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コロナ罹ってからの初レース、SunRunを走った。

2022年2月5日、10キロランの大会に出た。

シドニーのノーザンビーチ、ディーワイ(Dee Why)から、マンリービーチまでを走る、Sun Run というイベントだ。

コロナの影響でランニング大会は軒並み中止になっていた2020,2021年。昨年末ごろからやっといくつか大会が始まり、僕もSydney Harbour 10Kという10キロランを走った。

それはとてもエキサイティングな経験だったのだが、その後オーストラリアではオミクロン株が爆発し、僕も感染してしまった。

今回のSun Runは、コロナに罹ってから最初の大会だ。そして2022年初レース!

コロナに関しては、もう目立った症状もないのだが、やはりなんともなしに気持ちが乗らないというか、本当に完治したのかな…という不安は未だにある。

今回はいいタイムをめざすというより、身体が元に戻った、もしくは戻りつつある、ということを確認するためのレースにしよう、と思っていた。


申し込んでから気づいたのだが、このレース、朝が早い。午前6時15分スタートだ。

我が家からスタート地点までは、公共の交通機関を使うとなんだかんだで1時間半くらいかかってしまう。

面倒だし、まあたまにはいいか、と前泊することにした。

予約したホテルだと、スタート地点まではジョグで20分ほどだし、ゴールのマンリーからはバスで戻れる。

スタート時間が朝早いぶん、ゴールした後にホテルに戻り、シャワーを浴びてもチェックアウト時間に十分間に合う。

というわけで、レース前日の午後、ホテルにチェックインした。

ただ、ここで計算外の障壁が。

いや、分かっていたんだけどさ。

このあたり、クラフトビール屋さんが多いのよ。

歩いていける範囲の場所に、四軒ほど固まっている。
これは、ビール好き、クラフトブリュワリー大好き人間にとっては飛んで火にいるなんとやら。

これが本気で望むレースなら、もちろん飲みに行くのは自重するのだが、今回は、

「復帰初戦だもんなあ、そんなに無理しなくてもいいもんなあ…せっかく来たんだし…」

という悪魔のささやきが耳に刺さり、ふらふらとブリュワリーに。

金曜日の5時過ぎとあり、コロナってなに?というくらい賑わっていた。

よせばいいのに三軒まわってしまった…アタマはまわってないけれども。
(後で気づいたのだが、翌日走った後に大手を振って飲みに行けばよかったんだよなあ…)


さて当日。

なんか曇り空で、風も吹いているが幸い雨は降っていない。

5時半にホテルを出る。まだまだ空は暗い。スタート地点に軽く走りながら向かうと、ちらほらとランナーが増えてくる。

ビーチ沿いの集合場所に着くと、ちょうど日が出てきていた。雲にさえぎられていてちらりちらりとしか見えなかったが、それでも夜明けの空は美しい。

やはり例年より参加者は少なめかな?と感じたが、ゼッケンを付けたランナーがストレッチをしていたり、ウォームアップをしているのを見ると、おお、これこれ、この臨場感!と気分が乗る。

そうこうしているうちに、スタートの合図。

最初はダラダラとした上り坂が続く。スタートしていきなりこれは、ちょっと気が削がれる。

それでも坂を上りきると、眼下にビーチと波打つ海が見える。おお、これぞシドニー、という眺めだ。

ここを一直線に進み、ゴールを目指す…といいのだが、それだと10キロに足りないので、一度右に曲がり、住宅地の中を走る。この辺りはフラットなので比較的走りやすかった。もっといいタイムを目指すのならペースを上げて力走するべきだったのだけど、まあ今回はほどほどに。

そしてまた海岸線に戻る。このあたりは左を見ると海が広がっていてとにかく眺めが良い。あいにく厚い雲が空を覆っていて、雨が降っている辺りは灰色のカーテンが水面まで下りているし、波もかなり高くて全体的に荒涼とした景色だったけど、それもこれもひっくるめて自然の美しさを感じながら走った。

いや、こういう場所を走っていると、自然から発せられるエネルギーを実際に身体に吸収できるような気がする…。

そしてまた住宅地に戻る。ここで短いけどえげつない角度の急坂が目の前に立ちはだかり、ほぼ壁のように見える。もちろんペースはぐっと落ちるが、この坂を上りきればあとはほぼフラットか下り坂だ。

角を曲がると、眼下にマンリーの建物群と、ビーチが見えてきた。あともう少し!他のランナーたちも、ハデな靴音を響かせて坂を駆け下りる。

あとはほぼストレートな道で、両側に並んでいる松の木がフィナーレ感を盛り上げる。周りのランナーと競うように、ゴールのゲートを駆け抜けて、この10キロランも無事走破!

ボランティアのちっちゃな子どもからメダルをもらった。

マンリービーチも厚い雲に覆われていたが、時どき日が差すとその時だけあたりが黄金色に輝き、何か別世界のようだった。

走り終わって歓談しているランナーたちを見ながら、僕はマンリービーチをあとにした。


さて、公式タイムだが、44分11秒だった。

今回は45分を切れたらいいなあ、という漠然とした目標があったので、それを達成できたのから満足できる結果だと言える。

ただ、実はこのレースに出るのは2回めで、前回は2018年。

その時のタイムを掘り起こしてみると、なんと42分12秒だった。

へ、なんでそんなに速いの?とびっくりしてしまった。

僕の年齢はもう50を越えたし、体力的にはここから下降線を描くんだろうな、普通は。

そう考えると少し寂しい気持ちになるが、考えようによってはこれからはあまりしゃかりきに自己ベスト更新!とイキるより、どうやってレースを楽しむか、という視点になるのかな。それはそれでいいと思う。

だって、この歳で元気に走れているだけだってすごいことだから。あれだけ恐れられているコロナに罹っても、まだちゃんと走れるんだから。

色んなことに感謝…というと大げさだけど、今の自分の状況をポジティブに受け止めたい、と改めて思った。

走っていると、いろんな事を考えさせられるなあ…。

ちょっと必死の形相でカッコ悪いけど、ゴール直前の写真を文の最後にこそりと貼っておきます。