梅雨を待って、傘を忘れる
東京に来て、一番とまでは言わないんだけれど、それでもとてもうれしかったものに「梅雨」がある。春から初夏に向かうあの日差しは、疲れて痛んだ目や心にやさしくない。だから、僕はだいたい毎年梅雨入りの日をとても楽しみに待っている。目を覚まして窓の外を見る、雨が降っている。ああ、今日は雨降りの日だからお休みの日だ。そういう気持ちになれると、ちょっとだけうれしい。僕はね、運動会が雨で延期に、あわよくば中止になることを祈る子どもたち、声が小さくて足の遅い彼らの側に立つおじさんであろうと、もうずっと昔に決めたんだ、小学生の頃だったと思う。
北国の家には雨樋がない
少なくとも僕は見たことがない。
彼らは運動会が好きで、雨が嫌いなんだろう
そういう街だった気がする
どうせいつも、僕が間違ってるんだろうけれど
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