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【HAPIC】ITツールを活用したNGOの組織内DX

はじめに

2023年11月11日(土)に開催されたHAPIC。Syncableから6名のメンバーが参加させていただきました。ブレイクアウトセッションではSyncable事業責任者の井上が登壇させていただき、他の事業者様とNGOの組織内DXに関して意見交換を行いました。

本記事はブレイクアウトセッション6「ITツールを活用したNGOの組織内DX」のレポートとなっております。ぜひ最後までご覧ください。

HAPICとは?

みんなで未来を創造する、参加型アイデアカンファレンス

HAPIC(ハピック)は、同じ志をもった仲間と出会い、社会課題解決の先にある“しあわせ”について話し合うカンファレンスです。コロナ禍で開催を延期していましたが、4年ぶりに初のハイブリット開催が叶い、ソーシャルセクターたちが一堂に集まることができました。

イベント概要

開催日程:2023年11月11日(土)
開催時間:10:00-19:30(開場 9:30~)
会場:東京・両国 KFC Hall&Rooms
主催:NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC)

登壇者

小堀悠さま:(特活)NPOサポートセンター 常務理事・事務局長
瀬上倫弘さま:公益財団法人日本非営利組織評価センター マネージャー
井上祐作:株式会社STYZ 執行役員CTO Syncable 事業責任者
荒井昭則:特定非営利活動法人コンフロントワールド 代表理事
                   株式会社STYZ シニアコンサルタント(ファシリテーター)

写真左から、荒井昭則、井上祐作、小堀悠さま、瀬上倫弘さま

ITツールを活用したNGOの組織内DX

各サービスのご紹介

——それではまず、御三方が運営されているサービス、団体についてご紹介いただけますでしょうか?

Syncable井上SyncableはNPOやNGOなどの非営利団体向けに開発された、寄付集めのクラウドサービスです。ご登録いただくと、団体の個別のページが立ち上がるので、そのページから様々な決済手段や、寄付の頻度を選んで寄付することができます。寄付の形態は、毎月の継続寄付や年会費、一回限りの寄付、クラウドファンディングなどがあり、初期費用や月額固定費用は不要です。シンカブルは、寄付者との長期的な関係構築を支援する機能も提供しており、多くの団体様にご利用いただいています。

Syncable井上

NPOサポートセンター小堀:NPOサポートセンターは、設立30周年を迎えました。主にNPOの組織運営や事業サポートを行っており、バックオフィス業務の改善、ITツールの導入、運用サポートを提供しています。NPO/NGOが使いやすい割引プランを作成するために様々な企業様と連携してしております。また、寄付者や会員のデータ管理に焦点を当て、効率的な業務運営とコミュニケーションの強化を目指し、データ分析やファンドレイジング戦略の策定を支援し、NPOの成長を促進する活動を行っています。

日本非営利組織評価センター瀬上:日本非営利組織評価センター(JCNE)は、2016年に設立された公益財団法人で、第三者組織評価機関です。私たちは、NPOやNGOの信頼性向上を目的とし、ベーシックガバナンスチェック制度とグッドガバナンス認証制度の2つの制度を運営しています。これらの評価は、組織の「健康診断」のような役割を持っているので、組織外から寄付や協賛などを行う際の1つの指針として利用され、信頼性の向上や助成金申請などのメリットを感じていただけるものとなっています。



各社サービスの利用者像

——ありがとうございます。では皆さんのサービスを利用しているのはどのような方々なのでしょうか?

Syncable井上:Syncableは、歴史ある大規模な団体から、立ち上げたばかりの団体まで、幅広い規模の組織にご利用いただいています。特にNGOや国際協力系の団体でいうと、約400の団体様にご利用いただいており、これらの団体様も規模が様々です。利用方法も団体によって異なり、主にはオンラインでの寄付集めの窓口として使われることが多いですが、クラウドファンディングや常設の寄付など、目的に応じた使い方がされています。つまり、各団体で自分たちに合った使い方を柔軟に選んでいただけるということですね。また、シンカブルはブランドプレッジというサービスも提供しており、衣服などを寄付に変えることができる機能も人気を集めているため、さらに幅が広がっているのだと思います。

NPOサポートセンター小堀:支援者管理に関しては、会員や寄付者の情報が増加している、または増加が見込まれる団体をサポートしています。特にExcelなどの従来の管理ツールが限界に達している、セキュリティ上の懸念がある、またはクラウドベースのツールへの移行を検討している団体からの相談が多いです。データ管理のボリュームや団体のニーズに応じて、適切なツールの選択を支援しています。小規模な団体から大規模な団体まで、幅広い規模の団体がサービスを利用しており、それぞれの課題に合わせたご提案が可能です。

