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わたしの住処と、空。

私が住んでいるアパートは、丘の上に建っている。

なにせ古いアパートだ。記録によると1938年に建てられたそう。

第二次世界大戦前…あ、ヨーロッパではもう大戦は始まっていたが、日米はまだ開戦してない。そんな時代だ。

だからもちろん年季が入った建物なのだが、メインテナンスが良かったのか、もともとの造りがしっかりしていたのか、それほど古びた感じはしていない。

建てられた時代を反映してビルはアールデコのデザインで、この手のアパートはシドニーにはまだたくさん残っているのだが、ウチのアパートは階段の手すりや建物正面にうまく曲線を取り入れていて、自分で言うのもなんだが品が良い。

えーと、昔むかしのテレビドラマ、「名探偵ポワロ」で、彼が住んでいたようなアパート…といえば…いまの人たちには分からんか。

ウィキペディアで調べたらテレビで使われていたのはこの建物だそうで、このカーブとか、建物の色とかそっくりだ。当時流行っていたスタイルなんだろう。

***

話がそれてしまったが、そんなウチのアパートの屋上は洗濯場兼物干し場になっている。7階建ての建物なので高層建築ではないのだが、先にも触れたように丘の上に建っているので風通しがよく、洗濯物はすぐ乾く。時々風が強すぎて飛んでいってしまうこともあるけれども。

風通しが良いということは、眺めも良く、西向きに眺望が広がっている。運良くというかなんというか、その西側にはシドニーの街が広がっていて、遠くではあるがシドニーのランドマーク、オペラハウスやハーバーブリッジも見える。

先日洗濯物を取り込むべく屋上に上がった。日中はきれいに晴れていたのだが、知らぬ間に雲がどんどん出ていた。

西の彼方から雲が扇のように、こちらを飲み込むように広がってきている。

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よく見ると、雲のあちこちからグレーのカーテンのように何本もの幕が地上に達している。雨が降っているんだ…。

そのまま視点を右にずらすと、こちら側は雲は多いもののまだ青空も広がっていて、そろそろ冬の日が落ちようとしていた。

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そう、シドニーでは空が広い。そして広い空だからこそ、空の様々な表情を見ることが出来る。

こんな空を眺めていられたら、まあ大抵のイヤな事はどうでもよくなるな…と思わせるようなスポット、そんな場所が自分の棲家にあってよかった。

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