借金玉

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借金玉

文章を書いて暮らしている人です。 ここではどこにも行き場のない話、日常雑記などを書いていきます。 内容はフィクションだったりそうでもなかったりします。 楽しんでもらえたらうれしいです。 www.amazon.co.jp/dp/4046020768 こんな本書きました

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  • 玉雑記

    あまり多くの人に向けては書きたくないこと、表に出なかった商業原稿、最近の雑記など月2回~(最近は大体4回)更新します。色々あって、ツイッターが本音を言う場所ではなくなったので、こちらでやろうと思います。ご興味あれば、是非。

最近の記事

八月

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    • 悪い夢を待って

       一か月文章をこね回して、結局のところ月末のこの時間になる。いろんなことがあったし、何もなかった七月。書くべきことはたくさんあるし、出来れば書き上げておきたいものもある。そういうものの前で、ずっと足踏みを続けている。むかし、誰かが言っていた。 「悪い夢ばかり見ているうちは大丈夫だ、本当にまずくなるとそれも見なくなる」  この話が事実だと、ついに理解する羽目になった。  ほんの数週間前まで、切れ切れの眠りは悪夢に覆われていた。目を覚ます、脂汗でシーツが湿っている。悪い夢のパ

      • 犬と戦争、行き止まりの議論、みんな違う場所に立っていて

         人が旅に出る理由はいろいろある。でも、「もうじき兵役年齢が上がって戦地に赴くことになるから、その前に全財産をはたいていろんな国を巡っている」みたいな話になると、なかなかリアクションも難しくなる。そうか、そういうこともあるよな。そうとしか言えない、だって僕はそんな状況とは全く無縁に生きてきたのだから。  国際情勢があんな感じなので、そんな理由で日本観光にやって来る人は結構多いらしい。そう聞くと、タイの屋台ほどではないけれど、日本がファストフードの安くて美味い(実際、彼らは立

        • 安宿に暮らして

           ついに病院まで歩けなくなった。  僕は持病を幾つか持っていて、薬が切れると非常にまずいのだけれど、最早ここに至って家からかかりつけクリニックまでは天竺より遠い。何度も自分を鼓舞して、なんとか玄関の外に出ようとするのだけれど、結局いつも同じことになる。自動販売機までも歩けない。  でも、最早自宅も居心地のいい場所ではなくなった。僕の部屋、三十も半ばを過ぎてやっと手に入れることができた食器棚に壁を覆いつくす本棚、中古で叩き売られていたけれど、それでもお気に入りだったソファー

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          年末のはずだった予定が早まって 切り詰めてギリギリだったお金が少し浮いた 連絡すら返せずにいるたくさんの人たちに 何か贈り物ができる すごくうれしい 今日は家の外に出たい 謝れないことを謝る方法 贈り物ではとてもたりないのはわかる 大したものは贈れない でも、うれしい

          年末のはずだった予定が早まって 切り詰めてギリギリだったお金が少し浮いた 連絡すら返せずにいるたくさんの人たちに 何か贈り物ができる すごくうれしい 今日は家の外に出たい 謝れないことを謝る方法 贈り物ではとてもたりないのはわかる 大したものは贈れない でも、うれしい

          ごめんなさい

           六月、ついに二本しか記事を書けなくてごめんなさい。  決断と諦めの月が過ぎて、終わるべきものがきちんと終わるなら  それは良いこと、なんじゃないかと考えることにした。  自分なりに頑張ったと思う。  本当にひどい言葉だ、そうは思うんだけど  そこから始まってここで終わる。  僕はそういうもので。  謝ってばかりでごめんなさい。  どんな言葉にすればいいかわからない。  文章にできないものは、単なる事実として  僕ではない誰かから  いや、伝わる必要なんてそもそもな

          ごめんなさい

          そこで終わってしまったら、悲しいよ

           本が読めない。それは仕方がない。鬱とかそういうものがやってくると、書籍を開くことが出来なくなる。電子ならなんとかいけるかな、なんて思ってはいけない。出来ないものは出来ない、諦めるしかない。僕は何をどこまで諦めることができるんだろうか、本を読むことを諦めることに成功した、それは成長なんだろうか。そんなわけはないだろうと思う、そうであると言い張りたい気もする。そういうときに、ふと「なぜか読める」文章に出会うことがあって、とてもうれしい。それはyoutubeに並んだ動画のサムネイ

