見出し画像

通り雨

「雨ってこんな匂いだったかしら」


ビニールに弾き返されてパチパチと弾ける雨粒の音を聞きながら、君の右耳に揺れる耳飾りを見た。


「どんな匂い?」とぼくが訊く

「金属を舐めた時みたいな、少し生っぽくてツンとする匂い。」



今朝、秋の香りがした

甘くてそわそわして

まだ芳ばしさのない香り


群青色のタイルが並ぶ

淡い70年代の街の曲がり角


画像1

ぼくはまだ

この季節の狭間で

いつかの君を探してるみたい



















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?