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【事例】創業日から全員が完全リモートワーク。人事が参考にしたい200名でも成功する完全在宅・テレワークノウハウ

優れた作業の自動化ツールを提供するZapier(ザピアー)は、そのプロダクトクオリティもさることながら、彼らの徹底したワークスタイルでも有名なシリコンバレーのテックスタートアップ。

いや、"シリコンバレーの"というのは語弊がありそうで、現在200名を配する同社は、DAY1から今の規模までずっと全社員フルリモートを実現している。彼らのDAY1(創業)は2011年にまで遡る。

2019.3.19に公開されたZapier CEO Wade Fosterの1時間以上にも及ぶロングインタビューより、最新かつ実践に裏打ちされた真のリモートワークノウハウについて紹介する。"最新"というのは、当然Slackなどモダンなツールをどうリモートワークで活かすか、逆に問題点をどうクリアするか。"実践"というのは、2011年の創業から今に到るまで彼らが常に現場でトライアンドエラーを繰り返した上でのノウハウということだ。

また、Zapier社は培ったリモートワークのノウハウを惜しげも無く191ページに及ぶ無料の完全ガイドブックとして「The Ultimate Guide to Remote Work」に公開している。

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英語が堪能な方、時間がじっくりある方はこの膨大なリモートノウハウの資料を読み漁ってほしいが、そうでは無い方のために、こちらのブックからのエッセンスも交えて可能な限り簡潔に解説していく。リモートチームの作り方で困った時は、いつでも立ちもどれるドキュメントになれば幸いだ。

=== update info(2020.4.22)===
・300名へ拡大し、コロナ環境下でもワークしているZapier社の最新リモートノウハウを彼らのブログから抜粋して「17〜19」へ追記
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1. まず、どうやって200人の完全リモートチームを作ったのか?|チーム作り

まずバリューを明確にした。実際にリモート環境でもパフォーマンスを発揮しているしている従業員をベースにコアバリュー を明確にして、それに沿った形での採用を徹底した。具体的にZapier社がリモートワークベースのコアバリューで大切にしているのが次の2つで、完全オンラインでのコミュニケーション観点ではスーパークリティカルだと考えいている。

1. セルフスターターであること
2. 透明性が高くコミュニケーション能力が高いこと

リモート環境では自分で仕事のスイッチや、やる気をある程度コントロールしなくてはならない。だからセルフスターターであることが大事。
次に透明性、そしてコミュニケーション能力は必須。特にドキュメンテーション(文章化)を積極的に行って他のメンバーへ伝える能力、ノウハウ/マニュアルをまとめてそれをベースに他のメンバーがオペレーションできる仕組みを即座に作ってしまうような人が望ましい。なぜなら、地球の反対側にいるメンバーをサイトが落ちた時に叩き起こすわけにはいかない。

ーー  from Remote Work Guide Book ーー

ガイドブックでは完全リモートチームを作る上において「チーム」「ツール」「プロセス」の3つが大事だと説明している。特に「チーム」における採用要件で面白かったのが次の要素だ。

Hire people who can write(書き残すのが得意な人を採用しろ)

それぞれのローカルなバーチャルオフィスでは実際には直にたくさんの会話が行われる。しかし、
リモート前提のチームにおいては、書き記したコミュニケーションでシェアしなければならない。良いライターこそリモートチームに必要だ。
と説いている。

また、リモートワークに適する人材はフリーランスやスタートアップ属性が多いとも記している。これは上記2点のバリューに照らし合わせると確かにその通りと納得できる部分ではないだろうか。

2. どうやってコアバリューに沿って採用のスクリーニングをしているのか?|採用

「Behavioral based questions(振る舞いベースの質問)」
を用いるようにしている。例えば何が業務上の問題に直面した時にどのような振る舞いをするかを確認する質問だ。ベターな答えとしては問題を解決するような策と、並びに同じ課題を解決できるような仕組みまで整えられると素晴らしい。さらに優れた回答は、課題の解決策だけでなく、それを他のメンバーにもシェアしてフィードバックをもらい、汎用性の効くより良い解決策を構築する、といった具合だ。

他の人よりも1, 2, 3ステップぐらい先を見通した行動、仕事ができる人が望ましいと考えている。

3. 200名のリモート環境は実際どのような場所なのか?|オフィス

200名の従業員は15〜18の国にまたがっている。つまり、世界中でリモートワークしているメンバーがいる。
そのほとんどが「WFH|Work From Home(自宅)」だ。一部のメンバーはネットワーク環境などの理由でコワーキングスペースや気分の観点でコーヒーショップを使ったりもしているが、ほとんどが自宅勤務となっている。
そして、実際我々にはヘッドクォーター(本社)となるオフィス自体が無いからね。そして、みんな家からの仕事を楽しんでいるし、みんな最終的には「家」を選ぶ。

4. そもそもなぜ、完全リモートチームにしたのか?|チーム作り

まず第一に、もはや200名全員サンフランシスコに集まれって言っても無理だけどね。
それはさておき、リモートワーク前提だと最もアドバンテージがあるのは世界中のタレントプールにアクセスできること、つまり採用可能な優秀な人材が物理的な距離を超えて圧倒的に増えることだ。
そして人材のリテンションレイト(定着率)は90%台と高い。この高いリテンションレイト(定着率)と広大な採用ポテンシャルによって、ものすごくスケーラブルな状態を生み出せている。
長く働く従業員の価値は、何よりその会社のことを深く知っていることだ。そんな人材にしっかり残ってもらうことが、会社をスケールする上でとても大事だと思っています。

5. リモートワークへの取り組みで最も手痛い失敗は何だった?|マネジメント

「マネジメントの価値を過小評価していたこと。」

20名程度までは完全フラットでマネジメント構造もなければ1on1も無かった。そもそもマネージャの価値を過小評価していたし、完全リモートチームであればそれは必要ないと勘違いしていた。しかし人が増えるにつれて、コーチングへのニーズ、組織の機能不全などが実際目立ってきた。
そんな自分のマネジメント感を変えたのか「Manager Tools Podcast」だ。これは実際1on1をどうやれば良いのか、悪いフィードバックを率直に伝えるためにはどうしたら良いのか、など実践的で戦術的な内容で「リーダーシップ」を学ぶ上で非常にオススメする。

6. リモート環境でどうやってマネージャは部下をモチベートしたり管理したりできるのか?|マネジメント

そもそもマネージャの仕事は同じオフィスで部下の動きをいちいち観察することはでない。
単純に彼/彼女が「どんな仕事をしたか」を見ればいいだけだ。
エンジニアであればプルリクエストをチェックし、デザインだったらアウトプットをしっかりチェックする、マーケティングだったら動かしているキャンペーンをしっかりチェックする。それが基本。

マネージャの仕事は、オフィスのドアを開けて笑顔で挨拶することではない。

7. リモート環境だからこそマネージャが身につけるスキルはあるのか?|リーダーシップスキル

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