          そこで終わってしまったら、悲しいよ

          気にしないで、犬とさかなの話だから

           終わりに向かって歩いている。案外気分は悪くなくて、水槽のオイカワを彼らが生まれた荒川に返す元気が出るのを待ったり、煙草を買いに行くことも出来ないまま陽が落ちて、夜なら外に出られるかな、と帽子をかぶったまま、朝になるまで椅子に座りこんでいたり。とにかく、現実的な話はもうできない。結局のところそれは結果として表れるしかないものなんだと思う。文章を書く、伝達、線と線が結ばれて形が、光が、音が、匂いが現れること、そうであって欲しいけれど、なかなかそうはならないまま終わっていくもの。

          気にしないで、犬とさかなの話だから

          発達障害者の未来について

          「発達障害者の未来はこれからどうなっていくと思いますか?」  この仕事をするようになってから、どれだけこの質問に答えたかわからない。その度に僕は、「発達障害という枠ではなく、個人の環境や能力の個別性によって、大きく結果が分かれる社会になっていくだろう」と答えてきた。大体これだけでは意図が伝わらないので、こんな風に付け加える。 「発達障害者であれ健常者であれ、資本主義社会で生きる以上利益を出せる人間には価値があるわけです、そういう意味で単純作業が減り頭脳労働が増え、決まった

          発達障害者の未来について

          コーヒーも味をなくして

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          コーヒーも味をなくして

          犬から主人を引き算したあとに残った世界

           たぶん、ポール・オースターの小説だったと思うのだけれど、「犬から主人を引き算した世界に何が残るというんだ?」みたいな一節があって、僕たちが生きているこの世界にはとても残酷な算数がわりとたくさん存在している。そして人間は数字を数えるのが得意な生き物だから、自分の人生から何が引き算され、何が残っていて何が残っていないのか、わりと正確に算出することが出来る。つまり、30歳で借金以外何も残らなかった発達障害者は、主人を失った犬よりもだいぶ希望が残っている、だからもう少しだけ足掻いて

          犬から主人を引き算したあとに残った世界

          もう行かない街のこと、それから鱒釣りのこと

           久しぶりに高田馬場に行ったら、なんだか見たことのない街になっていた。疫病の季節はここぞとばかりに進出するアジア圏勢力が台頭していたけれど、最近はまた日本人が押し返している気もする。大学周りの飲食店はかなりのダメージを受けたけれど、徐々に回復を始めている様子だ。久しぶりに大きな音でジャズが聴きたくなってお店に入ったら、なんと禁煙になっていた。え、禁煙になったんですか? と尋ねると、もう4年も前のことだよ? と返されて、前回ジャズを聴きに来てからもうそんな時間が経ったのかと驚か

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          羽根について

           三十代になるまで、新幹線に乗ったことがなかった。  東京の人にこの話をすると結構びっくりされるんだけれど、僕が生まれて初めて新幹線に乗ったのは、依頼があって福岡の捕鯨イベントを取材したときのことで。東京ー福岡間の移動があまりに快適で、正直なところびっくりした。「長い距離を列車で移動する」で僕が最初に思い出すのは、大学生の頃青春十八きっぷで東京ー札幌間を移動したときのことで、まぁそのなんというか…二度とやりたくない(青森まではまだいいとして、函館ー札幌間が地獄過ぎる)。なので

          羽根について

          梅雨を待って、傘を忘れる

           東京に来て、一番とまでは言わないんだけれど、それでもとてもうれしかったものに「梅雨」がある。春から初夏に向かうあの日差しは、疲れて痛んだ目や心にやさしくない。だから、僕はだいたい毎年梅雨入りの日をとても楽しみに待っている。目を覚まして窓の外を見る、雨が降っている。ああ、今日は雨降りの日だからお休みの日だ。そういう気持ちになれると、ちょっとだけうれしい。僕はね、運動会が雨で延期に、あわよくば中止になることを祈る子どもたち、声が小さくて足の遅い彼らの側に立つおじさんであろうと、

          梅雨を待って、傘を忘れる

          スリップしたこと、尽きていったもの、せめて次の電信柱までは

           十年越しに睡眠薬依存へスリップし、挙句の果てにオーバードーズで緊急搬送された。言い訳の余地もない。  この数年、ひどいことがたくさんあって。  もちろん、僕なんかよりずっと辛い境遇を前向きに生きている人はたくさんいるだろうし、ただ単に僕が弱いだけなんだろう。「生きのびよう」なんてテーマで「サバイバルガイド」を書いた著者が、自分の人生や未来が存在しなくなった前提に立って行動している現状は、どんな事情があろうと「読者様への裏切り」としか言いようがない。ただただ、申し訳ない。

          スリップしたこと、尽きていったもの、せめて次の電信柱までは

          えりぞ@erizomuことN氏による嫌がらせ電話音声

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