#3 だし巻き玉子【ひとくち料理小説】
歳を重ねるにつれて祖母の料理が食べられなくなっていった。
実家に帰る度に祖母はいつも料理を作ってくれる。
だが、味が分からなくなっているのか、年を追うごとに味付けが薄く、食べてもなにか物足りなく感じる程になった。もちろん本人にそんなこと伝えられるはずもなく、途中から我慢して食べるようになった。
そんな祖母でもだし巻き玉子の味付けだけはいつまでも衰えることはなかった。
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