日本非営利組織評価センター瀬上:日本非営利組織評価センターのサービスは、主にNGOやNPOなどの非営利団体にご利用いただいています。グッドガバナンス認証を取得している団体は約70団体あり、その中でNGOは5団体程度です。これらの団体は、組織運営の透明性や効率性を高めるために認証を活用しています。例えば、愛知県のNPO法人りんりんさまは、介護ロボットセンターの導入やICTツールを活用し、効率的な運営を実現されました。これにより、情報の可視化や生産性の向上、スタッフ間のコミュニケーション強化が図られるなど、良い事例も出てきています。



サービス活用事例

——なるほど、団体の規模問わずNPO/NGOなどのソーシャルセクターであれば、皆様のサービスをご活用いただけるということですね。ではその中でも、上手く活用されているケースや、反対にもう少し工夫が必要だと感じていることなどはございますか?

日本非営利組織評価センター瀬上:日本非営利組織評価センターのサービスを上手く活用しているケースとしては、認証を取得した団体が企業との協力やプロボノの活用を通じて、人の繋がりや協力を深められている、ということでしょうか。これにより、資金面だけでなく、人的リソースの面でも支援を受けることができます。
一方で、工夫が必要だと思われるケースは、ICTやテクノロジーを十分に活用していない団体です。これらの団体は、組織のガバナンスや運営に関して認証を取得することで、より多くの支援や協力を得るチャンスを逃している可能性があります。また、早期に相談や協力を求めることで、より効果的な組織運営が可能になるため、積極的なコミュニケーションと協力の求め方に工夫が必要です。


NPOサポートセンター小堀さま

NPOサポートセンター小堀:支援者管理システムを上手く活用しているケースは、組織全体でシステム内のデータを共有し、積極的に利用している団体です。これにより、スタッフ間での情報共有がスムーズになり、効率的な運営が可能になります。また、イベントや支援者とのやり取りの履歴が全スタッフに見えることで、より一層の協力と効果的なコミュニケーションが実現します。
逆に、工夫が必要だと思われるケースは、担当者が一人でシステムを管理し、他のメンバーがそれを活用しない団体です。このような状況では、担当者が孤立し、組織全体としての利益が得られないことが多いです。また、担当者がいなくなった場合、システムの運用が困難になり、組織にとって大きな損失となる可能性があります。ITツールの導入は大切ですが、ただ導入するだけではなく、組織全体でシステムを活用する文化を作り、全員が関与することが重要だと感じています。

Syncable井上:Syncableを上手く活用し寄付集めに成功されている団体様の共通点は2つあると考えています。1つ目は外部に団体の魅力や活動内容をしっかりと発信、訴求をしていること。2つ目は、寄付された支援者様とのコミュニケーションを丁寧に行っていることです。
団体の情報を知っている人が多ければ多いほど寄付をしようとする方も増えますし、支援者は自分の寄付がどのように活動を促進しているかを知ることができ、次回の寄付への反応が良くなります。
逆に、工夫が必要だと思われるケースは、魅力的な活動をしているにも関わらず、十分な情報発信やコミュニケーションを行っていない団体です。寄付というのは、活動に共感して応援したいと思ったときに行われるアクションの1つですので、支援者の方に情報が届いていなければ、共感もその先のアクションも生み出せません。寄付者になっていただきたい方をイメージし、その方々に情報をしっかり届けることができている団体様は寄付者集めに成功されている傾向がありますね。



非営利団体を支える中間支援団体への期待

——単にお金を払ってサービスを導入するだけではその恩恵を十分に活用しきれないということですね。では続いて、他の中間支援団体に対して期待していることがあれば教えてください。

日本非営利組織評価センター瀬上:地域活動や草の根活動を行っているNPOやNGOなどの非営利団体が、自分たちの事業活動を実施・継続できるように支援することを期待しています。つまり、具体的な活動計画の策定や資金調達の支援がとても大切ということです。また、NPOやNGOが多様な支援を集めて活動を行うためには、中間支援団体が支援者のケアを行い、信頼性を高めることが重要であると考えています。これにより、支援者が安心して団体を支援できるようになり、長期的な支援の獲得に繋がると期待しています。

日本非営利組織評価センター瀬上さま

NPOサポートセンター小堀:NPO/NGOが利用しやすいツールやサービスを増やすことが大切かなと思っています。各種ツールによって団体の運営効率を向上させることが期待できますので、各団体の活動に共感してくださる企業様がさらに増えると良いと思っています。また、ITツールの開発企業、中間支援団体、NPOやNGOは情報共有がしっかりできる関係になるべきだと思います。ツールをどのように効果的に利用しているかに関する情報の共有や、企業との関係性の構築を通じて、非営利団体のニーズに合ったサポートを実現させていく必要があると考えているからです。企業に対しても非営利団体のニーズを伝え、支援を促進する役割を担うことが中間支援団体に求められているのではないかと思います。

