西広さんに言わせると、ようするに、この史上最高の株高は「労働者の生活苦にも関わらず生じた」のではなく、「労働者の生活苦ゆえに生じた」ということです。

 大西広さんは、日本政府の異次元の超低金利、超円安誘導等々の政策の根幹をなす戦略は「途上国化戦略」だと指摘しています。

 超円安で価値の下落した日本に外国人を呼び込み(インバウンド)、外国人に高級ホテルに泊まってもらい、高級料亭で美味しいものを食べてもらい、沢山、日本のものを買ってもらう。
 けれど、日本人は旅行できない、美味しいものをたべれない、物を買えない!
 外国人がリッチに国内を旅行しているなか、日本人はその外国人に仕え、サービスを提供し、お金を使ってもらうよう努力する。
 まるで、途上国のようです。
 大西広さんいわ「日本は意図的に途上国になろうとしている」のです。

 企業業績が良いらしい!(2024年2月17日付けの「日本経済新聞」はそのトップに「上場企業、3期連続最高益」という記事を載せている)
 大西広さんは、この原因を、値上げする(物価が上がる)けれど、労働者の賃上げはしない、円安、コロナの終焉による経済再開などが要因だと分析してます。
 物価を上げておいて賃上げしないってことは、端的に言えば、「労働者を苦しめて儲ける」ってことでしょう。
 あと、自社株買いのマジックについての説明もわかりやすく面白いです。 

 大西広さんの『「人口ゼロ」の資本論 持続不可能になった資本主義』という著書には、日本は若者が貧しく、結婚できず、子供を産めないから人口が減るというようなことが書いてありました。
 その結果、介護人材が足りなくなっているのです。
 介護人材不足の根本原因は日本の貧困化、途上国化にあるのだと思います。
 是非、大西広さんのこの著書も読んでみて下さい。

大西広 2023『「人口ゼロ」の資本論 持続不可能になった資本主義』講談社+α新書


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