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「基礎」とは簡単な問題が解けることにあらず

 「基礎が大切だ」とよく言われますが,どういうことでしょうか?教科書レベルやセンターレベルの問題がスラスラ解けるということでしょうか?
 どうやらそう考える学生は多いようです。少なくとも,これまで教えた学生たちの大半はそのように思っていました。

 しかし,それは大きな間違いです。

基礎とは,最も深くて難しいものです。


 少し違う視点から考えてみましょう。「基本問題はできるんですけど,応用問題ができないんです」と相談に来る学生がときどきいます。これはなぜでしょうか。 

 それは基礎を馬鹿にしているからです。「基本問題が解けたこと」に満足しているからです。

 大切なことは

基礎を深めること


です。基本的なことを暗記で済まし,ドリル演習のように問題をただひたすらに解いている人は,その問題は解けるけれど,ワンランク上,ツーランク上の問題は解けないという状態に陥ります。

 では,どうすれば基礎を深めることができるのでしょうか。たとえば,英語における仮定法の基礎は何かを考えてみます。
 仮定法過去の型は,「If S' 過去形…, S would / could / might 原形 〜.」です。この型を覚えて,問題演習を積むというのは一つの勉強法です。しかし,それでは少し問題が難しくなるとできなくなってしまいます。文法を英作文や読解に生かすこともできません。

 では,何が大切なのでしょうか。「本質をとらえる」ことです。「根っこをつかむ」と言い換えてもいいでしょう。直説法と仮定法の違いは何か,なぜ仮定法過去の型はそのような形になるのかなどを考えること大切です。単なる規則の暗記ではなく,規則に対して疑問を抱き,「なぜ」そうなるのかを考えることが「本質」をつかむことにつながります。そうすることで,知識が立体的なものとなり,さまざまなところで応用できるようになります。

 「基礎」とは決して簡単なものではありません。とても難しく,身につけるにはとても時間がかかります。「本当の意味での基礎」を理解した上で,演習を積んで身につけていけば,応用力はおのずとついていくでしょう。これこそが学力向上につながります。

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