Syncable井上:自分の立場でこんなこと言っていいのか、あれですけど、他の中間支援団体や企業の皆さんはもっとNPOやNGOの活動内容や目的をより深く理解し、それに基づいた支援を提供していけると良いのではないかと思っています。職業柄、寄付決済ツールを運営する企業の方と接する機会も多いのですが、やはり営利企業の中の人の視点で話が進むことが多いです。NPOやNGOを単なるカテゴリーとしてではなく、各団体の具体的な活動やニーズを把握し、適切な支援を行うことが重要ではないかと思っています。民間セクターとソーシャルセクター間の目線の違いを理解し、それに基づいて協力し合うことが大切なのではないでしょうか。相互の理解を深めるためには、営利企業と非営利団体が立場に関わらず交流する場を設け、実際に共業する機会を提供することが効果的だと思います。相互理解に基づく協力が、ソーシャルセクターやNPO、NGO界隈をさらに盛り上げると考えています。



現在のキャリアを選ばれた理由

——そもそも、ソーシャル領域かつ、現場ではない中間支援のポジションって多くないと思うのですが、なぜ皆さん今のポジションに入られたのですか?

日本非営利組織評価センター瀬上:それを話し出すと30分くらい熱く語ってしまいそうなのですが(笑)
私は「本人に帰責性のない社会的弱者をエンパワーメントをしたい」という気持ちが非常に強かったんですよね。民間で働いていたこともあり、当時はやりがいも感じていたのですが、やはり民間と非営利では見ている目線が違うなと違和感を感じることがありました。これは企業、営利が悪いということではなくて、自分が考えているものと違ったということです。その点で違和感を感じるようになりましたね。そして非営利業界の中でも、1つの団体に所属するよりも、様々な団体のサポートをできることが中間支援団体のやりがいだと感じています。


NPOサポートセンター小堀:私自身が環境問題、まちづくりの活動をしていく中で、社会問題は相互に関わっていることに気づきました。1つを解決すればいいのではなく、全部を一緒に解決しないと進んでいかないと感じたので、社会問題に立ち向かう様々なNPO/NGOをみんなで支えていくことが必要だと考えています。みんなが協力しないと、社会問題が深刻化するスピードに追いつけなくなるのではという危機感も感じます。ですので自分としては1つの団体に所属するというよりかは、業界全体の底上げをしたり、各団体のお役に立てることは何か、と模索しながらチャレンジしている状況です。


Syncable井上:自分自身が生まれつき抱えている障害があることで、世の中はでこぼこで、不条理で、理不尽なことが山ほどあるということに気づきました。そんな中で、非営利で活動されている様々な団体があることを知り、世の中のまだ足りていない部分をよりよくするために戦っている方々がすごくかっこいいなと思ったのがきっかけです。その気づきを経て、現在は民間企業の側で支援させていただいている理由は、営利の力を使って後ろから強力なバックアップをしたり、団体様の活動をより活性化させることができたら良いな、自分にもそんなことができたら嬉しいなと思っているからです。

——3名の皆様、本日はありがとうございました!

おわりに

ソーシャルセクターたちが集まり、対話を通して繋がる、非常に有意義な時間を過ごせたHAPIC。このような素晴らしい機会にSyncableをご招待いただき、ありがとうございました。
これからも私たちSyncableのミッション『寄付のあり方を変える「施す」から「託す」へ』に向けて、走り続けていきたいと思います。

〜Syncableからのお知らせ〜
Syncableでは非営利団体様の寄付募集を促進するため、下記のような寄付募集キャンペーンを立ち上げていただくことが可能です。

・自由なテーマのクラウドファンディング
 
イベントやプロジェクトに紐づいて行われる寄付募集キャンペーン
・バースデードネーション
 団体様の設立記念日や、運営メンバーのお誕生日に合わせて
 寄付を募るキャンペーン
・マンスリーファンディング
 
継続寄付者を集めるための寄付募集キャンペーン
・サポートファンディング
 
支援者が支援者を集め、寄付集めを実施する寄付募集キャンペーン

これらの寄付募集キャンペーンの立ち上げにご興味のある団体様は
個別相談会をご案内いたしますので、下記のフォームよりお問い合わせいただけますと幸いです。
Syncableお問い合わせフォーム

〜NPOサポートセンター「非営利組織向け Salesforce研修」のご案内〜NPOサポートセンターではSalesforce(顧客管理プラットフォーム)をより効果的に導入・活用するための各種研修・セミナーを実施しております。

次回の開催日は、以下の通りです。
<初級編>2023年12月21日(木)10:00~17:00
<中級編>2023年12月22日(金)10:00~17:00
※オンライン受講対応、3週間以内であれば録画視聴可能

ご興味のある団体様はぜひ詳細をご確認ください。
詳細はこちら


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